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馬=パートナー

2006年06月28日

 今日の荒尾のメインレース、北関東で活躍していた『トウショウゼウス』が出走する。ちなみに6レースには高崎所属だった『ヒカルナデシコ』が出走する。この2頭には直接関わった事はないけれど、敵として同じレースで走ったり、間近で走りを見てきたので、名前を聞くだけで懐かしい。
 『トウショウゼウス』の主戦だった鈴木正騎手は、今はシンガポールでジョッキーとして復活。『ヒカルナデシコ』の木村芳騎手は地元群馬でいちご農園を営んでいる。
 北関東で活躍していた人達それぞれが、新しい夢や仕事を頑張っている事は、私にとってもものすごく励みになる。
 私が引退した直後は、上京して「浅草今半」に勤めていた。競馬界からは完全に離れた状態。新しい仕事、新しい環境に慣れるように、私なりには頑張っていたつもり。あの頃、何故か競馬に興味のないフリをしていた・・中央も地方も一切見ないようにしたし、競馬関係者ともなるべく連絡を取らなかった。
 引退した事に対して、悔いはない。当初は移籍も考えたけれど、私を受け入れてくれる競馬場は、全部高崎と同じような状態で、いつ廃止になってもおかしくない。高崎で廃止を経験してから、2度と廃止には立会いたくないと思った。厩務員としてなら、南関東でも受け入れてくれると言われたけれど、私の周りの優秀な厩務員さんを見ていて、自分が同じ事を出来るとは思えなかった。
 競馬界を離れても、戻ってくる人はたくさんいる。だってこの世界、本当に面白いもの。だから、自分も戻りたくなりそうで、引退した事を後悔しそうで、競馬が見られなかった。
 そんな私を競馬界に引き戻したのは・・「クウガ、名古屋で頑張ってるよ。」という新谷さんの一言だった。
 オンワードクウガ・・彼のお陰で、どれだけの喜びと苦しみを味わっただろう・・。500キロ以上の馬体、怖がりの気性、私の技術では、どうしても乗りこなせなかった。

 何十回と彼に騎乗し、10勝させてもらったけれど、会心のレースはたった1度だけ。能力があるのに、動かせない・・技術が足りない分、私はギリギリのラフプレーをするようになった。
 クウガのレースでは、毎回先輩ジョッキーに怒られるし、必ず裁決委員に呼ばれ注意を受けた。それでも、私は乗り方を変えなかった。今考えると、なんて自己中な・・と思うけれど、あの頃の私は、クウガの背中にいる時だけは、完全に周りが見えなかった。怪我人出なくて、ホント良かったです・・。
 クウガの最後のレースになるはずだった、高崎最終レース。前日に裁決委員に呼ばれ、「同じ乗り方をしたら、騎手免許停止にする。」と宣言された。それでも、変えるつもりはなかった。
 この時、私は引退を決意したんです。本当に、一緒にレースに乗るジョッキーには迷惑な話ですが・・「クウガのレースで燃え尽きよう!」そう決心していたのに・・大雪で・・。結局幻のレースとなりました。
 それほど思い入れが強かったクウガ君が、今も現役で頑張っている・・。私は何をやっているんだろう・・逃げていてはダメだ・・と思ったわけです。
 そこから、友人のライターさんに助けてもらい、事務所に所属し、今に至る。
 私にとって、競走馬は動物ではなく、人間と同じ、仕事のパートナー。だから馬肉は人肉と同じ感覚。絶対食べられないし、見るのも無理!
 私の元同僚たち、人間だけでなく、競走馬も頑張っている。いつか、そんな仲間たちに会った時、胸を張って、「元気?」と言える、自分でいたい。

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