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荒井 崇博選手

2022年10月21日

今年、デビューから23年目にして初の競輪グランプリが視野に入っている荒井崇博選手(佐賀82期)。デビュー2年目にヤンググランプリを獲得してから、全くタイトルに縁のなかった男が現在どんな心境でいるのか?そして、44歳にして何故とてつもない覚醒が起こったのか?その理由についてたっぷりと伺った。

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橋本:いやぁ、今年は凄いですね

荒井:凄いっすね

橋本:何故、こんなことになったんですか

荒井:何だろう、完全に狂い咲きか風前の灯ですね(笑)

橋本:この年になってタイトルやグランプリに手が届くかも(10月10日時点で賞金ランキング12位)という今の状況を荒井さん自身はどう感じてます?

荒井:もう獲りそびれた感しかなくて、どっちかって言うと雰囲気的にそろそろ引退なのかなっていうぐらいまで成績落ちてたんで、もう2班にも落ちそうやし、点数も足りてない状況が一年だか、それぐらい続いて、でもギリギリ取れてて、なんか嫌な感じがずっと続いてたから、とりあえずなんかやろうかと思ったのはありますけど

橋本:そこで新しいことに取り組んだんですか?

荒井:いや、新しい事っていうよりも、ここまでずっと前の感じを追い求めて、前はこうだった、昔はこうだったよなって思いながらずっとやってて、まぁ、過去の栄光ですよ。それに囚われてて、今ある現状をどうしたらいいのかっていう考えに至るまでが長かったですね。もううまくいかんから、辞めだ!って

橋本:荒井さん前にもう走るの飽きた!って言ってましたもんね(笑)

荒井:あれは負け惜しみやね(笑)練習も昔ならこれがやれとったのに。もう今はやれんくなったから駄目なのかっていう感じになるんですよね。それが面白くなくて。でも今、ココとココだったらもしかして勝負できるかもっていう頭に変換できたっていうのがでかいね今

橋本:ある部分においては潔く負けを認めたと

荒井:若い子と走ってまっすぐセパレートで走れば負けるっていうのは当然っていう考えに...いや、それは漠然とはわかってたんですよ。何ちゅうか、それを第三者的に見れるようになったっていうか

橋本:早いストレートでグイグイ押すピッチングからの脱却みたいな話ですね

荒井:今のレベルは何球も何球もストレートは投げられないけど、要所では投げられるんすよ。航続距離は短くなってるかも知れんけど、レースの中でココ!というポイントでストレートを出すみたいな感じで。何か、スプリントとかやっててそれっぽい兆しみたいなのがあって、ちょっと前からかな

橋本:必殺技を出すタイミングですね

荒井:こう、なんて言えばいいんだろう。2、3人なら自分の瞬発力で抜けるみたいな感覚っすね。三番手ぐらいからだったら前まで全部出れる。結果後は分かんないけど、で、出れるスピードは前よりもあるかなっていう感じかな。以前に比べるとチャンスは少ないけど、前を3人は抜けるんで、早い段階で抜いてしまって後は惰性でいくのか、最後のところでしっかり前を抜いて3着までを取りにいくのか、その辺ですね。

橋本:そして、若い人たちも最近はよく頑張ってくれてるじゃないですか

荒井:多分、最近一番デカかったと思うのは、誠一郎(中川誠一郎選手・熊本85期)が熊本のバンク使えずに俺のとこにちょくちょく来て一緒に練習したりして。で、誠一郎って熊本では無敵やったらしいんですよ。なのに、そんな誠一郎が俺に軽く負けてるっていう噂がたったらしくて。で、そんな噂を聞きつけて嘉永(嘉永泰斗選手・熊本113期)とかが来るようになったんですよ

橋本:おおっ!勇気をもって飛び込んできた訳ですね

荒井:今年の初めかなぁ、和歌山記念の時に、もう嘉永がボロボロで、ウェイトとか色々相談に乗って、知り合いのトレーニングのところも紹介してやったりとかして、色々やったらあいつが良くなったけぇ、そしたら、ほかの人間も来だして。特に嘉永とかは、ダメな所からもう一回這い上がってきた感じで、荒井さんにはお世話になったんで、連携したらもう僕がいきますよ!!みたいな、そんな流れですかね

橋本:荒井さんっていうと一見怖そうで近寄り難い雰囲気があるじゃないですか。そこが僕は好きなんですが(笑)

荒井:全員が全員にいい顔するわけじゃないですし、好き嫌いははっきりしてますからね(笑)慣れるまでが大変らしいっすね

橋本:嘉永選手とは結構性格的には合う感じなんですか?

