寺崎 浩平選手
2025年02月14日
昨年後半は寛仁親王牌に競輪祭と立て続けにGIの決勝戦を経験した寺崎浩平選手(福井117期)。昨年の近畿大躍進の立役者と言っても過言ではない若武者が2025年さらなる飛躍を目指して!思いを語って頂きました。
橋本:まずは、今年2場所走りましたけれども、ご自身の手応えというか感触はどうですか?
寺崎選手:そうですね、すごく良いと思います。
去年の後半から自転車の乗り方を変え、考えて乗るようになり、年末からこの年始にかけてその成果が出ていると思います。
橋本:具体的に、どういうところが良くなったなと感じていますか?
寺崎:車の出や航続距離も以前より伸びたと感じていますし、レース中、脚にも余裕があるので、精神的にも落ち着いてレースに臨めてるという感じです。
橋本:乗り方を変えたというのは、どこをどう変えたんですか?
寺崎:競技用カーボンの乗り方から、ようやく競輪向けにしっかりシフトでき、今は丁寧に体を動かすというイメージで走っています。
橋本:どなたかのアドバイスを受けたんですか?
寺崎:古性さん(古性優作選手 大阪100期)からアドバイスをもらい、体の使い方などを工夫しています。
橋本:親王牌の時、突っ張り先行のやり方を古性さんに教えてもらったという話を伺いましたが、そういうことも含めて色々と吸収されてるんですね。
寺崎:そうですね。
去年は合宿で古性さんの指導をたくさん受けさせてもらい、すごく考えながら自分のものにしている状態です。
橋本:今はかなりそのアドバイスを体現できるようになってきたという感じなんですか?
寺崎:そうですね。ちょっとずつですが。
橋本:去年の後半、GIの決勝も立て続けに経験され、その舞台でも先行するレースが続きました。その中でどんな風に感じましたか?
寺崎:寛仁親王牌も競輪祭も結果的に9着になってしまいましたので、今年はしっかりと、ゴール前で勝負できるような組み立てをしなければと考えています。
橋本:競輪祭や親王牌、共に脇本選手と一緒に決勝で戦いました。その事についてはどう感じていますか?
寺崎:脇本さんは輪界トップで、航続距離やスピードを持っている選手なので、どうしても毎回大きなプレッシャーを感じますね。
そんな中で、脇本さんからは「逃げて大敗ではなく、自身もしっかり残れるような仕掛けをしてほしい」と言われているので、僕もその気持ちに応えて、ゴール前でしっかり勝負できるような組み立てや脚力をもっとつけていかなければと考えています。
橋本:とはいえ、競輪祭の決勝で脇本選手が優勝したことによって、気持ちが少し軽くなったという部分があるんじゃないですか?
寺崎:はい。なかなか脇本さんと決まらない期間もありましたが、競輪祭で脇本選手の優勝という形で、僕なりには貢献できたという思いもあります。
橋本:親王牌では古性選手が優勝でした。
寺崎:はい、優勝に貢献できて本当に良かったです。ただ、先程も言ったように、脇本さんから「次は自分も残れるようなレースをしなければならない」と言われたので、今年は本当に勝負だなと感じています。
橋本:それを受けての今年一発目の大宮記念。ここでも脇本選手と一緒の決勝戦でした。しかし、初手から後ろが競り合い。佐々木眞也選手(神奈川117期)が番手を主張し、脇本選手の位置を狙うレースでした。前の寺崎選手としては非常に難しかったのではないでしょうか?
寺崎:はい、非常に難しかったです。
とはいえ、後ろが狙われる中で走るというのは、今後、機会が増えると思っていたので、そういった意味で、その経験は良かったです。
結果的に、僕としてはいつもの仕掛けよりも少し遅らせ、しっかり勝負できた部分もあります。もし脇本さんが仮に競り勝っていたら、多分脇本さんが優勝していたと思いますし、僕も残れるイメージがあったので、次に繋がる良い経験ができたと思います。
橋本:大宮記念では結果的に4日間全て2着でした。
仕掛けのタイミングは、初日からそういう風に意識して走っていたのですか?
寺崎:そうですね、その気持ちで走っていましたし、やはり僕もしっかり残れるようにしなければいけないという周りの期待もあるので、今年はその点を特に意識して臨みたいと思っています。
橋本:グランプリの前夜祭で、古性選手は寺崎選手の成長がとても頼もしい、というような話をされていました。
寺崎:去年の年頭の和歌山記念で、古性さんから「お前が今年のキーマンだ」と言われまして、前半はあまり結果が出せなかったものの、後半にしっかり持ち直し、近畿の先頭として最低限の仕事はできたと思います。その点については、ホッとしています。
橋本:すごい!何故キーマンなのか?理由は聞きましたか?
寺崎:いや、それが全然聞いてなくて。でも、そういう高い評価をしてもらってるんだ。というのが凄く嬉しかったですね。僕自身、競技を引退して2024年は競輪に専念すると思っている中での発言だったので、大役を果たせるように!と頑張ってきたところはありましたね。
橋本:去年1年のモチベーションが高い段階で保てた理由がよく分かりました。
そして!2025年はという気持ちも確かになりますよね。
ところで、寺崎選手というと先行のイメージが強いのですが、捲りで勝負してもいいといった部分もあるのでしょうか?
