飯塚所属の25期。デビュー当時から頭角を現し2008年にはSGタイトルホルダーに。順風満帆な選手生活を送っていたが、2013年に大きな落車事故に巻き込まれる。なんとか復帰を果たすも思ったレースが出来ず引退を考える。しかし、周りに支えられリハビリを乗り越え、今年は2度のGII制覇を含め4度の優勝。復帰して丸6年。近況の状況や、当時の想いなどをお聞きしてきました。
インタビュー / AKI
AKI:改めて、GIIウィナーズカップ優勝おめでとうございます!
有吉:ありがとうございます。
AKI:優勝できそうかな?と言う感覚はあったんですか?
有吉:出来るかもしれない。けど、そんなに自信はなかったかな。エンジンは準決が終わってバルブを思い切って交換。そしたら、準決の時より良くなって直線の感じが違っていた。スタート切れればもしかして...という気持ちはありました。ただ、スタート行っても青山(青山周平選手 伊勢崎・31期)や圭一郎(鈴木圭一郎選手 浜松・32期)がいたからどうかな、とも思っていた。優勝出来る!という自信はなかったけど、エンジンの状態は良いし浜松でずっと良かったタイヤもあと一走行ける感じが残っていて、良いレースは出来るんじゃないかな、という感覚はありましたね。
AKI:優勝戦振り返りますが、スタートタイミングは0.01でしたよね!!
有吉:後で見てびっくり(笑)けど、フライングを切ったと言う感じはなく、スタートバシッと切れたなという感覚。ただ、レース後、周りにやばかったよと突っ込まれました(笑)
AKI:スタート直後は前の田中正樹選手(飯塚・29期)の内を覗きましたよね!
有吉:行き過ぎたと思った。正樹もエンジンが良さそうで抑えられてしまった。事故など何もなくて良かった。ただ、最近は、インで堪えれるようになってきた。これは、乗り方的に。最近は、序盤はあまり大きなコースを走らない方が良いのかなと思うようになりました。トップに立ってからは大きく走る様にしています。
AKI:青山選手や圭一郎選手の追いを気にされていましたが。
有吉:後ろには、ごちゃごちゃしてほしいと思っていたんですが、自分の希望通りごちゃごちゃしてくれました。2周目の4コーナで一回滑って「あ、これ無理したらだめ。」って思ったんですが、そこで冷静になれたのも良かったかな。ソフトに乗りました。
AKI:スタートで展開をつくって早めに先頭に立ちましたが。
有吉:残り6周で先頭に立ってからは長かった。本当に長かった。早く残り1周になってくれと思っていました(笑)
AKI:レースは緊張されましたか?
有吉:全然ですね。ただ、レース前は緊張します。隠してるつもりはないんですが表に出ないのか。すっごく気持ち悪くなります。エズきます(笑)ただ、発売を締め切ってヘルメットを被ると全然緊張しない。もう、行くしかないと思う。そこで欠車しますなんて言えないですし(笑)そこまでいくと腹がくくれるんでしょうね。それまでの時間は緊張しますね、朝起きてから。考えてる時間のほうが緊張しますね。
AKI:それにしても、浜松は相性がいいですよね!
有吉:そうですね。ただ、走りやすいとかは全く思ったことはなくて(笑)湿走路は滑るし。最近は風も気になるし。けど、なんか勝てちゃう。自分に合うんでしょうね。枠番の巡り合わせだったり。復帰後最初のSG優出も浜松だったし、色々合ってる感じがします。
AKI:復帰して6年経ちましたが、体とバイクとの兼ね合いはどうですか?
有吉:未だに、練習や試走の時にバイクの押さえ方など考えながら変えたりしているんですが、少しずつハマってきたかなという感じはありますね。ただ、スタートで浮いたり失敗すると変なところに座って、そのまま走ってしまうと気持ち良くは乗れない。そうなると、捌きにくくなるし、エンジンが良くないとさらに上手く乗れなかったりします。
AKI:良い方向には向かってきてるんですね!
