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オートレース選手インタビュー
良い流れを活かして成長する時。|伊藤 正真選手
2020年10月 2日

伊勢崎所属の33期。父は伊勢崎20期の伊藤正司選手。2017年7月デビューの若手です。今年の前半は、なかなか成績が良くならず苦しんでいた時期もありました。しかし、8月に2度目の優勝を果たしてからは、最重ハンデに下がっても連に絡むなど車券に貢献しています。最近の状況や今後の目標などお聞きしてきました。(取材日:2020年9月23日)

インタビュー / AKI

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AKI:まずは、2度の優勝を振り返りたいと思います。1度目の優勝(2019年2月19日:浜松)1級車に乗り替わってすぐでしたよね?

伊藤:1級車に乗り替わって2ヶ月経たないくらいでしたね。

AKI:雨、湿走路でしたよね?

伊藤:そうです。1級車で乗ったことのない雨(笑)2級の雨は速くもなく遅くもなく。1級車に乗り替わってからはなかなか雨が降らず、あの優勝した日が1級車初めての雨でした。

なので、どうやって走っていいかもわからず、かといって大外ぶん回しても勝てないと思ったので、一か八かでインコース走ってみようかなと思っていましや。そしたら走れちゃったみたいな感じ。珍現象が起きました(笑)

AKI:1度目の優勝はご自身でも驚きの優勝だったんですね!

伊藤:本当、1番自分がびっくりしてますよ!!きっと8着だろうと思っていたので。

AKI:初優勝のレースリプレイ見てどう思われましたか?

伊藤:いや〜上手く乗ってんな〜て思いましたよね(笑)未だになんであんなに乗れたか不思議です。ただ、エンジンの状態はすごく良かったなぁと思います、今思うと。晴れのレースでもいい上がりタイムが出ていたし、優勝戦もエンジンに助けられた感じですね。

AKI:なるほど。その後の湿走路は...。

伊藤:全く乗れなくなりましたね(苦笑)

AKI:湿走路は滑るとかですか?

伊藤:滑るのもありますが、乗り方が分からないというか。ここ1年ずっと訳分からないまま、兄貴分の田中賢さん(伊勢崎29期:田中賢選手)に乗り方を教わっていて。そしたらここ最近、雨が少しずつ乗れるようになってきたんです。

AKI:そうですよね!連対率も上がってきてます!

伊藤:少しずつ兆しがみえてきてる感じはしてます。

AKI:何を変えたんですか?

伊藤:座る位置や姿勢を変えました。晴れは後ろに、雨はフロントを意識してというように。田中賢さんに言われました。その乗り方を意識して練習した成果が最近出てきたかな?という感じです。まだ速くはないけど、以前のように桁外れに遅いという事はなくなってきてると思います。

AKI:2回目の優勝が今年の8月(2020年8月10日:浜松)でした!2度目も浜松だったんですね!

伊藤:周りには浜松に移籍しろとか言われましたね(笑)けど、自分の中では別に得意とかいうわけでもないんですよ(笑)たまたま成績残せたのが浜松というだけです。

AKI:2度目の優勝の時はどんな状態だったんですか?

伊藤:優勝した2節前くらいにパーツ交換をして車の状態は上向きになってたんです。レース足がすごく良くなって。そこから乗り込んだらパーツが馴染んで良くなりました。

AKI:パーツ交換でガラリと変わったんですね。

伊藤:そうなんです。それまでは全然ダメで。1月から半年くらいは大きな着ばかり。クランクやケースを新品にしたり、ヘッドを替えたりしたけどあまり変わらなくて。最後にシリンダーを替えたら一撃。ここかよー!って感じでしたね。乗ってる体感も全然違うし、行きたいところにも行けるし。大外をぶんまわせるエンジンが作りやすくなりました。

AKI:なにが起きるかわかりませんね。

伊藤:本当ですよね。優勝の少し前が悪過ぎて、ハンデ20m前になるかもと少し覚悟していました。そんな時の優勝だったので本当に良かったです。

AKI:2度目の優勝から最重ハンデになりました!この位置で走ってみていかがですか?

伊藤:GIムーンライト(GIムーンライトチャンピオンカップ 9月9日〜13日:伊勢崎)を走ったんですが最重ハンで走れるグレードは嬉しかったですね!オールスターの時は最重ハンに下げられていたんですが、今回は自力で後ろに下がっての最重ハン、素直に嬉しかったです。

AKI:厳しい位置での戦いはどうでしたか?

