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競輪祭でGI初優勝!その裏には、同期の絆も...。|阿部 拓真選手

2025年12月26日

今年の競輪祭(GI)を制し年末のKEIRINグランプリ出場を決めた、宮城・107期の阿部拓真選手に、競輪祭やグランプリに向けてのお話を伺いました。

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大津:まずは、競輪祭(GI)優勝おめでとうございます。

阿部:ありがとうございます。

大津:この1ヶ月でかなり生活が変わったんじゃないですか?

阿部:そうですね。本当にありがたいことに、こんなにも反響があるのかと。本当に忙しくやらせてもらっていますね。

大津:具体的にはどのような反響がありましたか。

阿部:取材の依頼であったり、優勝報告会であったり、先日は県庁の方に表敬訪問もさせていただきました。

大津:すごいですね!

阿部:まさか、こんなことになるとは思ってもいませんでした。

大津:なかなか県知事の方と会うことなんてないですもんね。

阿部:そうですね。自分がそういう実績がある選手で、それを積み重ねて、こういう舞台に立てるような感じであれば想像できるんでしょうけど...。こんなにも急にジャンプアップしてしまったもんですから、本当に驚いています。

大津:菅田壱道選手(宮城・91期)が「拓真は"持ってる"よ」って言ってましたよ。

阿部:いや、今まで「持ってない」人生だったんで...。もうなんか、一気にそれを回収してしまったというか...。逆に嫌なことが起きてしまうんじゃないか、とか考えてしまいます。

大津:「タイトル取ったんだな」という実感はありますか?

阿部:S級S班になるっていう実感はないんですけど、いろんな反響があって、「取っちゃったんだな」「取ってしまったんだな」みたいな感じはありますね。

大津:「取ってやったぞ!」という感じより、「取ってしまった」という感じですか?

阿部:いやー、まあ表現的に悪いかもしれないけど...。だってずっと6番車ですよ。緑(6)・ピンク(8)のユニフォームしか着てないですもん。ピンクから4連チャン緑で、よくここまで来てしまったな、と。嬉しいけど、そんな感じですね。

大津:決勝を迎えるまで、ターニングポイントとなったレースはありましたか?

阿部:2次予選、準決勝で単騎になったっていうことが、自分の中ではプラスになったのかな、と思います。自分で位置を選択するというか、レースの中でどう付いていこうっていうところで、自分で言うのもなんですけど、いろいろハマったなぁ、と。たまたまですけど、これで良かったんだなって思いますね。

大津:"たまたま"とおっしゃいましたけど、阿部選手はレースの位置取りがすごく上手いイメージがあります。ご自身ではいかがですか?

阿部:他の人より脚がない分、そういうところを突き詰めていかなきゃ、とは思っています。いつも一生懸命やっていますけど、「まだまだだな」って思うところもあります。競輪祭の舞台で、突き詰めていた部分が出せたのは大きいですね。

大津:レースの作戦は綿密に考えるタイプですか?

阿部:「最初の位置がここだったらいいな」とかは考えています。ただ、本当にレースは生き物で、誰がどう動くかって実際わからない部分もあります。その中で瞬時の判断をしていきたいとは考えていますね。

大津:決勝進出が決まったときの心境は覚えていますか?

阿部:いやもう、2次予選を勝ち上がって、準決勝に乗っただけで結構お腹いっぱいでした。ちょっとヘラヘラしすぎて「これ、やばいな」って思うくらい、ニヤニヤが止まらなかったです。

大津:それが正直なお気持ちですよね。

阿部:そうですね。決勝は無事に走り切りたいなと思って、まず9着の賞金を見てましたから。優勝の「何千万」という賞金のことではなく、無事に完走できれば良いと思っていました。

大津:平常心で欲を出さずに、というのが良かったんですかね?

阿部:なぜかは自分でも分からないですけど、準決勝、決勝って、すごくリラックスして臨んで、楽しめたっていうのが大きいですね。

大津:普段はそんなに緊張されるタイプじゃないんですか?

阿部:する時はするし、しない時はリラックスして臨めます。その時その時のレースで違うというか、今回の競輪祭の準決勝と決勝に関しては、なぜかすごくリラックスして臨めましたね。

大津:決勝は同期の吉田拓矢選手(茨城・107期)との連携になりました。メンバーを見た時に"吉田選手の後ろ"というのはすぐに決まったんですか?

阿部:いや、けっこう悩みましたね。やっぱり幸訓さん(渡部幸訓選手・福島・89期)もいましたし。今までラインができる時は、自分が前で動いてきたりもしたんですけど、中途半端な自力だし、この大舞台で自分が動いて、別戦も強力で...。「自分に何ができるんだろう」って思って、本当に迷いました。幸訓さんとしっかり話し合って出した結果でしたね。

大津:実際に吉田選手に「後ろつきます」と伝えた時、反応はいかがでしたか?

