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石井 貴子選手

2024年07月19日

6月岸和田で行われた『第2回パールカップ(GI)』を優勝した石井貴子選手(千葉106期)。オッズパーク杯ガールズグランプリでも2着に入るなどビッグレースで活躍していましたが、大怪我があり今回がGI初出場となりました。そこで見事優勝した振り返りと今年の今後の走りへ向けて、そしてここまでの思いを伺いました。

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山口みのり:『第2回パールカップ(GI)』優勝おめでとうございます。

石井貴子選手:ありがとうございます。

山口:初めてのGIでしたが、どんな思いで参加しましたか?

石井:怪我で戦線離脱していたので第1回パールカップ(GI)には参加できませんでしたし、去年からGIができましたがどれも走れない状態でした。なので今回も「いざGI!」という気持ちは全くなく、通常の開催と同じ気持ちでいきました。

山口:準備なども特になかったですか?

石井:はい。怪我をする前の私は、コレクションなどのビッグレースに参加するときは2〜3か月前から準備をしていたのですが、今はそのやり方はしていません。毎回「自分の精いっぱいをやろう」と思って入っているので、「GIだから」「普通開催だから」の区別はないです。

山口:気負いなどもなかったということでしょうか。

石井:はい。3日間を精いっぱい頑張ろうということ、ただ勝ち上がりが普段のポイント制と違い、初日は3着以内なんだなというのは確認していました。でもポイント制よりもわかりやすくてありがたいですね。前検日に記者さんに詳しい勝ち上がりを聞き、準決勝は4着が一人だけ決勝へ上がりますが、初日の着順とパールカップ(GI)の選考順位が関わってくるのを確認しました。

山口:その該当選手になりましたもんね。

石井:はい。自分が先に4着になった時点で、後はドキドキしながら見ていました。

山口:初めてのGIはどこを目標にしていましたか?

石井:もちろん毎レース1着を目指していますが、それは結果で後からついてくるものと考えています。これは普通の開催も同じで、走る前にはいろいろなことを考えます。例えば車番、メンバー構成、そのバンクの特徴、その日のコンディション、自分の体調、その他たくさんのデータを集め「その日に自分ができることはなんだろう」と考えます。レース後は「それを精いっぱいやりきれたか?その結果、何着だったか」ということを日々やっているので、普通開催の予選も決勝もGIも同じです。でもメンバー構成という部分では決勝やGIは強い選手ばかりなので、より応用が必要です。今はそういう取り組み方になりました。

山口:それは怪我から復帰してからですか?

石井:復帰をしてからですね。デビューしてから10年も走っているので、体も状況もどんどん変化しています。いつまでも20代の戦い方をする訳にはいかないし、逆に経験はプラスにしていけます。その結果、今はそんな感じでレースに取り組んでいます。転機になったのはやっぱり怪我ですね。自分にとってかなり大きなことでしたから。

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山口:昨年GIが新設されてガールズケイリン全体の雰囲気の変化は感じますか?

石井:強い選手がたくさんいるので、GIじゃなく普通の開催でも勝つのは厳しくなってきていますね。人数が増えているし開催も増えているので、レベルが上がったと言えばそれまでですが、ますます大変だと思っています。

山口:GIへの意識はどのあたりからありましたか?

石井:特になかったです。自分がレースを走っていてもいなくても、ガールズケイリンのレースは全て見ています。自分がレースを走っている時は通信環境がないのでリアルタイムで見ることはできませんが、開催が終わって外に出たら必ず見ます。どの選手がどんな走りをするのか、誰がどんな展開で勝ったのかなど、GIや普通開催に関わらず全部見るので、特にGIを意識するなどは全くなかったです。

山口:一つ一つの積み重ねが優勝に繋がったんですね。

石井:勝つためにどうしたら良いかは常に考えているし、私自身も勝ちたい気持ちはあります。それが一つ一つちゃんとできたんだなと思います。そうやって工夫して考えていても、自分以外に6人いるので何が起こるかわかりません。いかに自分がシミュレーションしてもその通りになることは少ないので、結果が出てやっと「ちゃんとできたんだな」と思うんです。

山口:ではレースを振り返っていきます。初日は奥井迪選手(東京106期)を差して1着でしたね。

石井:車番に恵まれました。奥井選手が強いので、位置を取れたら余計なことを考えずシンプルに走ろうと思っていました。それがちゃんとできたと思います。

山口:2日目はいかがですか?