伊藤:とにかく楽しかったですね!勝ち上がる事は出来なかったですが、「やっぱ最重ハンはすげーな!厳しいなー!」と思いながら、最重ハンで戦える楽しさ、嬉しさが凄かったです。4、5日目に漏れ戦ですが最重ハンで3着と連に絡めたし...最重ハンの第一歩、ムーンライトは本当に楽しかったです。

AKI:その次の節の普通開催もしっかり連に絡んでいましたよね!

伊藤:そうですね。最近思うのが、気持ちの余裕が出て来ました。前までは一杯一杯。レースはいつも100パーセント。だから、失敗したり、落車したり、事故したり...。気持ちで焦る部分が凄くありました。

AKI:その焦りはどこからきてたんですか?

伊藤:速くならなくちゃとか、早く最重ハンにならなくちゃとか、自分の中で変なプレッシャーを感じてしまっていました。そんな中、さらに今年の前半は成績が良くなく...焦っていましたね。田中賢さんにも「レースも慎重に。前の前までしっかり観察して、相手の動きをしっかり見れるようにならなきゃダメだぞ!」とはずっと言われていたんです。自分は前しか見てないし、気持ちで走っちゃうので「そうだなぁ」と思いつつもレースになると忘れちゃって。けど、エンジン状態が良くなってきてから、"気持ちの余裕"のことを思い出して冷静にいけるようになりました。

AKI:気持ちの変化があり、周りが見えるようになったという感じなんですね?

伊藤:そうですね。気持ちの変化は大きいです。前まではレースで緊張していたんですが、今は緊張もしなくなりました。余裕が出てきました、自分も戦えるかも、と。

AKI:御自身の捌きに感じてはどう思いますか?

伊藤:ここ最近はなるべく内に行くようにしています。基本は外のコースなんですけど、隙があれば内のコースもと思っています。外のコースだけじゃ厳しいですし、夏場は特に滑りやすいので。まだ混戦で内に向けるのは厳しいんですが、1対1や、内が甘い人がいればしっかり三角切って内に入ろうと意識しています。それが最近は上手くいってる気がします。

AKI:一つ一つ上のランクに上がっていってますね!

伊藤:そうですね、けど、もちろん甘い部分はまだまだありますよ。混戦になった時に外行って内をすくわれたり。まだまだこれから、上達しないとだめですね。

AKI:整備の面はいかがですか?

伊藤:いつも田中賢さんに整備の情報をもらっています。前まではあけあけで外を大きく走るエンジンを作りたかったんですけど、今はハンデが後ろになって捌けるエンジン作りを意識してます。トルク感があって回転も上がるようなエンジンですね。実際にこれが出来てるかは分からないですが、前とはエンジン作りの方向性は変わってきました。

AKI:なるほど。捌いていけるエンジンですね。

伊藤:はい。外のコースだけではなく、内のコースも走れる様に。コーナーのグリップ操作も変えていかないといけないので難しいですね。どうすればいいのかな?と言う感じです。けど、今はとにかく最重ハンで勉強したい気持ちがあるので、失敗してもいいから色々やってみよう思っています。やったことないセッティングも練習でやってみたりして、良かったらレースでも走ってみてと言う感じです。

AKI:扱ってみての変化はありますか?

伊藤:運が良いというか、自分が思った方向に行ってくれています。今のところは順調に正解は出せているかなぁと思っています。やっぱり嬉しいですよね。自分で整備して、結果が出た時は。

けど、いつダメになるかも分からないので、悪くなった時でも粘れる様に、自分の引き出しを多く持ちたいなと思っています。

AKI:元々はアパレルをされていたと言うことですが、機械、エンジンなど触ったことはあったんですか?

伊藤:全くなくて。工具の名前すら分かりませんでした。なので、養成所ではちょーテンパりましたね。こんなに工具の名前覚えらんないよ!って(笑)レースするだけじゃないのか!と気付いてヤバイなと思いました。

AKI:お父様である正司選手から仕事の内容など聞いていなかったんですか?

伊藤:全く聞いていませんでした。なので、最初は整備の面でかなり不安になりましたし、今でも周りの選手からは仕事が雑だとか言われます。自分、不器用なんで(笑)

AKI:けど、今は良い方向にいってますね!