阿部:近づいていったら、先にニヤニヤしてて、"もしかして俺の後ろ来るんじゃない?"みたいな感じでした。それで、「明日ついてもいいですか?」って聞いたら、「いいんですか?後ろについて欲しかったです」って答えてくれて。同期だし同班で、同じ部屋で過ごしてきた仲間だったので嬉しかったです。

大津:これまで吉田選手との連係はあったんですか。

阿部:今回が初めてでした。GIの決勝で同期同班の選手と一緒に組むっていうのも、凄い縁だと思います。本当に感慨深かったです。

大津:阿部選手もかなり気合いが入ったんじゃないですか?

阿部:みんな強いし、自分が圧倒的に"挑戦者"の立場だったんで、まずはレースにしっかりと絡むことに集中していました。

大津:阿部選手のスタートの位置取りは、決勝でも大きなポイントになりました。

阿部:あの位置を自分で取れたのは、優勝できる確率をグッと上げてくれたと思います。タイミングよく出られて、本当に良かったですね

大津:吉田選手と阿部選手は外枠の車番でしたもんね。

阿部:拓矢が「まず前が欲しい」っていうことだったんで、なんとか出て、一番前は取れなかったんですけど、結果的に良い位置に入れて...。本当にチャンスが巡ってきましたね。

大津:周回中はどのようなことを考えていましたか?

阿部:本来ならソワソワしたりすると思うんですけど、ああいう大きい舞台だと逆に冷静に回れて、呼吸もいい感じでした。リラックスしているけど、抜けすぎているわけじゃない。ちょうどいいバランスが取れていたと思いますね。

大津:良い精神状態で走れていたんですね。

阿部:あと、前日に守澤さん(守澤太志選手・秋田・96期)がやってきて、響平(新山響平選手・青森・107期)に「SSを張ってきたお前からアドバイスしてやれ」って言ったときに、響平が「うーん...、周回は6周です」って言ったんですよね。それで「え、そうなの?」って言って、「マジで今知った?」みたいなやり取りがありました(笑)

大津:さて、ジャン周回のホームで好位置に入りましたよね。吉田選手が3番手で、阿部選手がその後ろで。どういうところに気をつけていましたか?

阿部:まずは追走で離れないことに集中していました。貴治(松本貴治選手・愛媛・111期)がかましてきて、拓矢の前まで入った時に、結構ピッチがキツく感じました。「これ、捲りに行ったらヤバいな」と思って、踏み出しでちょっと離れちゃったんですよ。「ダメだ...うーっ」って苦しくて。でもそこから、なぜかちゃんと良いコースを選べました。

大津:あの苦しい状況で、あのコース取りですよね。

阿部:そうですね。

大津:ゴール直前はどうですか? "ここから伸びる"という確信はありましたか?

阿部:いや、全然確信はなかったです。内から一回ドンって山田ヒデさん(山田英明選手・佐賀・89期)にもらったんですよ。そこでうまく返せた時に、荒井さん(荒井崇博選手・長崎・82期)が前に踏んでいて、それを差せる感じはあって。そこからもう無我夢中で踏んだら1着入線していた、みたいな感じでしたね。

大津:ゴールの瞬間に「荒井選手を捉えた」という確信は?

阿部:それは確信できましたね

大津:阿部選手を買っていたファンの方からすると、最終バックでは「阿部!阿部!阿部!」って叫んでいたと思いますよ。

阿部:いやもう、それは本当に拓矢が「すごい選手」ってことです。あの展開になって、すかさず行けるっていうのが、やっぱり素晴らしい選手だなって改めて思いました。

大津:レースの後は、吉田選手とは何か会話はされたんですか?

阿部:レース直後はバタバタしていたり、取材の対応もあって会話はまったく出来なかったんですが、北日本の打ち上げタイミングで、その場所に拓矢が来てくれたんです。そこで話して、感謝の気持ちを伝えて...、「ありがとう」と言いました。記念に新山と拓矢と3人で写真も撮ってもらったりして...。この2人と肩を並べたわけじゃないですけど、同じタイトル(競輪祭)を3人が取れたっていうのはすごいことだな、と。なんか"すごいことをやってしまったな"って思いました。本当にその瞬間、すごく嬉しかったですね。

大津:確かにそうですよね。107期の3人がそれぞれ競輪祭のタイトルを取って、その3人で写真を撮るっていうのは、すごい確率ですよね。

阿部:そうですね。もう高揚しましたね、その瞬間。

大津:打ち上げもかなり盛り上がったんじゃないですか?

阿部:やっぱりみんな本当に祝福してくれました。北日本のほとんどの人が最後まで残ってくれて、胴上げもしてくれて、本当になんか嬉しいですね。

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大津:ゴール後に敢闘門へ戻ってきたときも、周りの選手から熱い祝福を受けていましたよね?