有吉:そうですね。体の感覚は最近良くなってきています。ただ、エンジンが良いからあまり身体の違和感を感じないというか、勝つことも出来てるというか。エンジンが悪くなると...と考えると不安しかない。今のところは大丈夫。セッティングを合わせることが出来れば。エンジンのベースは良いですよ。
AKI:今年は4回の優勝(内2回はGII)ですがご自身ではどう感じていますか?
有吉:優出の時点でびっくり。なんていうか...上手く説明できないんですが不思議なんですよね。まだ、身体の違和感をある中バイクに乗っていて、復帰した時のダメな感覚が残っているんです。なので、自分が優勝出来るわけがないって感じ。これが完璧に身体の違和感なく乗れていれば『優勝出来た!』という感覚があるんでしょうけど。巡り合わせとか良いタイヤとか「優勝させてもらってる」という感じなんです。
AKI:自分自身、半信半疑な感じなんですか?
有吉:そうですね。全くもって自信はない。昔から、自信は持てないほうですが、復帰して優勝重ねても半信半疑です。これはレースの結果よりも自分の身体の感覚の問題です。
AKI:現在はタイトルを取るほどまで来ましたが、復帰当初は引退も考えられたと聞きましたが。
有吉:考えました。というか、引退を決意していました。2013年の9月に落車をしたんですが、その年はスーパースター王座決定戦の出場ポイントを持っていて。医者には止められたんですが12月に1度復帰したんです。けど、エンジンは自分でかけられないし、乗っても足は付けれないし上がらない...外線1周で「これはだめだ」と思いました。そこから、休場してリハビリに専念。翌年のオールスターに選ばれていたので3カ月後には2度目の復帰。けど、そこから落車のオンパレード。復帰してからの落車って結構多いと思う。もちろん成績も良いわけないし、復帰節の川口最終日には試走で落車。乗り方を探ってた時期で変な腰回りになってしまっていたんでしょうね。その辺りでだいぶ心は折れていたけど、周りの仲間が静かに見守ってくれていたし、なにか整備をしだしたら手伝ってくれて。その時は、ぼろぼろになるまでやろうかなと思っていたんです。
けど、ある日全く乗れなくなって。落車前のハンデよりも20〜30前で走っていた時に、自分よりハンデが軽い選手より遅かったレースがあって。なんかていうか、耐えられなかった。こんなに乗れないのかと。もうやだって感じ。その時、引退を決めました。
AKI:引退を決めてからなにか行動は起こしたんですか?
有吉:復帰してなん節か経った川口の開催の時に引退を決めたんですが、その時に同期が何人かいて。もう挨拶回りですね。色んな人がいるんで良い意味で受け入れてくれる人もいたし、受け入れながらやっぱり辞めないで欲しいと言う人もいたし、辞めたらダメやろ!と言う人もいた。みんなそれぞれ考えてくれてのこと。
AKI:そこから、引退を踏みとどまれたのは?
有吉:川口の帰り、徹(久門徹選手 飯塚・26期)と亮(高林亮選手 飯塚・27期)に空港でご飯食べながら引退のことを話しました。そしたら、もちろん徹は「だめやけ。」と言って止められました。そこから、徹が斡旋のなかった人達に連絡をしてくれたみたいで、急遽みんなで集まることになって。空港に着くと竹ちゃん(竹谷隆選手 飯塚・23期)もいて。「これ絶対説得されるやつだ」と思いましたね(笑)けど、俺の中じゃ99%、ほぼ100%に近い状態で引退は決めていたんです。
AKI:そこから説得が始まるわけですね。
有吉:はい。本当に色んな選手が集まってくれてとにかく説得。辞めるなと。その時、同期の亮ちん(岩崎亮一選手 山陽・25期)もいたんですが、亮ちんが一言「お前、オートレース取ったらなんもないやろ」と言われた。(笑)当時は失礼な!とは思ったけど、言われた時も特に反論することもなく。後から、「あんなこと言ってくれる人おらんよ」って周りに言われて。竹ちゃんとかも、少し休んでもいいんじゃないかな、と言ってくれた。「そうだな。俺リハビリするわ。」と言って休みをしっかりもらうことにしたんです。リハビリもしながら考える時間を作って。普段でもほぼ全レースを見るんですが、当時もオートレースを忘れていいのに見ちゃうんですよ。同期とかの活躍を見たら、やっぱ走りたくなったんですよね。
AKI:その思いはどれくらいで沸いてきたんですか?
