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山口 拳矢選手

2025年01月29日

去る1月4日から四日間、立川競輪場で行われました今年最初の記念競輪<大阪・関西万博協賛/開設73周年記念鳳凰賞典レース>で優勝された山口拳矢選手(岐阜・117期)に今回はインタビューいたしました。S級1班で走る2025年、スタートダッシュに成功した山口選手の等身大の歓びと今年一年の展望や心構えを伺いました。

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—山口選手、立川記念の優勝おめでとうございます。

山口:ありがとうございます!今年最初のレースで優勝できて幸先の良い始まりでした。

—まずは前検日迄のお話なんですが、昨年末の広島記念(in玉野競輪場)で初日に落車しました。年末年始の過ごし方、又トレーニングはどれくらい出来ましたか?

山口:練習は治療と平行しつつ出来ることを探りながらでした。

—ダメージはどれくらいだったのでしょう?(落車は前のめりに一回転)

山口:骨は折れなかったんですが左肩が亜脱臼の症状でした。練習自体はすぐに始めましたが肩の可動域に痛みがあるので庇いながらやりました。なので前検もこれなら走れるなという感じでしたが好調とはいえない状態でした。

—初日の番組をご覧になっていかがでしたか?

山口:正直言ってキツいメンバーな印象でした。1月は特別競輪がなくて期の始め、一年の始まりってこともあって皆んな気合の入りようも違いますから。

—初日特選は初手は北井佑季選手(神奈川119期)・吉田拓矢選手(茨城107期)・清水裕友選手(山口105期)・山口選手の順で細切れ戦でした。レースは前受けの北井選手が正攻法から突っ張りました。

山口:北井選手が一番車なのでおそらく先頭で突っ張るだろうと走る前に村上博幸(京都86期)さんと話していました。但し突っ張られてそのまま後ろに引いてはその後が厳しいので番手から中団あたりには入りたいという考えでした。

—サッと3番手に入りましたがすぐに永澤剛(青森91期)選手が外へ追上げました。

山口:郡司選手の後ろを取りきらなきゃいけなかったんですが、打鍾で清水選手がカマしたときに吉田選手に入られたのが良くなかったですね。その後も関東ラインの捲りについていっただけなので...。結局脚を使いながら8番手になったのは一番の反省点でした。

—二次予選は対戦相手が鈴木玄人(東京117期)選手、取鳥雄吾(岡山107期)選手との三分戦でした。山口選手の作戦はどうでしたか。

山口:初手は後方でなければどちらでも良かったです。誰もスタートで出ないようなら前からでも構わないと思っていました。

—中部ラインは初手は中団。先に取鳥選手が赤板HSで抑えたのを山口選手はすぐさま打鐘で叩きました。

山口:あそこは斬ったところをもう一度斬れば鈴木選手が追上げると思っていました。ペースを落とさずに踏んでいたんですが。

—鈴木選手が並走から仕掛けたので山口選手も牽制のために中バンクに上がらざるえないですよね。

山口:うーん。油断したつもりはなかったんですが取鳥選手に内を来られてしまって。

—イン抜けされましたが俊敏に番手を取りました。

山口:あれは偶々ですね。でも入れたことで余裕はできました。後ろに園田匠(福岡87期) 選手がいることは分かりましたし、見ながら誰か来るなら合わせて踏むつもりでいました。

—最終4コーナーできっちりと追込んで1着でした!

山口:けれど(2着の)園田選手がけっこう迫っていて差のないゴールだったのでそう思うと自分の車の進みはいまいち伸びていないというのが実感でした。

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—立川記念の四日間は連日スピードレースでした。バンクのコンディションはいかがでしたか。

山口:バンク状態は三日目が本当に寒かったですね。それに比べれば他三日は特段重いことはなかったです。

—ではその雨と風の準決勝についてうかがいます。このレースは中近別線の細切れで山口選手には熊本の中川選手が付けました。初手は三谷竜生(奈良101期)選手・山口選手・菊池岳仁(長野117期)選手・野口裕史(千葉111期)選手の順でした。先に菊池選手からの関東ラインが出て、野口選手もほぼ同じタイミングで動きました。

山口:展開は二人のもがき合いになるかもしれないけど、関東ラインが先に出切ってしまったら菊池選手が野口選手を出すか出さないかはタイミング次第でしょうから、その辺を意識しながら走れていました。

—三谷選手が菊池選手の後ろでイン粘りかと思いましたが4番手に下げました。

山口:それもあって自分は6番手になってしまって。しかも本当に寒くて!何もしていないのに脚が固まってきまして...。最終2コーナーで仕掛けられないといけなかったんですが3コーナーで漸くってレースでした。