石井:私は1番車だったのでまずはスタートだなと考えていました。初日に奥井選手の強さを実感したので、まずは奥井選手よりも前、3番手くらいから自分が1着になる組み立てを考えていたんですが、実際は初手がその通りにはいかず奥井選手は前にいて自分は4番手になりました。その時点で組み立てを変えなければいけなかったのにその判断が遅くなってしまい、仕掛けた久米詩選手(静岡116期)の動きにも反応できず、良くなかったですね。

山口:決勝は7番車でしたが、いかがでしたか?

石井:真ん中の位置は取れないと思っていたので、スタートを思いきって取りにいくか後ろかの2択だなと想定し、まずは7番手からの組み立てを何パターンか考えていました。2日目は1番車だからこその迷いがありましたが、7番車だからと割り切っていました。でも奥井選手が6番手からは想定外だったし柳原真緒選手(福井114期)の並走も想定外でした。そこは自分にとってはありがたかったです。

山口:初手が決まった後は、初日のようなイメージでしたか?

石井:そんなに簡単じゃないと思っていました。奥井選手が仕掛けた後の最終1コーナーで3人の並走になり自分は一番外でした。奥井選手も前に出て内外線間に入ろうと下っていたので、並走に気を取られていると奥井選手のスピードに踏み遅れてしまうと思って注意しました。なんとかしのげて良かったです。

山口:その後は尾崎睦選手(神奈川108期)の仕掛けもありましたが、見えていましたか?

石井:ひょっとしたら後ろにいるのかもしれない、くらいの意識でした。自分も余裕がなかったし、逃げている奥井選手が強いので必死に追い込みました。

山口:最後は奥井選手を追い込んだのはわかりましたか?

石井:いえ、わからなかったです。これは不思議なんですが、1着と2着で8分の1車輪の差があるとして、わかるときとわからないときがあるんですよね。「なんとなく自分が1着かな?でも確信はないからどうだろう......」という感じです。ずっとゴール後はビジョンを見ていました。

山口:優勝がわかったときは涙が溢れてきたと伺いました。

石井:そうですね。最近自分のゴール後の様子をスピードチャンネルの番組で見て「私はゴール後、こんな感じだったのか」と思いました(笑)ビジョンを見て「!!!」となっている様子も映っていたんですが、その後は号泣してしまいました。怪我をしてからのことなどを思い出して、溢れてきてしまいましたね。私は感情の起伏を人に見せるのが好きじゃないので、あんまり人前で泣いたりはしないんですが、思わずでしたね。

山口:感動しました。私も石井選手は常に冷静なイメージだったので、それだけ大変な思いがあったんだなと感じていました。

石井:そうですね。公営競技の選手としてお金が掛かっているので、常にフラットでいることを心掛けています。浮足立つこともないし、落ち込みすぎることもないように振る舞うことは気を付けているんですが、あの時は無理でしたね。

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山口:記事になっているだけでも大変な怪我ですがそれ以上の大変さがあったと想像します。でもファンの皆さんは、あの涙でその苦労を少し感じられたと思います。

石井:普段は何にもなさそうな顔をしていますが、意外に思い詰めている時もあるんですよ(笑)

山口:そうですよね。これは私のことで申し訳ないのですが、怪我から復帰されてしばらくして「実は引退も考えた」という記事を見たときに「そんなに大変な状況だったんだ......」と愕然としたんです。

石井:ああ、そうですね。去年のアルテミス賞レースに選んでもらった時期に、ようやく練習中の怪我について自分でも話せるようになったんです。復帰直後はなかなか言葉にはできなかったですし、言うべきではないとも思っていたので。

山口:そうでしたか。この優勝は、うまく言葉にはできないですが、良かったですね。

石井:でもこの優勝は自分だけの力ではないです。運やレースの状況など本当に恵まれたところも大きいですから。でも以前までの私は違いました。大きいレースに対しては何か月も前から準備して照準を合わせていたので、勝てたときはそこまでの過程や自分の力を評価していました。でも今回はそれは全くなかったですね。「あの時に引退しなくて良かったな」とは思ったんですが、自分だけの力でやってきたことではないと身に染みて感じます。もちろん走ったのは自分で、勝ったことは嬉しいしありがたいことなんですが、たくさんの方に助けてもらい、運も味方をしてくれて、やっとスタートしてゴールまで走り切れているので、「自分が勝ったんだぞ」と誇る気持ちはなかったです。

山口:そうですか。

石井:はい。勝負の神様がいるかはわからないですが、私に「勝って良いよ」って言ってもらえたんだなと感じました。

山口:良いお話をありがとうございます。それでは今後へ向けても伺っていきます。まずは今年の目標は立てましたか?