荒井:いやぁ、性格的に合う合わないじゃなく、俺のところに来るっていうのは、よっぽど切羽詰まってるんだろうなと思って。だって利用価値が無かったら、俺みたいなタイプの人間のとこにわざわざ近づかなくていいじゃないですか(笑)他にいい先輩いっぱいいるのに。俺のとこに来るぐらいだから、よっぽど強くなりたいんだろうなと思って

橋本:何とも肯定しにくいですが、そうは正直思います(笑)で、それをきっかけに他の選手も来るようになったんですか

荒井:そうですね。松岡辰(松岡辰泰選手・熊本117期)とかその辺も来たりしますね

橋本:若い子に怒ったりはないんですか?

荒井:怒るのが俺の主軸でしょ。俺はまずこの人が怖いっていうところから入るから。だから逆に言えば俺から褒められたら正解なんだ感みたいな(笑)そこはあるんじゃないですか(笑)

橋本:あまり褒めないからこそ、褒めると効果的ですね(笑)

荒井:これまでは褒めたりはあんまりなくて、さっきの話じゃないけど、今まで通り昔の栄光を追い求めていってたら、どうにもならなかっただろうけど、何かそういう関係も今の俺自体にはプラスになってますよね

橋本:荒井さんの中にやっぱりこれまでプライドという壁があったのかもしれないですね。お前らなんてみたいなところが

荒井:うん。まあ良くも悪くもですね

橋本:要は丸くなったってことじゃないですか(笑)インタビューの最近の受け答えを見てても思いますよ。丸くなったなぁ。残念だなぁって(笑)

荒井:それは逆ですね。新聞記者とかインタビューする人が、俺から言われそうなことを先に排除し出したっていうか、点数が上がるごとに気を使い出したっていう。そんな感じが面白いっす

橋本:500勝の時はどうでした?若い選手もかなり意識していたように感じましたが

荒井:多分それだけだよね(笑)

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橋本:で、長崎に移籍という流れになりますが

荒井:漠然とデビューした頃から、いつかは長崎に移ろうとは思ってたんだけど、意外とこの移籍って何かタイミングがないんですよ。成績も悪くなかったけ、で、30代になって時間が流れて...意外とチャンスって少ないですよね

橋本:確かに。荒井さんの場合、別に環境変わる訳じゃないですもんね

荒井:嫌な感じの時期に引退も考えてて、その時期に何とか踏みとどまったのが500勝まではとりあえず、とりあえずやろうか。500勝したら引退しよう!みたいな風に思ってたけど、そしたらこんな感じになってしまったけ(笑)じゃあ、引退しない代わりに、この状況で長崎に行くのが一番いいのかなと思って

橋本:いやいや(笑)これで目標設定が引退どころじゃなく、どうしましょう?

荒井:いや、どうしよっかなぁと思って(笑)

橋本:グランプリも見えている状況じゃないですか!!

荒井:いやぁ、全然もう意識しないってのは嘘になるけど、諦めじゃないですけど、いけないのが普通だからね。もうだって、今年この状況まできただけで、本当は「デカシなんですよ。一度は引退しよう思うとった人間ですからね。もうそれだけで十分で、そこにオマケがついてきたんですよ。だから、そこまで多分周りが思ってるほど執着がないっていうか、周りが騒いでるから本当そうなの(笑)っていう感じで

橋本:本人の前で言うのも失礼ですが、過去めちゃめちゃ強かったけど、タイトルに手が届くとこまで荒井崇博っていう男は行ったけど、惜しいところまでいった選手やったよね。っていう話で終わるストーリーですもんね。ぶっちゃけ(笑)

荒井:うんうん

橋本:別にダメならダメで、それでも今年一年これでもう万々歳やし、グランプリに行けたら行けたでラッキーやし位の感じなんですか

荒井:そのぐらいの感覚の方がうまいこといきそうな気もしますしね。なるようにしかならんけん(笑)

