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ある真夏の出来事。

2007年08月10日

 競走馬たちの身体は、暑さに対応するようには出来ていない。だから夏場は特に、人間が気をつけてあげなければいけない時期。


 厩務員さん達はこの時期、何度も厩舎を訪れては馬たちの変化に注意し、水を継ぎ足す。自分が眠る前にももう1度、トイレに起きたついでにもう1度・・そんな風に愛馬たちを暑さから守っている。


 それでも体調を崩してしまった時には、基本的には休ませるけれど、そうもいかない事情もある。
「休ませるなら、引退させる。」と言われてしまったら、どうする事も出来ない。


 私の現役時代、そんな風景はたくさんあったけれど、なかでも忘れられない出来事がある。
群馬県が日本一気温が上がった日。私自身も暑さと戦いながらの騎乗でフラフラ、何頭かの馬たちはうっすらと白い粉を吹いている状態。これは馬にとっての危険信号でもある。


 ゴールに入った瞬間、隣を走っていた馬がバッタリ倒れて動かなくなった。レース直後だというのに、汗ひとつかいていない。これは最悪の症状で、汗をかけなくなってしまったために体温調節が出来ず、死んでしまったのだった。


 厩務員さんが走って来て、死んでしまった馬の顔や身体に、何度も何度もバケツで水をかけていた。
「もう死んでるから。」と周りに止められても、「ごめんね、ごめんね・・」と泣きながら、必至に水を飲ませようとしていた。


 次のレース、その馬が倒れていた所だけ、馬場が濡れていた。


 競走馬が亡くなってしまう理由はたくさんある。夏の暑さというのも、最も怖いものの1つといえる。
うみ.JPG

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