伊藤:そうですね。僕はいろんな選手に聞きに行くんですよ。「こういう症状があるんですがどうしたらいいですか?」とか情報を求めていきます。そして、言われたことは全てやってみる様にしています。やっぱり自分だけじゃエンジン作りは分からないから、疑問に思ったことは聞きにいく様にしています。自分に持っていない情報を持っている人はいっぱいいるので。遠慮せずに行きます!

AKI:近況のスタートですが、最重ハンでのスタートはいかがですか?

伊藤:周りがとにかく恐ろしく速いですね(笑)そして、スタートが自分の中で1番解決できなかったことで、いろんな人に聞いてアドバイスを貰ってってやったんですけど上手くいかなくって。なかなか正解が出ないんですよ...。

AKI:正解はまだ出ていないんですね?

伊藤:だったんですが!練習の時にスタートが速い選手の横につけて、どうやって切ってるんだろう?と見ていた時にひらめいた事があって。切り方を変えてみたんですよ。そしたら、切れる様になって。S級選手と同タイム位で出れる様になったんです。これが、2度目の優勝の直前です。

AKI:掴めたところがあったんですね!

伊藤:はい。ちょっとは成長したなというか、枠なりには出れるぞ!という感じになりました。周りの選手にも「スタート速くなったな!」と言ってもらえて。やっぱ嬉しいですね。最近は自信を持ってスタートを切れる様になりました。

AKI:良い方向にいってますね!

伊藤:そうなんです。今は全部が良い方向にいっています。とは言っても、いつ悪くなるか分からないので、今のうちに成長しておきたいですね。やれる時にやらないと。

AKI:全部が良い方向にいっているというお話ですが、今の課題はなんですか?

伊藤:課題はもうありまくりますよ!!(笑)スタートもそうだし、捌きもそうだし、エンジン作りもそうだし...課題となると全部になっちゃいますね。けど、その中でも課題にしてるのは、"レース道中の付け位置"ですね。自分はまずは外という付け位置になってしまうんですが、S級の人たちはちょっとした隙を見て内に潜り込んでくる。そこですよね、1番。付け位置が悪すぎるので。

AKI:目標は決めてるんですか?

伊藤:自分は大きな目標を決めないんです。小さな目標を立ててクリアしていく方が挫折しないかなと思っています。スタートをしっかり切るとか、ちょっとしたことでいいんですよね。そういうので自信が出てくるので。大きな目標ばかり立てると道のりが長いから、小さな目標をクリアしていける様に専念しています。

AKI:ちなみに今の小さな目標は?

伊藤:今は、"最重ハンで優勝戦に乗ること"です。そして、少し大きな目標だと"来年のグランプリに出る事"です。

AKI:グランプリの選考は1年間の優勝戦ポイントですよね?

伊藤:そうですね。先月8月に優勝して、地元伊勢崎で優出出来て、ポイントはあるのでこのままの勢いで最重ハンで優出できればリーチなはずなんです。頑張りたいですね。

AKI:話は変わりますが、正真選手は2世レーサーになりますが、やはりお父様の姿を見て選手になろうと思われたんですか?

伊藤:そうですね。小さい時からオートレース漬けの毎日でした。母と祖母がオートレースが大好きで、小さい時から親父のレースを見てましたし、家でもCS放送がついていました。なので、自然と将来はなにかしらのレーサーになりたいなぁと思っていました。33期以前も受けようとしたんですけど色々タイミングが合わなくて。33期を受けて受かりました。けど、小さい頃は親父と同じ職場って嫌だなと思っていたんですよね。ずっと比べられちゃうし。

AKI:実際に同じ職場になってみていかがですか?

伊藤:親父とは正反対の道を行きたいなと思っています!親父はインを走って後続を抑えるタイプのレーススタイル。僕はあけあけというか、スピードを活かせるような、スピードは絶対に負けないような選手になりたいです。

AKI:正司選手のインはかたいですよね!

