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深谷 知広選手

2023年11月06日

9月の共同通信社杯競輪(GII)が約9年ぶりのビッグレース制覇となった深谷知広選手(静岡96期)。静岡に移籍してからは初のビッグ優勝となり、これで賞金ランキングが8位まで浮上(10月17日時点)グランプリ圏内に入ってきた。年齢を重ね様々な経験を積んだ深谷選手が今、何を思い、これからどこへ向かおうとしているのか。お話を伺いました。

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橋本:まず、共同通信社杯(GII)が9年ぶりのビッグレース制覇ということで、個人的には「そんなに間隔が空いていたのか」という思いが強いのですが、深谷選手ご自身はどう感じていますか?

深谷:そうですね。僕も同じような思いです。翌日の新聞を見て「あ〜そんなに経っていたんだな」という感じでした。

橋本:静岡に移籍しての優勝というのは、これまでと何か違いはありましたか?

深谷:う〜ん、地区が変わったからっていう特別な感慨はあんまりなくて、それよりもシンプルに同県の後輩(渡邉雄太選手・静岡105期)と一緒に戦って優勝できたということに対しての気持ちはこれまでと違いましたね。

橋本:渡邉雄太選手は非常に深谷選手の事をリスペクトしているというお話は伺っています。

深谷:やっぱり普段から一緒に練習をやってるんで、そういう仲間とGIIの決勝で走れるってのは嬉しかったですし、その中で自分が優勝することができたというのは大きかったですね。

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橋本:ということは、決勝で一緒に走ることができたという時点で、感慨深いものがあった訳ですね。

深谷:これまで、愛知の頃は大きい舞台でのレースは常に先輩とばっかりだったので、後輩と走るっていうのはまた違う感覚だなと思いましたね。

橋本:どの辺りが大きく違うかっていうのを言葉にしてみると?

深谷:単純に前と後ろの違いっていうのもありますし、これまでは先輩に守ってもらうっていう気持ちで走っていましたけど、今度は自分が後輩を守っていかないとっていう思いもあって、その中で雄太も自分に勝機のある走りをしてくれたらっていう感じでしたね。

橋本:確かに、これまでは作戦なんかも先輩に立ててもらってという部分はあったでしょうしね。

深谷:そうですね。役割というか、自分のいる場所が変わってきたなというのは凄く実感しますね。

橋本:そして深谷選手の影響も大きいとは思いますが、実際に渡邉選手はもの凄く強くなったな、と感じます。

深谷:元々強いんで、それを引き出せるようにっていうのを僕は考えているくらいですけど。

橋本:渡邉選手のみならず、他の静岡の選手の多くも、深谷選手がナショナルチームのトレーニングを取り入れてくれたお陰でという話をされていますけれども、最初は浸透するまで大変だったんじゃないですか?

深谷:そうですね。自分もそれ(腑に落ちるまでの大変さ)を経験しているので、相手が理解できないという気持ちは分かりますし、その中で説明できることはできるだけ説明しましたし、感じ取ってもらえるようには意識してたんですけど。

橋本:なるほど、深谷選手が元々辿ってきた道であったっていうことですね。

深谷:そうですね。ブノワさん(ブノワ・ベトゥ氏)から言われた事は最初、ナショナルチーム全員ハテナマークでしたから。

橋本:ナショナルチームのトレーニングっていうのは、自力で戦う選手じゃなくても効果は見込めるんですか?

深谷:はい、やっぱり追い込み選手も自力というか、もちろん走っているので、その走る力がアップすれば横への用意もできますし、そういった意味でも絶対に必要だと思います。今、上位で活躍している追い込み選手を見渡しても、F Iとかそのクラスなら、ただ付いていくだけではなくて動く選手がほとんどですし。

橋本:確かにそうですね。S級上位で戦うのに横だけでは厳しいですよね。

深谷:そうですね。縦がある中で横ができないと、っていうのはありますよね。

橋本:縦がある中で横という話で言うと、先日の共同通信杯(GII)の決勝戦で深谷選手は嘉永泰斗選手(熊本113期)を横に持っていったりと、これまでの先行捲りのスタイル以外の部分もスキルアップしているのではないか?と感じるのですが、そのあたりはご自身でどう思われていますか?

深谷:うーん...スキルアップなのかは分からないですけど、少し対応出来始めているのかな、というのはありますね。元々、走りながら体を当てていくというのは得意ではないけど、別に出来ない訳ではなかったんです。でも、自分が前で走る時には内で詰まるくらいなら、っていうのでこれまで並走せずに引いてきたところがあって、さっきの話じゃないですけど、立ち位置ですよね。自分に求められるものが変わってきたのかなと思います。

橋本:これからもっと番手を回るレースが増えていくでしょうしね。

深谷:そうですね。これからはそこが重要になってくると思います。

橋本:そういった流れに応じた対応力というのは実戦の中で磨いていこう、という考えなんでしょうか?