—6番手からショート捲りで2着に届きました。前2走に比べて良くなっているように見えました。

山口:いやぁ、先行した菊池選手が2周を駆けてますから。それを考えると"伸びたように見えた"ってところでしょう。

—3走した山口選手の状態はどうでしたか。

山口:変わらず、ですね。肩も急に良くなるものではないのでアップも庇いつつ出来る範囲でしかやれませんでした。

—さていよいよ決勝戦を迎えました。ここまで山口選手は前回りの競走でしたが藤井侑吾(愛知115期)選手が勝ち上がってきました。

山口:侑吾さんは連日積極的な走りで実際決勝のレース中も後ろで付いていてスピードを緩めず凄かったです。

—初手の隊列は藤井侑吾選手・郡司浩平(神奈川99期)選手・平原康多(埼玉87期)選手・高橋築(東京109期)選手・取鳥選手。関東2車は単騎で超細切れでした。山口選手がスタートを取って藤井選手が前受けだったんですが...?

山口:侑吾さんはあんまり前は取りたくないなと話していたんですがスタートの牽制が長引きそうなら「前でいいよ、そこは任せる。」と言われました。実際のレースでは平原選手が単騎なので前は取らないし、結果押し出される形で自分が取りましたね。

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—対戦相手の中では郡司選手が連勝で勝ち上がりました。

山口:郡司選手が仕上がっていました!取鳥選手も抜け目ないですし平原選手の貫禄が違うし、自分は状態が万全でないことを考えれば皆強いんですけど郡司選手の三日間の強さが際立ってました。

—しかし一番強気なレースをしたのは藤井選手でした!

山口:侑吾さんは突っ張るような話はそこまでしていなかったんですけどやっぱり引くと後ろまで下げさせられますから、侑吾さんの考えは引くよりも突っ張るだったんじゃなかいかと思います。

—取鳥選手は軽く抑えにきたようでしたね。藤井選手は下げると見越してヤワに抑えたというか。

山口:そうでしたね。突っ張った後、そのままペースで踏むのかなと思ったんですが侑吾さんは寧ろ緩めず踏み上げたので邪魔しないようにと着いていきました。これは絶対に先行するぞ、やる気が漲るのが後ろで付いてても伝わってきました。侑吾さん自身が後ろを見たりする邪魔にならないよう視界に入らないようにしてました。

—ただそうなると郡司選手がスンナリの4番手です。

山口:ええ。ですが打鐘からペースが上がったので最終HSではまだ仕掛けられないだろうと。けど侑吾さんがもう一回ダッシュしたときにビジョンを見て車間を空けたときには郡司選手が迫ってましたね。ダイジェストVTRだと真後ろでしたけど郡司選手の鬼気迫る圧といいますか、郡司選手が迫るさまが凄いプレッシャーに感じました。

—レースを観る側としてはシンプルな二段掛けでもリアルタイムで迫りくる郡司選手の捲りのスピード!

山口:あと侑吾さんが赤板で突っ張って駆けていた展開と僕自身絶好だったので緩めず全開で踏む侑吾さんの頑張りを絶対に無駄にしちゃいけないというのがありました。

—ゴールした直後のお客様の歓声は聞こえましたか?

山口:自分が1着でゴールできたのは分かりました。つづいて実況も聴こえてきて「実に一年三か月ぶりの優勝!」というひとことが胸にジーンときました。あ、そんなに経つのかぁって。レース後に侑吾さんから「良かったな!」って言ってもらえて。立川記念の最終日は今こうやって思い出してもグッと込み上げてくるものがありますね。

—久々のGIII優勝から2週間ほど経って何か気持ちの面の変化はありましたか。また今年の目標はなんでしょうか。

山口:万全の状態でないのでこれまで通りに身体の動かし方使い方を考えながらのトレーニングは変わらずに。年末でひとつの区切りがついて年が明けたらまたゼロから頑張ろうと思っていた中で一番のスタートダッシュが出来たのでこのまま波に乗れたらと思っています。目標は...まぁ目標を上げる以上過去より低いものではいけないので一昨年の成績以上をと考えています。

—さて冒頭のお話にありましたように2月からは特別競輪が始まります。まずは全日本選抜競輪(豊橋)です。そこへむけた意気込みは?

山口:GIの日程がここ数年で変わって前期開催のうち四日制が全日本選抜だけになりました。短期決戦ではあるんですが自分としては四日制が精神的にも負担が少ないので、そこで結果を残したいなと思います。

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—では最後にオッズパーク競輪の読者の皆様と山口拳矢ファンへメッセージをお願いします。

山口:去年は成績も振るわず結果も残せなくてレースをご覧になってフラストレーションが溜まる走りだったと思いますが、今年はおかげ様で一年の最初のレースで幸先の良いスタートを切ることができました!今年は去年の分まで巻き返せるようにGI戦線で活躍できるように、せめて決勝は勝ち上がれるように頑張ります。これからも応援の程、よろしくお願いいたします。

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※インタビュー / 大村篤史(おおむらあつし)
九州地区の競輪場でレース実況を中心に活動中。
出身地は大阪。1976年生まれ。

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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社

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