有吉:1ヶ月くらいかな?辛いよりバイクに乗りたいが先に来た。恥ずかしいレースをしてもいいや。成績が悪く乗れなくて引退する分には仕方ない。トコトン8着引いて、引退なら引退で。やりきろうと思った。だから、それまでは自分から引退することは止めようと思ったんです。吹っ切れたんでしょうね。それに、自分でもオートレースしかないと思いました(笑)だめだ俺、なんも出来ない(笑)
AKI:良い仲間に巡り会えましたね。
有吉:周りがいなかったら本当に辞めてたと思うけど、辞めていたら凄く悔しかったと思う。
周りが止めに入ってくれて本当に良かった。復帰してからも周りは何も変わらずそっと見守ってくれて、何かしだしたらすぐに手伝ってくれます。周りに恵まれましたね
AKI:有吉選手にとってオートレースとはなんですか?
有吉:大きな怪我を経験したり復帰したり...もちろん人生そのものになってしまいましたね。本当に嫌いになる時もあるけど、やっぱり好きな時の方が多い。そう言うもの。
AKI:なんだか恋人みたいですね(笑)
有吉:そうですね(笑)わかりやすくいうとそうです。そう言う感じかな。
AKI:今後の目標はありますか?
有吉:スーパースター王座決定戦にもう一度出る事。ここまで言えるようになった自分が怖い(笑)
レース的には、1つ1つしっかり走っていくことですね。乗り方、車の抑え方とかまだまだ課題はあるので。身体が少しでも良くなっていけばそれに対応出来るようになると思うし、やっぱりエンジンが悪い時でも扱えるようにならないと。そこを課題として頑張っていきます。
AKI:10月にはS級に上がりますがいかがですか?
有吉:嬉しさと悲しさと...(笑)以前、一度S級に上がった時もあったけど、その時はすぐにA級に戻ったてしまった。今回ももしかしたらそのパターンの可能性も0ではないと思う。今回は特にランクもグッと上がりすぎて基本的には7、8枠からのレースが確定。でも、前回S級に上がった時よりは自分のレベルが間違いなく上がっています。
AKI:厳しくなると言うお話ですがどんなレースをしていきたいですか?
有吉:単純に良いレースがしたい。やる事をしっかりやっていかないと結果を残せないポジションになると思うので、今以上に整備の方に神経を向けていきます。復帰当初は朝から晩まで腰回りをやっていたけど、体が良くなってきた分整備に向けれる余裕も出てきました。
AKI:カミソリスタート復活は?
有吉:カミソリスタートもたまに戻ってくる。たまに。その部分はクラッチ関係をやらないといけないと思うんですよ。研究して練習してる。スタートも課題ですね。
AKI:それでは最後にオッズパーク会員の皆様へ。
有吉:今はネット投票も増えてるんですけど、やっぱり本場で生のオートレースを観戦して、他競技にない迫力を生で感じて欲しいです。オートレースをあまり知らない方は車券を100円でも買って応援するところから入って欲しいなと思います。
いろんな都道府県に住んでる方から応援の手紙とかメッセージだったりいただくんですけど、本当にそれが力になっています。自分が目標にしているスーパースター王座決定戦に出場出来るか出来ないかはファンの皆様次第です(笑)ファンの皆様から元気玉を頂きたいな、オラに分けて下さい(笑)これからも応援をよろしくお願いします!
福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。