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石井 寛子選手

2022年04月19日

3月宇都宮競輪場でのウィナーズカップで行われた、今年最初のガールズケイリンコレクションを優勝したのは石井寛子選手(東京104期)でした。
レースの振り返りを中心に、この後決まっている5月のコレクションへ向けての話、また今の練習状況や今後の目標をお伺いしました。

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山口:「ガールズケイリンコレクション2022宇都宮ステージ」優勝おめでとうございます。

石井:ありがとうございます。

山口:入る前の調整はどのようにされましたか?

石井:久々に時間がとれたので追い込んだ練習がしっかりでき、その後も調整もうまくできました。

山口:今年最初のコレクションでしたが、どんな気持ちで臨みましたか?

石井:1月に私が参加したレースも含めて、開催の中止や打ち切りが続いていたため、年末のオッズパーク杯ガールズグランプリへ向けて「今年は普通開催で賞金を積み上げるのは難しいかもしれない」と思っていました。
私はこの3月の宇都宮、5月のいわき平でのコレクションの出場は決まっていたので、「まずは最初のコレクションを優勝する、ここにかけるしかない」という思いで入りました。

山口:ビッグレースの優勝は賞金争いには重要ですよね。

石井:そうですね。一気に賞金の積み上げができるので大きいです。

山口:宇都宮のメンバーを見て、どう感じていましたか?

石井:ナショナルチームのメンバーが多くいたので、とても緊張していました。「大敗するんじゃないか」という不安があったからです。昨年のグランプリも7着でしたし、ナショナルメンバーのスピードは凄いので、このメンバーでのレースはすごく緊張しました。

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山口:レースの展開を振り返っていかがですか?

石井:前をとる選手がいないと思っていたので、私はいつも通り前から組み立てようと考えて、もし前をとる選手がいたらそこからまた考えるつもりでした。
実はいつも前日には全部作戦などを決めるんですが、今回は決められなかったんです。「後ろからの方が良いのか、いやでもいつも通り前からのが良いのか...」と。結局スタートして、誰も前にいかなかったので、前からと決めました。

山口:一瞬で組み立てられるのはすごいですね!勝負所での位置は2番手、前が尾方真生選手(福岡118期)でしたね。

石井:道中で尾方選手が上がってきたので、それなら、と後ろに入りました。結果としてとても良い位置でしたね。

山口:誘導員が退避しても動きがなかったですが、想定はしていましたか?

石井:500mバンクは仕掛けが難しいバンクなので、早い仕掛けはそこまでないかなとは思っていました。先行したら優勝はできないかもしれない、というのは皆さん思っていたのかもしれないですね。

山口:最後に一気に仕掛けあいになるイメージだったんですね。

石井:はい。昨年のグランプリもそうでしたが残り半周からすごいスピードで仕掛けてきていたので、今回もその辺りから一気にくるんだろうなと思っていました。そのイメージがあったから緊張して体が固まってしまい、一切後ろを振り返れませんでした。でも残り半周を過ぎても「あれ?誰もこないな」と思ってからは、前の尾方選手を追い「ここだ」と決めた所から抜きに行って必死でゴールを目指しました。

山口:ゴール前は外側の佐藤水菜選手(神奈川114期)との接戦でしたね。

石井:それも見えていませんでした。いつもの感覚だと「この辺りにゴール線がある」というのが無く、抜きに行ってからもまだ遠くて500mバンクの直線の長さを痛感しました。宇都宮は得意バンクのひとつなんですが、初めて「ゴールが遠い、遠い!」と感じて必死でした。

山口:喜びをかみしめた優勝だったんですね。

石井:いや、最後は差されたと思ったんです。私が内側、佐藤選手が外側と離れていたので、決定放送で私が優勝だとわかりました。

山口:そうでしたか。レースの展開の話なのですが、今回はナショナルメンバーが多く走りました。その時には仕掛けは遅くなる傾向にあると思いますか?

石井:いえ、それは関係ない気がします。実際、去年私が優勝した7月のガールズケイリンフェスティバル(函館)では佐藤水菜選手は1周先行をしています。今回仕掛けが遅かったのは500mバンクだからかな、と思いました。今回も佐藤選手がカマシていくかもしれないと想定していたので、あそこまで仕掛けが遅いのは珍しいかもしれません。

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山口:ありがとうございます。ではその後、3月末の岐阜では完全優勝でした。予選1、2では「逃」での1着でしたね。

石井:参加選手自体に自力タイプの選手が少なかったんです。レースも動きが少ないし、位置を取り合うくらいなら仕掛けることもあるだろうなとは思っていました。
初日は少し疲れも残ってのでコメントでは「先行はしない」と出していたんですが、展開的に逃げる形になりました。雨、風が強く私の得意な天候だったので逃げ切れると自信を持って仕掛けました。
2日目は想定通りで、前を取らされて逃がされる形でした。予想はしていたので「自分のもつ距離から踏み込んで他の選手を合わせたら、誘導員が退避した1周半は逃げ切れるかな」と前日に気持ちを決めて走りました。

山口:前日から気持ちは固めていたんですね!