橋本:生活は変わってないんですか?飲みに行ったりとかはどうなんですか

荒井:いや、普通に行ってますよ(笑)1週間空いてたら3日ぐらいかな

橋本:マジっすか(笑)選手とかといくんですか

荒井:地元の方じゃ選手よりも普通の人の方が多いかな。みんな集まる行きつけの店みたいなところがあって、約束するとかじゃなくてフラフラっと一人で行ったら誰かいるみたいな。

橋本:長崎のほうで飲んでるんですか

荒井:そう。長崎、諫早が一番メインかな

橋本:生活が変わってないのに強くなるもんなんですね

荒井:でも、練習するリズムは変えてないけど、残りはなんか全部一新したかも。練習内容にしろ自転車にしろ。えーっと、どれぐらいだろう?二年ぐらい前から自転車のメーカーも寸法も

橋本:そういうのはやっぱりあるんですね。気持ちの面だけじゃなくって

荒井:自転車変えて強くなるんだったら、っていうのもあるんですけど、ずっと付き合いのあるビルダーさんだったら、昔はこれだったからこっちの方に戻した方がいいんじゃないかとか、新しい人に頼んで、前はどうだったのとか言われても、いやもう前は関係ないんで。今走る自転車を作りたいって言って

橋本:なるほど、もう完全に過去の強かった自分と決別するっていうのはそういうことですね

荒井:そう。それをするのが一番ほんと大変だったんですよ

橋本:積み上げてきたモノを一回全部更地にする感じですよね

荒井:そう。更地にするけど、その時に下地がちゃんと残ってくれとけっていう感じですよね。建物が無くなった状態でも下地が昔よりあって、それがどんどん上がっとってくれたら、そのうち兆しがあるかも的な感じでやってたんですね

橋本:今のアスリート的な競輪場の空気はどうですか

荒井:なんか異様だもん。だって昔と全然違うでしょ。八割九割の選手がレース終わったらプロテインのシェーカーを振りながら飲んでとか、いやいやいやいや、レース終わったらその辺でのたうち回ろうよって

橋本:荒井さんらしい(笑)そんな荒井さんはどうなんですか?

荒井:やっぱり昔と違って、腹減ったから腹いっぱい飯を食うってやってると成人病になる。だから、ちょっとこれぐらいで止めて、サプリでも飲んで栄養とっとかないといかん。太り過ぎての成人病には気をつけないと

橋本:単なるオッサンじゃないですか(笑)

荒井:一日三食食べたら成人病になるよって言われて、朝飯だけは抜くようにしました。それで、ここ2年痛風も出なくなりましたし、こないだやった身体検査も選手になって初めて何も引っかからないという

橋本:えぇぇぇぇっ!食事だけではそこまでいかないでしょ!飲みにも行ってるのに(笑)なんか他に荒井さんこそっとやってるでしょ(笑)めちゃめちゃ健康的なこと絶対にやってる

荒井:まぁ、変わったって言ったらパーソナルトレーナーを付けてやってウエートをやってますね

橋本:ほらやっぱり、あるじゃないですか(笑)いつからなんですか?

荒井:ちょうど二年前くらいからですね

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橋本:ようやく完全に繋がりましたよ。それだ!全部更地にして一からってのはそれじゃないですか

荒井:簡単に言えば若い頃は、午前も午後も自転車に乗ってみたいな。もうとにかく自転車に乗りっぱなしみたいな感じで、それが年を取るとできなくなってくる訳じゃないですか。で、それを続ければ故障も出るし。だからもう午前中だけ目いっぱい自転車に乗って、午後はそれに代わるものがないかなと思って、一人でやってたウエートを人から見てもらおうと。とにかくプレートすら自分でつけたくない。だから、パーソナルトレーナーを付けたら、金はかかるけど片付けも全部やってくれるし、メニューも全部、お前らに任せるから考えろって言って、とにかく俺はジムに行って言われた通りに揚げるだけ。それ以外は何もしない。強度だなんだって色々あるみたいなんですけど、時代に合わせたトレーニングはお前らが勉強してやれと

橋本:荒井崇博、狂い咲きの秘密はそれじゃないですか。ようやく出てきた(笑)