深谷:そうですね。やっぱり意識する部分が前と後ろで違うので、そのあたりの意識の部分を変えていかないとな、という思いではいます。

橋本:南関地区は今、静岡のみならず北井選手(北井佑季選手・神奈川119期)のような大砲も出てきてますが、その辺についてはどう感じてますか?

深谷:そうですね。自分より距離を踏める選手が出てきたので、やっぱり立ち位置ですよね。番手を回る中で自分に何ができるのか、それがこれからの課題だと思います。

橋本:これで賞金ランキングが8位(10月17日時点)で8位まできました!グランプリも見えてきたと思うのですが...。

深谷:そうですね。そこはしっかりチャレンジできる位置にいるので、しっかり噛み締めて戦っていきたいと思います。

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橋本:深谷選手のキャリアなら気負いすぎることもないでしょうしね。

深谷:そうですね。でも競輪祭(GI)くらいまでいくとちょっと感覚が変わってくると思うんですけど。

橋本:これまで賞金ランキングボーダーで競輪祭(GI)っていうのは深谷選手はないですよね?

深谷:下からのボーダーはありましたけど、上からのってのはないですね。十何位かにいて、表彰台に乗れば他の状況次第で、みたいなのはあったんですけど、グランプリ圏内にいて、そこで勝負駆けってのはなかったと思います。

橋本:もちろんグランプリも目標だと思いますが、今後再びG Iのタイトルをという思いもあると思います。そこに向けての課題、今取り組んでいることがあれば教えて下さい。

深谷:とにかく周りの変化に惑わされないことかな、と。実際、自分の中で迷いが出る時が多いので、その迷いを断ち切るというのが一番重要かなと思いますね。

橋本:それは深谷選手がラインの前を走る時の話ですか?

深谷:そうですね。今までなら無心でバーッといけたんですけど...そこで一旦見てしまうというのがあるので、そういうのをなるべく減らしていかないと、自分自身の自力の価値っていうのも落ちてくると思いますし。

橋本:確かに。でも、共同通信杯(GII)の二次予選なんかは最悪の展開になりながら、ほんとによく届きましたよね?。あれには正直驚きました。

深谷:ああいうのが届いているうちはいいですけど、そればっかりになるとやっばり周りにも分かってきて、というのもあるし、脚も落ちてきますし、結果ではなくやはり、そのあたりを自分でコントロール出来ないと厳しいかなと思います。気持ちと体の準備ですね。

橋本:気持ちの準備というのは、事前に何パターンかレース展開をシュミレーションしておくということですか?

深谷:いや、というよりは自力を出して先行する!っていう時の気持ちの準備ですね。後ろになることが増えると、だんだん先行でいく!という勇気が薄れてくるので、行くべき時に行く!しっかり踏み切れる心の準備をしておかないと、というのはありますね。

橋本;そうなんですね。番手のレースが増えると、前になった時に仕掛けのポイントが少しづつズレてくる感覚があるってことですか?

深谷:そうですね。特に初日に番手を走って、2日目に自力の構成になると、自分が長い距離を踏めるかどうか、このくらいまでなら持つかどうかの確認が出来ていないので、そういう部分のズレと言いますか‥レースで実際に走ってみないと分からない感覚があるんです。

橋本:いやぁ、新しいステージにいくことによって気苦労と言うか難しさというか、大変さがよくわかりました。それを克服する為に何か今工夫していることはありますか?

深谷:いや、まだそのあたりは自分自身模索している段階ですね。

橋本:あと、元ナショナルチームの一員とし、現在のメンバーはどうですか?レベルに変化はありますか?

深谷:もう自分達がやってた頃よりは格段にレベルが高いですね。

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橋本:どのあたりが特にというのはありますか?

深谷:単純にタイムも出ていますし、選手の層も厚いし結果も出てますからね。頑張って欲しいです。

橋本:さぁ、深谷選手ご自身は寛仁親王杯が控えてますがコンディションはいかがでしょう?

深谷:SNSでも発信しているんですけど、腰痛から練習できなくて、再開したところで腸炎を発症して、とにかく練習ができていなので、そこの部分が見えないですね。

橋本:初日走ってみないと、というところですか。

深谷:そうですね。そのあたりは走ってみないと、というところですね。

橋本:大変なコンディションの中ですが、いいレース期待しています。それでは最後にオッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。

深谷:一走一走、精一杯頑張るので応援して下さい!

橋本:ありがとうございました〜

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※インタビュー / 橋本悠督(はしもとゆうすけ)
1972年5月17日生。関西・名古屋などでFMのDJを経て、競輪の実況アナウンサーへ。
実況歴は18年。最近はミッドナイト競輪in小倉を中心に活動中。
番組内では「芸術的なデス目予想」といういいのか悪いのかよく分からない評価を視聴者の方から頂いている。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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