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キレイごとじゃない話。

2007年05月19日

 親子丼と他人丼について書いていて、昔の事を思い出した。


 あれは忘れもしない、赤見千尋20歳の出来事。
私はデビューしたばかりで、まだ競馬界の事がよくわからないでいた。


 競馬界では、所属厩舎が身内みたいなのも。1番近い存在であり、大切でもあり、だけど逆に離れる事も出来ない、そんな存在。


 その頃、私は自厩舎の厩務員さんにセクハラのような事をされた事がある。誰にも言えず悩んでいたけれど、女性騎手の先輩である米田真由美さんに相談した。すると、
「本人に言うのが1番いいけど、真剣な顔して言っちゃダメ!プライドを傷つけないように、笑顔で明るく言うんだよ。」


 と教えてくれた。
早速次の日に実戦してみたけれど、私の言い方が悪くて相手をものすごく怒らせてしまい、結局厩舎を辞めてしまった。
 ヒヨッコの私のせいで、長年勤めていた厩務員さんを1人失った訳で、調教師の先生に怒られるかな・・と思っていると、


 「そんな事があったなら、すぐに言わなきゃダメじゃないか!」と心配してくれて、ここは私の居場所なんだ、ここに居ていいんだ、と実感した。


 こういうトラブルがあるから、女性騎手を所属にする事を嫌う調教師さんは多い。
でも私の所属調教師は、いつも親のように私を守ってくれたし、高崎競馬場の雰囲気も、私たち女性騎手を大切にしてくれて、何かあればみんなが味方になってくれた。

 何年かして、辞めてしまった厩務員さんとも、また話せるようになった。人間関係は難しいけれど、グレずに頑張っていれば、時間が解決してくれると、身を持って体験した出来事だった。


 確かに、競馬界はキレイな世界ではない。嫌な事もいっぱいあるし、納得出来ない事や、ありえない事もある。
 でもだからこそ、心を許せる人間関係がとても大切な世界。


 今でも、所属調教師の事は親のように大切に思っているし、自厩舎の人たちは家族、高崎競馬関係者は身内だと思っている。


 「生まれ変わっても、また騎手になりたい!」
と私が思えるのは、周りの人たちのお陰なんだ。

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