石井:中長期的な目標は立てていないですね。現状の私は、去年の自分では想像がつかない年になっています。GIも初めて出場し、勝てて、無理だと思っていたグランプリも出場権利をいただきました。ガールズケイリンフェスティバルも昨年は出られなかったんですが、今年は地元の松戸だからなんとか出たいと思って、そちらも出場できます。オールスター競輪も今年は3日制、来年からGIになる移行期のレアな開催ですが、選んでいただきました。去年の私では予想もできなかったし、その全てを目標にはしていませんでした。でも取り組み方としては「少し前の私よりはちょっとでも良くなるように」「半年前の脚力よりもちょっと上げよう」「数か月前の私よりはできるようになろう」と、小さいところを少しずつやっているんです。でも今後もそれしかできないのかなと思います。

山口:ガールズグランプリの権利を持っているから、いろんなことを試したいなどはないんですね。

石井:はい、全くないですね。GIにも「優勝するぞ」と思って参加した訳ではないのと同じで、目の前のレースを勝つために精いっぱい準備をし、自分に対して「そのレースをやりきれたかどうか」を課題にしている。今後もそういうスタンスだと思います。でも今回のパールカップ(GI)の3日制の勝ち上がりは、過去の経験もいきたかなと思いました。以前から行われていたガールズケイリンフェスティバルが3日制で、着順(パールカップ)とポイント制(フェスティバル)という勝ち上がり方は違うものの、同期たちとは「単発レースよりガールズケイリンフェスティバルを優勝するのが一番大変だ」と話したことがあるんです。私もそれを感じていました。まず決勝にいくのが大変だし、ポイント制なので2日目のポイントが重要になってきます。でも私は別府でなんとか優勝をすることができました。その経験が今回のパールカップ(GI)に参加するにあたりベースになっていますね。フェスティバルも何度も挑戦して負けて負けて、一度は優勝をできたという成功体験があります。「あの時どうだったかな」と振り返ることもできる。実際に別府の時も2日目はミスをしているんです。結果は2着で決勝へいけたのですが、あやうく大敗するところでした。ミスをして勝ち上がり、決勝ではそうならないようにと気を付けて走って勝てた経験は参考になりました。前述のように、シンプルに自分ができることをやろうと思っているんですが、自分がこれまで経験したものは栄養にしながら一走一走取り組みたいです。

山口:今年のガールズケイリンフェスティバルは地元松戸での開催です。松戸を走るうえで注意するポイントは言える範囲で、どのような部分ですか?

石井:オールガールズクラシック(GI)を見てても思ったのですが、全体のレベルが上がっているので、勝負所を逃さないことだと思います。後は車番も大切かなと感じました。もらった車番でどう組み立てていくかですね。

山口:お客様にはどんなところを見て欲しいですか?

石井:松戸は小回りなので、レースの面白いところがギュッと詰まっていると思います。選手との距離も近いし、ガールズもですがもちろん男子のレースも、駆け引きがたくさんあるしスピード感も感じられると思います。ナイターですし照明も綺麗で、サマーナイトフェスティバルの名前の通り夏のひとときを楽しんでほしいです。

山口:そして8月のオールスター競輪もファン投票14位で選出されました。

石井:どんなレースでもその日の精いっぱいすると言っていますが、オールスターだけはお客様が自分を選んでもらわないと出場が叶いません。それに乗せてもらえることだけでも本当にありがたいと思うし選んでいただいて感謝しています。

山口:今年は中間発表がありその時は19位。そこから14位という結果でした。

石井:そうでしたよね。中間順位を見て「これは出られないかな」と思っていたのですが、本当にありがたいです。

山口:締切はパールカップ(GI)が始まる前の5月12日でしたよ。

石井:そうだったんですか。てっきりパールカップ(GI)を勝てたから入れてくださった方がいたのかと思いました。でも入れてもらえることが本当に嬉しいです。オールスターはいくら強くても、走りたいと思っても、走れるレースではないですから。本人の自覚がないんですが「走って良いよ」と言ってもらえたからには名誉なことなので、感謝して頑張ります。

山口:たくさんのお話ありがとうございます。最後にオッズパーク会員の皆様に今後の意気込みをお願いします。

石井:いつも応援していただいてありがとうございます。目の前のレースを一本一本精いっぱい走っていきます。これからも応援してください。

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※インタビュー / 山口みのり
三重県松阪市出身。フリーアナウンサー/ナレーター。
各競輪場で中継司会やリポーター、イベント司会などを担当。

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※写真提供:公益財団法人 JKA

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