阿部:和田圭さん(宮城・92期)に、めっちゃポンポンってされました。あの和田圭さんがですよ!そういうタイプでもないのに熱い抱擁をいただきました。(笑)

大津:ヘルメットも投げていましたよね? お客様から言われたんですか?

阿部:いや、もう"こういう時ってこうやるもんだよな"と思って、やっちゃいました。

大津:新田祐大選手(福島・90期)からは、戻ってきて笑われたというお話も聞きました。

阿部:普通は優勝者が出たときには"おお?"ってなるのに、こんな大爆笑が起きたのは初めてだぞって言われましたね。

大津:それぐらい、阿部選手がみんなに愛されているということですね。

阿部:いやいやいや...。サプライズすぎて、みんな声も出なかったんでしょうね。

大津:ご家族の反応はいかがでしたか?

阿部:いやもう、本当にみんな喜んでくれました。うちの兄とかも、普段はそういうタイプでは全然ないのに、感動して泣いてたって話も聞きました。こうやって家族を感動させられて、自身のこういう姿を見せられて、自分のことなんですけど、それ以上に周りが喜んでくれたってことが嬉しいです。

大津:周りの人が自分のことで喜んでくれるって、なかなかないことですもんね。

阿部:そうですね。かなり反響があって、いろんな方からも連絡いただいて、「嬉しかった」「感動した」って言葉をもらうと、自分の走りで人を感動させられるんだ、喜んでもらえるんだっていうのが、本当に何より嬉しかったです。

大津:携帯電話に着信とかメールとか大変だったんじゃないですか?

阿部:えぐかったですね。ありがたいことに「この人、競輪見てるんだ」っていう人からも来ていたりして、本当にみんな見てくれていたんだな、と思えてありがたかったです。

大津:自分へのご褒美は何か買いましたか?

阿部:いや、特にまだ何も買ってないんですよね。ちょっと今バタバタしていて、いろいろ買い物に行く時間もなくて、まあ欲しいものも特にないんですが。

大津:年末にもう1つ、大事な一戦が控えていますもんね。

阿部:そうですね、そこまでしっかり頑張らないと。まずレースにならないといけないんで。気を抜かずに、ここからまたしっかり練習を頑張ります。

大津:KEIRINグランプリに向けて、現在の仕上がりはどうですか?

阿部:いや、相変わらず"仕上がってる"って感覚はないです。いつもなんですけどね。

大津:相変わらず、ですか。

阿部:相変わらずです。昔からA級の先輩たちにも言われていました。
「拓真と練習すると本当に自信がつく」
「S級1班の選手相手にオレらが勝てるんだから」って。
最近は、僕が弱すぎて「さらに自信つく」って言われていますね。(笑)

大津:KEIRINグランプリは普段とは違って一発勝負です。何か"秘策"というか"対策"みたいなものはありますか?

阿部:そうですね、つまり初日にピークを迎えないといけないですよね。初日が1番大事で、前検日はその2日前じゃないですか。そこに向けて、どう考えるか、どう仕上げるかっていうのは考えていますね。

大津:KEIRINグランプリは、普段競輪を見ない方からも注目されるレースだと思いますが、こんな走りを見てもらいたい、っていうイメージはありますか?

阿部:そうですね、やっぱり最後まで諦めないところですかね。それが武器というか、性格なのか...。だからこそ落車が多くて、逆に「抑えなきゃいけないな」と思う部分でもあるんですけどね。最後まで諦めない姿勢は武器なのかもしれないです。

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大津:来年は今年以上に注目される存在になると思います。これから、どんな選手を目指しますか?

阿部:基本的には"信頼される選手"になりたいです。そのためには、今までみたいに落車して迷惑をかける、っていうのは少なくしたいですね。前でも後ろでも信頼される選手です。そして安定して、ファンの皆さんにも信頼して買っていただける選手になること。それが目標です。

大津:来年は、いわき平競輪場でKEIRINグランプリもあります。

阿部:せっかくS班になってGIもシードから走れる、っていう状態の中で、チャンスはいただけたと思います。そこに向けてしっかり一歩一歩、地に足つけて他のS班の方や、そういう大舞台で常に戦っている選手たちに、肩を並べられるように頑張っていかないとな、と思ってます。

大津:最後に、KEIRINグランプリに向けての意気込みを一言、お願いします。

阿部:まずは本当にレースに参加できるように、ここからしっかりまた気を引き締めて練習して頑張ります。
「阿部から買うよ」っていう声も、いわき平の優勝報告会でファンの方から言っていただきました。競輪は何が起こるか分からないってことを、競輪祭で証明できたと思います。"自信があるか"と言われたら、そういうことではないんですけど、何があるか分からないと思うので、そういったレースにしっかり貢献できるように、その可能性を増やすためにも、頑張っていきたいなと思います。

インタビュー:大津尚之

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