菊池 一樹 騎手(ばんえい)
2014年09月17日
8月24日、3歳三冠の一冠目『ばんえい大賞典』をカイシンゲキで勝利し、重賞2勝目を挙げた菊池一樹騎手(27)。初めての1位入線による重賞勝利でした。
おめでとうございます。2012年のナナカマド賞をショウチシマシタで勝った時は、1位入線馬の降着による繰り上がりでしたものね。
やっと周りに「タナボタだ」と言われなくなるのでほっとしました。それまで、あだ名が「タナボタジョッキー」ですよ(笑)。 レースの1週間前くらいから、どう乗ればいいのか考えていました。緊張していたんでしょうね。(カイシンゲキの)槻舘調教師に、「なるようになる」と言われて楽になりました。(2着のハクタイホウ騎乗の)赤塚健仁騎手は勝てば重賞初勝利。それに比べたら、重賞を1つ勝っているので気持ち的には楽だったと思います。
その名の通り、カイシンゲキの快進撃ぶりはすごいですね。ここまで急成長する馬は珍しいと思います。
カイシンゲキは、デビュー前の馴らしからやっていた馬です。この時から引っ張る力はそれなりにあったのですが、悪い癖があったからか、レースでは案外でした。2障害の下に着いたら、左に逃げるんです。(トップ騎手の鈴木)恵介さんが乗っても、逃げたままぐるっと1周してしまうくらい。さぼろうとするのかなぁ。 これからオープンや重賞に出ることになるし、他の馬に迷惑をかけたら危ないので、昨年の秋くらいから強いハミに変えて、しかりつけながら矯正しました。今年度初めのレースでやわらかいハミに戻したら、やる気まんまんになったんです。障害の下につけても抑えないといけないくらいがらっと変わって、行く気になりました。大外枠に入った時、左に寄れたら落ちるのではと心配していたのですが、よれずにレースができました
ばんえい大賞典ではハクタイホウに勝ちました。ゴール前、接戦でしたね。
5月の『とかち皐月賞』(特別)はハクタイホウの2着でしたが、ゴール後おしっこをしていたのは、かなりきつかったからだと思います。この時、ハクタイホウにはかなわないかな、と思いました。でも、やっとライバルと言えるようになりました。カイシンゲキの良さは、切れ味と粘り。 ばんえい大賞典は、先行したハクタイホウを見ながら障害をかけて、先に降りられたので楽でした。ゴール前、しっかりぼえ(追え)ば勝てるかな、と思いました。
3・4歳の重賞はまなす賞(2着)も惜しかったですね。
ゴール前、後ろから(勝った)コウシュハウンカイが来ているのが見えたから、どこまでもつか、と思いながらレースをしていました。もう手応えはなかったのですが、予想以上に頑張ってくれました。 カイシンゲキの性格はマイペース。急に引っかかるところがあるけど、普段はゆっくりゆっくりで、カメみたい。これからは重量が増えますね。まだ(馬体重は)1000キロないので少しずつでしょう。まだ成長の余地があります。
菊池騎手は、馬を追う時に膝を大きく上下させているフォームが印象的です。
そうですか? 無意識のうちに、そのように動いているのですね。いろいろな人の追い方を真似して試してきたら、今のフォームになりました。目標の騎手は鈴木恵介さんです。ぼったら一番。馬の反応を見て、タイミングを読むのがうまい。身長が同じくらいなので参考になります。
プライベートでは、釣り好きですよね。
先日、大津でアキアジ2本釣りました。自分でさばいて、料理しますよ。大友調教師と行くことが多いですが、最近若手騎手の中で釣りがブームなんです。西将太や島津新もやっています。
所属厩舎の田上(忠夫)調教師はどのような先生ですか。
優しいです。とても馬を大事にする。馬を叩くことを嫌がります。厩舎に入りたてのころ、調教で馬を叩いたら、その痕を見てすごく怒られました。
次の目標は、通算200勝でしょうか。(9月15日現在192勝)
特に数にはこだわっていません。騎乗している馬が勝てるところで勝ちたい。 目標のレースですか? BGIII(ばんえい大賞典)を勝ったので、BGII、BGIかな。
菊花賞、ダービーで達成できますね。では、ファンに一言お願いします。
競馬場の来場者が増えて、ありがたいです。『銀の匙』効果なのか、若い人が増えましたね。これから帯広では、収穫の秋にちなんだ食べ物のイベントが多くあります。それに合わせて本場にばんえい競馬を見に来てほしいです。
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※インタビュー・写真 / 斎藤友香