荒井:いや、全部任せてるんで。どう変わったかって言われても説明できないんですよ。言われた通りにしかやってないから

橋本:それだ!!そのトレーナーさんの努力もデカいじゃないですか

荒井:そうそう(笑)年はまだ27とか6とか、それぐらいの子が2人、俺についてくれてて。で、今、そのジムが俺のスポンサーになってくれてるんですよ。で、スポンサーになったら大体、ジムの料金はタダになるじゃないですか。機械の使用料とかパーソナル代とか、でも、それだと横暴が言えんけぇ、俺はジム代は払う。スポンサーは入ってもらってて全然大丈夫だから、金は払うと、その代わり腹いっぱい俺のワガママを聞けと(笑)

橋本:横暴って(笑)でも、そのトレーナーさんも喜んでるでしょ。荒井さんにこれだけ結果が出ると

荒井:いや、競輪分かってないんですよ。それよりも、荒井さんの口コミみたいなのでやたら競輪選手のお客さんが増えたのをビビってんじゃないですか(笑)

橋本:レースも見てないんですか

荒井:レースの日程だけは伝えるくらいで。もう、それに合わせていつ、どんなトレーニングをやるのか。予約も全部そいつらに入れさせるから

橋本:そりゃ、どうして強くなったかと聞かれても、荒井さんは分からんわ(笑)でも、欲張りでしょうけど、2年前に気付いてやり始めたことを10年前とか5年前とか、そのくらい前から始めていたら、もっと早い段階で凄いことになってたかもですね

荒井:う〜ん。でも、その年では気付ききらんようなことやしね。弱くなってるって言うのはまだ気付いてなかったから無理ですね

橋本:確かに

荒井:あと、40代から強くなることに挑戦したやつっていう前例がないじゃないですか。もしかしたら前例がないからワンチャンあるかもしれないってのはありましたね

橋本:今後はどこに向かっていくんでしょう

荒井:どうだろう。まぁ、とりあえず落ちてくるにしても高いところから落ちる方が長く持つから。鳥人間コンテストでもなんでも、どうせいつかは落ちてくるんだから、とりあえず高いところから落ちた方がいいかなと。高さがあればもしかすると琵琶湖を横断できるかもしんないで(笑)

橋本:体調面、特に古傷の膝はどうなんですか

荒井:膝は、もう治らないから気にしない。もう賞味期限切れに近いから(笑)

橋本:賞味期限切れって(笑)円熟期に入ったということにしておきましょうよ。まぁ、そういう意味で言うと、例えば同世代の佐藤慎太郎選手(福島78期・45歳)とは常に同じステージで戦い続けて、今なお進化を続けているという意味では共通すると思うんですが、荒井さんから見て佐藤選手ってのはどんな存在ですか

荒井:慎太郎さんには申し訳ないんですけど、僕は正直、小倉さん(小倉竜二選手・福島77期・46歳)の方が気になりますね。慎太郎さんは、言い方悪いですけど周りが強いもん。昔でも結構勝ててたのは、北に強い自力型がいっぱいいたしってのもあるし、北がいなかったら南関でも番組で引っ張ってこれたし。でも小倉さんは地区的に厳しい中であのレベルでずっとやってきて、やっと今ですよ。中四国にいいのが出てきたから。それまでずーっと、足場がないところであの成績ですよ。だから、ちょっと意識するって言うか、小倉さんはどうしてるんだろう?っていうのはありますね。慎太郎さんには聞きにいかないけど、小倉さんには聞きたいっていうのはありますね

橋本:今、中部の追い込み陣にとっては冬の時代なんて言われてますけど、確かに北日本はそんな時代はなかったと言えばなかったですもんね

荒井:そう、小倉さんはずっとこれまで南極に住んでたから(笑)

橋本:確かに(笑)そのくらい厳しい時代でしたね。そういう意味では九州も厳しい時代。今もかもしれませんが、なかなか大砲という存在が少ないですね

荒井:少ないし、もう若いのが中途半端なことを言いよったら俺が前回るもん。今年の静岡記念の時もそうだったもん。あぁ、名前なんだっけなぁ、あの〜名前ド忘れしたなぁ。熊本の、なんとかあさひ

橋本:あ!伊藤旭(熊本117期)選手ね

荒井:そうそう、それ。何か、お願いしま〜す!ってきて。はぁ????って。お前、俺が付くと思ってんのか馬鹿かお前はって(笑)