伊藤:あのインに入れればいいなぁと思ってるんですけどね。練習でたまに親父のインに入ったりするんですけど、その後やっぱり張っちゃいますね。練習なので内のぞくとインコースを少し開けてくれたりするんですがそれでも張っちゃう。それでやり返されて。どうやったら親父のインいけるの?と思いますね。S級の人達は狭いイン入って綺麗にコーナー回るので凄いです。親父もあんなに小さなコースで速く走れるのも凄いと思いました。

AKI:正司選手とはロッカーでお話しされるんですか?

伊藤:新人の頃は親父に頼ったりするのも嫌だったし、見栄えも悪いしあまり喋りませんでした。けど、ここ最近は情報交換をしますよ。自分の成績良いもんで親父も頼ってきます(笑)頼られる事は嬉しいですね。選手になる前は親父と話すこともあんまりなかったんですが、同じ世界に入ってからはよく話すようになりました。仲良くやってます。

AKI:次は同期のお話ですが、33期の中では年上になりますよね!そして、よくいじられてますよね(笑)。

伊藤:本当ですよ(笑)もう少し優しく扱ってと思いますよ(笑)。

AKI:おじいちゃんみたいな発言(笑)。

伊藤:33期は若いから元気ですよね。けど、ありがたいですよね。気を遣わずに接してくれるのは。自分は先輩後輩とかあんまりしたくないんです。同じ人間なんだから、という感じで。自分自身も先輩面しないようにと意識してました。

AKI:同期ですしね!

伊藤:そうなんです。最初は年上だからっていう感じもあったんで「それはやめよう!」て言って向き合ってきました。けど、時間が経つにつれておかしな事になっちゃいましたけど(笑)なんでもかんでも言ってきますからね!(笑)

AKI:年齢に関しては考えたりしますか?

伊藤:しますね。自分が35歳の時あいつら何歳だ?まだ20代か!とか思うと気持ちの焦りはあります。同期だけとあっちの方が若いから先が長いよなぁって。そういう部分で焦りというか、自分には時間がないというか、デビューして5年以内には最重ハンに定着してないといけないと考えてました。

AKI:同期の活躍はどうご覧になっていますか?

伊藤:めちゃくちゃ刺激になってますよ。泉田(川口:泉田修佑選手)、黒川(川口:黒川京介選手)、中村(飯塚:中村杏亮選手)とか、33期の中で常にトップで走ってる存在なんで。才能もあるし、良い刺激もらってます。

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AKI:負けらんない!って感じですか?


伊藤:負けらんないというか、33期みんなで最重ハンで走れたらいいなと思っています。みんなで速くなれればという感じです。もちろん基本は自分が頑張ろうで、今は33期のトップに追いつきたいですね。そして、自分も同期を引っ張っていく存在でありたいと思っています。

AKI:正真選手はSNSを活用されていますが、ファンの方とも交流されていますよね!

伊藤:Instagramなんかでやりとりさせてもらっていて、応援してくださってる方は認識しています。なるべく、ファンの方とのやりとりも大切にしたいと思ってます。応援されなくなったら寂しいですし、自分の走りを見て勇気をもらってますとか言われると頑張んなきゃと思えます。ちょっとでも恩返ししたいです。

AKI:レースはもちろんだけど、SNSを通しても恩返ししていきたいということなんですね。

伊藤:自分はそうですね。ファンがいなくなったらオートレースはなくなってしますので。

AKI:今月、第一子が誕生されていましたよね!そのこともInstagramにUPされていましたが、祝福のメッセージ沢山届いたんじゃないですか?

伊藤:めちゃくちゃ届きました!!!返事するのが大変でした(笑)

AKI:パッチリ二重なところとかそっくりですよね!

伊藤:そうですか〜。いやー本当に可愛いんですよね(デレデレ)けど、息子ができてより一層頑張らないといけないなと思うようになりましたね。それに、怪我をしないよう危ないレースはせず冷静にと更に思うようになりました。息子が生まれる少し前くらいから成績も良くなって、息子には助けられていますね。

AKI:頑張って稼がないとですね!!レースはGIIが続きますよ!

伊藤:そうなんです。スタート行かれても同じ最重ハンの人を1人でも捌けるようなレースがしたいですね。最重ハンの選手としっかり戦えるよう、準決勝に乗れる様に頑張りたいです。

AKI:それでは最後に、オッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。

伊藤:何故か最終日は3連対率が高いので、もしよかったら穴目でも狙ってみてください(笑)そして、これからも応援よろしくお願いします!


インタビュー / AKI

福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。

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