寺崎:そうですね、基本はやはり先行主体で戦っていますが、僕より若い選手もどんどん出てきていて、相手も先行で!という気持ちが強い時は先行争いというより、中団を取る競走や、捲りは当然考えています。
橋本:位置取りなんかは、古性選手なんかは得意だと思いますが、何かその辺でのアドバイスはありますか?
寺崎:古性さんからは体の当て方や、当てられたときの対処法などを色々と教わっていますし、古性さんだけでなく、三谷将太さん(奈良92期)などからもその辺はアドバイスをもらってます。
橋本:そういうアドバイスを受け、実際の練習で試してみて、これはいける!と感じることはありますか?
寺崎:GIクラスでやれるかというと全然厳しいですが、中団で位置を取っていく組み立ても今後必要ですし、実戦の中でどこまでできるかは、数を積んでいかないとわからない部分もあります。ですが、準備はしっかりとして、いつでも戦えるような心構えは持っています。
橋本:今後番手のレースなどがあるかもしれません。例えば福井でゴールデンルーキーの市田選手(市田龍生都選手 福井127期)がデビューされましたが、そういう存在についてはどう感じていますか?
寺崎:高校時代から知っており、一緒に練習したり、チームスプリントや競技で走ったりしてきたので、強さは元々知っていますし、とても嬉しいです。
橋本:市田選手の後ろを回る寺崎選手の姿をファンの方も期待されていると思います。番手のレースになることもきっとあるでしょうね。
寺崎:そうですね。その時が来たらやはり前を走る選手の気持ちを無駄にしないようにしたいですね。とにかく、前を走る選手にはしっかりと勝てる仕掛けをしてほしいと感じています。前の人が勝てる仕掛けをしてくれれば、自然と自分にもチャンスが生まれると思いますし。
橋本:これまでの去年1年間の競争でも、古性選手や脇本選手から「こんな風にしよう」という決まった作戦はなかったのですか?
寺崎:なかったですね。
基本的には、僕が初手の位置だけを決める感じで、あとは自分の仕掛けたいところでいってくれればいいという感じでした。
橋本:その辺は逆に責任というかプレッシャーを感じる部分かもしれませんね。
では今度は、戦う相手として「この選手には特に負けたくない」といった存在はいますか?
寺崎:はい、ナショナルチームで一緒に戦ってきた選手には、どうしても負けたくないと思っています。
橋本:例えば、太田海也選手(岡山121期)や中野慎詞選手(岩手121期)?
寺崎:そうですね。やっぱり非常に気合いが入ります。一緒に戦ってきたからこそ負けたくないという思いはありますね。
橋本:新山選手(新山響平 青森107期)と対戦する時にも凄く寺崎選手からの熱量を感じますが。
寺崎:新山とは同級生で、ナショナルチームでも一緒でしたからね。ただ、戦いにくい相手ではあります。
橋本:やはり、突っ張られるかも?というのはありますよね。
寺崎:そうですね。その辺はありますね。
橋本:今後、強化したい部分はどこですか?
寺崎:やはり航続距離ですね。そこを強化していきたいです。
橋本:大宮記念では500バンクでオール2着という結果でした。確かに末は安定してましたね。
寺崎:走り方の意識や練習がしっかりできていて、航続距離の長さも少しずつ伸びてきているとは感じています。
橋本:航続距離を伸ばす練習は相当ハードなイメージですが、今は本当にかなり練習に費やす時間が多いという感じですか?
寺崎:そうですね。でも僕は全くハードな練習が苦にならないんですよ。
橋本:えっ??ナショナルチームの時もですか?
寺崎:そうですね。辛いのは辛いんですが、それが嫌だと感じたことは一度もないですね。それは学生時代から本当にそんな感じでした。
橋本:息抜きなんかは?
寺崎:練習が息抜きみたいなものです(笑)
橋本:恐れ入りました。ところで奥さん(寺崎舞織選手/福井112期)も競輪選手ということで、その点はどうですか?
寺崎:そうですね。セッティングやレースの話をよくしますし、練習内容も基本的に同じなので、互いに理解し合あえて助かっているところは多いなと思いますね。
橋本:公私共に充実していますね。それなら今年は更に!向上心を持って1年間頑張っていけそうですね。あと、怪我や痛みなども全然ない感じですか?
寺崎:今はしっかり体のケアもできており、良い状態で毎日練習できています。今月末には全日本選抜もありますし、脇本さんのグランドスラムもかかってるので(笑)そこでしっかり良い結果を出したいです。
橋本:プレッシャーのかかるレースが続きそうですが頑張ってください(笑)では、最後に読者の皆様にメッセージをお願いします。
寺崎:確定板にしっかりと乗れるようにこれからも頑張っていきますので、応援よろしくお願いいたします!
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※インタビュー / 橋本悠督(はしもとゆうすけ)
1972年5月17日生。関西・名古屋などでFMのDJを経て、競輪の実況アナウンサーへ。
実況歴は18年。最近はミッドナイト競輪in小倉を中心に活動中。
番組内では「芸術的なデス目予想」といういいのか悪いのかよく分からない評価を視聴者の方から頂いている。
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※写真提供:株式会社スポーツニッポン新聞社
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