石井:2日目はそうですね。でも初日はまったく想定していなかったんですよ。

山口:そうでしたか。レースを見ると初日の方がカマシていたので、逃げる作戦だったのかなと思っていました。

石井:残り1周で仕掛けた時に永禮美瑠選手(愛知118期)も一緒に仕掛けていました。想定では永禮選手が先行し、私が2番手に飛びつけると思っていたんですが、逆の展開で私が先行でした。レースの展開を予想して作戦を立てるのは得意なので、予想外で驚きました。

山口:作戦の話はなかなか伺えないので、貴重なお話ありがとうございます。今後も「逃げ切れそうだな」という時は逃げも考えているんですか?

石井:今回はそうでしたが、そういう時は滅多にないと思います。誰かはきっと仕掛ける選手がいると思うので、今後はあまりないと思ってください(笑)

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山口:次のコレクションは5月いわき平競輪場です。トライアルレースを勝ち抜いた選手が出られるコレクションですが、石井選手が走った岸和田は2日目以降中止でしたね。

石井:参加選手も中止になったら権利がどうなるかわからなかったんですが、「もし中止になった場合は1着の2名がコレクション出場」という決定がきて、そこで初めて知りました。

山口:ご時世的に突然の中止もありますもんね。

石井:そうですね。ガールズケイリンはポイント制で初日より2日目の方がポイント数が多いです。選手は優勝するために、初日は思い切り力を出し切るレースをして調子を見て、2日目以降に修正という選手もいますが、私は昔から常に1着を目指すレーススタイルなので、この日も「1着をとるぞ」とレースに臨み実際に1着もとれました。その気持ちだったので今回はイレギュラーでしたが、コレクションの権利もいただけたんだなと感じました。

山口:いわき平のコレクションメンバーも発表されましたが、見て印象はいかがですか?

石井:グランプリのメンバーとも、前回の宇都宮のメンバーとも少し変わって、自在の選手が多いという印象です。位置取りが厳しい選手も多いので、私は3月のコレクションよりは戦いにくいメンバーですね。

山口:いわき平も得意と以前仰っていましたね。

石井:そうですね。優勝もしていて良いイメージがありますし、直線が長いので追い込むには有利かなと思います。

山口:宇都宮の優勝の時もですが、賞金の寄付をされています。どういう思いでされていますか?

石井:ビッグレースを優勝したらしようと決めています。私は今、レースに走れていてそれはとても幸せなことだと思うんです。でも一方で私みたいに幸せと感じている人ばかりではありません。日々流れてくるニュースを見ていると思うことがあります。「たくさんの方が大変な思いをされているのに私だけが良いのかな」と心が痛みます。
レースを走れることに感謝をしながら、他の方に恩返しがしたいといつも思っているので、自分にできることはしたいと思ってやっています。

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山口:素晴らしい活動だと思います。大切な気持ちを聞かせてくださってありがとうございます。
では次はトレーニングについてお伺いします。毎年お話を聞くたびに「次へ次へ進化していこう」と新しいものを取り入れているイメージがありますが、今年も言える範囲で何かされていますか?

石井:はい。今年から新しい体の使い方を聞き、自転車が進む感覚が違うんだと教わりました。私は自転車歴22年目なのですが「単純な力だけで進むんじゃないんだ」と教わってビックリです。でもできる時とそうでない時がまだあるんです。できる時に感覚の違いに驚いたけど、3日後にはできない、とまだ習得中ですね。

山口:それが発揮できたなというレースは最近ではどれですか?

石井:体の使い方を考えて走るのはまだ難しいので、レース中に取り入れるのはできていないです。後から「あの時はできていたよ」と言ってもらうことはあるんですが、自分で意識してはまだまだですね。
あ、でも今思うと、さっき話にでた3月岐阜の2日目のレースは「教わったように走ろう」と意識していたんです。結果として逃げ切れていて、タイムも良く、自転車も伸びている感じはありました。でも、ハッキリとわかった訳ではないですね。

山口:体にしみこませている途中なんですね。他の選手からもいろいろ聞かれますか?

石井:たまに男子の選手に聞かれるくらいです。過去に教わったことは説明ができるんですが、今習っているものについては自分でまだ説明できないのでまだ私も勉強中です。

山口:現在の勝利数487勝(取材時)と500勝も見えてきていますね。

石井:はい!300勝を達成した時に「次の目標は500勝」とすぐに言いました。300勝で表彰をしてもらったんですが、次の表彰は500勝の時なんです。それを目指して頑張っています。 後は、大きな目標として神山雄一郎選手(栃木61期)の勝利数に並びたいです!

山口:神山選手に!

石井:神山選手はずっとトップで活躍されていて、まもなく900勝という凄い選手ですが、私もその選手に並びたいと思っているんです。尊敬しています。
私が並ぶには今の倍の勝利数を重ねないとだめですよね。そう思うと神山選手の凄さがより際立ちます。

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山口:ぜひその日を楽しみにしています。では直近の目標は?

石井:はい、500勝といわき平のコレクションへ向けて、ですね。

山口:今の練習状況はいかがですか?

石井:3月のコレクションが終わってすぐに岐阜の開催があったので、それを終えて今は疲労がどっと出てしまい最近は休養していました。徐々に次の開催に向けて追い込んだ練習をしていきます。

山口:それでは最後に、オッズパーク会員の皆様へメッセージをお願いします。

石井:いつも応援ありがとうございます。今は自在で戦っているんですが、今後も私のいろんな戦法や技を見てほしいと思っています。レースを楽しんでいただけたら嬉しいです。

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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。

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※写真提供:公益財団法人 JKA

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