島津 新 騎手(ばんえい)
2014年03月04日
デビュー年からコンスタントに活躍を続ける島津新騎手(23)。4年目を迎えた年男は、帯広記念を制し今年も良いスタートをきることができました
斎藤:帯広記念はホリセンショウで、病気の鈴木恵介騎手に乗り替わっての勝利でした。
島津:朝、乗り換わりの紙が貼られているのを見て初めて乗ることを知りました。「あー乗るんだなー」って(笑)。うちの厩舎(岩本利春)の馬だからどんな馬かもわかっているし、馬体重があるから、荷物(負担重量)にも負けないと思っていました。
斎藤:レース中は、いつ勝ちを意識しましたか。
島津:障害で膝を折ったのは想定内。レースは落ち着いて騎乗することができました。障害を最初に越えた時に、もしかしたら、と思いました。ゴールまで3回止まって、残り20メートルくらいでキタノタイショウとニュータカラコマが来ているのが見えましたが、ニュータカラコマは辛そうに頭を上げていたから止まるな、と。その後、2頭が止まった時点で行けるかな、と思いました。
斎藤:ホリセンショウの田山克廣オーナーは北斗市の方で、島津騎手のお父様とよく一緒にばん馬大会に参加していますね。
島津:小さい頃から知っている人だったので嬉しかったです。周りの人も喜んでくれました。
斎藤:乗り換わりってプレッシャーはないですか? というか、プレッシャーを感じているのを見たことがないような気がします。
島津:乗り換わりは逆に、プレッシャーなく乗ることができます。いい騎手にはいい馬が乗るのだから、馬を回してもらえるのは光栄です。印が多いと緊張しますよ。逆にいろいろと考え過ぎてしまう。
斎藤:コンスタントに活躍を続けていますが、1年前と変わったと感じるところはありますか?
島津:道中、他の馬を見られるようになりましたね。帯広記念がそうでした。それまでも見られていたと思っていたけれど、今ほどではない。自分が乗っている馬だけではなく、周りの馬もわかっていないといけないから、調整ルームでは自分が騎乗していなかったレースを見るようにしています。乗っていない馬の能力が分かるようになってから、レースがしやすくなった。調教とレースではがらっと変わる馬がいるから、レースを中心に勉強します。
斎藤:3月にはばんえい記念があります。どのような存在ですか。
島津:夢! 乗ってみたい。小学校低学年の時の文集に「ばんえい記念に勝ちたい」と書いていました。当時、(祖父が馬主の)シマヅショウリキが活躍していたからなおさら。
斎藤:今、乗ってみたい馬はいますか。
島津:キタノタイショウに乗ってみたいですね。乗るのが簡単じゃないみたいだから、挑戦してみたい。負けず嫌いなんです。
斎藤:趣味は釣りだそうですが、競馬と似ているところはありますか?
島津:集中力。あと、駆け引きかな。でかい魚を釣った時の気持ちはレースに勝った時と似ていますね。厩舎作業があるのでたまの休みにしか行けませんが。
斎藤:ところで、昨年結婚されたとか。おめでとうございます。帯広記念も勝ててよかったですね。
島津:ありがとうございます、奥さんも帯広記念を勝って安心していると思います。一緒に住むようになってからは、ご飯作ってくれるので楽。5月には子どもも生まれます。
斎藤:食べてもっと太った方がいいんじゃないですか。バレンタインのチョコは届きましたか?
島津:今は62〜63キロ、ちょうどいいから大丈夫です(笑)。チョコは、ファンから届くのを期待していたのに、届きませんでした(笑)。奥さんからしかもらっていません。
斎藤:女性ファンのみなさん、来年は競馬場宛に送ってください(笑)。さて、ばん馬が登場する映画『銀の匙』が3月に公開されますね。
島津:先日、関係者で試写会がありました。面白かったです。全国で公開されますし、漫画にもたくさんばん馬が使われているので見てください。ちょっとは映りましたが、それより(赤塚)健仁がいっぱい出ています(笑)。
斎藤:目標を教えてください。リーディングですか(2月24日現在83勝、8位)。
島津:今、6〜10位が接戦なんですよね。来年度は100勝が目標です。今年度の目標は90かな…。これからは、ベテラン騎手を引きずり下ろすくらいの活躍をしたいです(笑)。 今年は例年ほど帯広は寒くないんです。ぜひ本場に足を運んで、馬の迫力を感じてください。
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※インタビュー・写真 / 斎藤友香