橋本:まぁ、伊藤選手は自在のスタイルですもんね(笑)

荒井:で、結局そのレースは俺が深谷(深谷知広選手・静岡96期)を捲って1着だったもんね。まぁ、要は俺からついてもらえないっていうのを恥ずかしく思えよ。馬鹿かって。でも、わかってないでしょうね。それを周りが見てくれないから

橋本:荒井さんの場合はそういうところで誤解が生まれるみたいなところはありますよね(笑)まぁ、でも今、表面的にはいい事しか言わなくて、裏で何言ってるか分からないみたいな人も多い中で、実に貴重な存在だと思います。何よりお世辞がないのがいいと思います。そんな荒井さんが認める若手ってなると誰になりますか

荒井:まぁ、発展途上にはなるけど嘉永とかは心中してもいいって思えるかな。他誰だろう。庸平(山田庸平選手・佐賀94期)はちょっと違って、山田英(山田英明選手・佐賀89期)かな。悪かったら悪いなりに気持ちで走るタイプで、どうにかしてっていうレースをするけど、庸平は悪かったらもう全然自分の着を取りにいったりするから

橋本:高松宮記念杯の決勝はいくのかな、というのはありましたが・・・

荒井:いや、もう切り替えりゃよかったかなって(笑)いやいや、他誰かなぁ、信用してつけるっていうのとはちょっと違うけど、上で戦うなら翼(北津留翼選手・福岡90期)につきたいかなってのはあるよね。黒か白かはっきりしてるってのは裏を返せば50%はチャンスがあるってことやけん

橋本:荒井さんの場合は積み上げてきたものを見てるって感じですよね。今の勢いだけとかそういうものではないところで判断しているような

荒井:というより、勝つための武器を持ってるやつ。もしくは勝つ位置を絶対取れるやつ。今、一番多いのは勝つレースをしたいけど、しんどい組み立てはしたくないっていう。勝つレースがしたいなら後ろから抑えればいいのに、それは嫌で、結局、前で受けて捲れずに中途半端みたいな。そういうやつが一番ムカつくよね(笑)

橋本:お客さんもそう思ってたりします(笑)ところで、何か荒井さんの中で明確な目標ってあるんですか

荒井:いやぁ、何と言うか色んな事がホワっとしてるんですよ。例えばタイトル獲ってグランプリへ行くっていう目標があったとして、その目標ってホワっとしてるじゃないですか。そういうのではなく、ホワっとしたものをなくしていこうというのは思ってますね。年を取ってくると、午前中最低ノルマ10本って決めてても、ちょっと感じよかったからもう3本で今日は終わりにしよう、という考えになってくるんだけど、そうじゃなくて、10本って決めたら必ず10本やる!みたいな、とにかくホワっとしたものが多い中で、これと決めたらきちんとやろう、というのは思ってますね

橋本:甘え、妥協はしないと、そういうことですね。そんな、この年で決めたことを貫く荒井さんのモチベーションっていうのは何になるんですか

荒井:う〜ん、何だろうね。俺の周りの同い年ぐらいのやつって、これからなんですよ。若い時にやりたいことができなかったけど、会社に勤めてるやつとかでも権限が出てきてやりたいことが徐々に出来るようになってきて。だけど、競輪選手って、もう俺らの年になってくると終わりじゃないですか、普通は。だけどそういうやつらと接してると、俺も負けられんないという気になりますよね

橋本:ちょっと使える金も増えてきて楽しくなってくる頃で、本当の意味で人生楽しめるってのはあるかもしれないですね

荒井:そうそう。そういうやつらと話してると、そんな気持ちになりますね

橋本:そういう意味でいくと、週に3回の飲み会も刺激になっている訳ですね(笑)本当に長い時間になりましたが、これからも荒井さんのその考えを貫いて、戦う姿を見せてください

荒井:いつまで続くか分かりませんけど、まぁやれるだけ。なるようにしかならんけど戦っていきたいと思います

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※インタビュー / 橋本悠督(はしもとゆうすけ)
1972年5月17日生。関西・名古屋などでFMのDJを経て、競輪の実況アナウンサーへ。
実況歴は18年。最近はミッドナイト競輪in小倉を中心に活動中。
番組内では「芸術的なデス目予想といういいのか悪いのかよく分からない評価を視聴者の方から頂いている。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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