大河原 和雄 騎手(ばんえい)
2015年04月27日
昨年通算3000勝を達成し、NARグランプリ2014の特別賞を受賞。3月には、ばんえい競馬の大一番・ばんえい記念をキタノタイショウで制した大河原和雄騎手(55)です。
あらためて、ばんえい記念優勝おめでとうございます。1トンを曳きましたが、その後のタイショウの様子はいかがですか。
元気だよ。疲れもない。その後は荷物を積まずに、リフレッシュできるような調教をしています。
ばんえい記念を勝った時の気持ちをお聞かせください。
ほっとした。昨年は、アキレス腱を切ってレースに出られず服部先生をはじめとするスタッフの方々に迷惑をかけてしまった。ちょっとは借りを返せたのかな、という思いです。昨年はベッドの上で、すごい悔しかった。(弟弟子の)恵介(鈴木騎手)がゴールした後「兄貴、おめでとう。良かった」と言ってくれたことが、一番ほっとした。2月のNARグランプリ2014の表彰式でも、先生にばんえい記念獲らせるんだって宣言しちゃったからな(笑)。
(ばんえい記念は)朝の雪の影響で、水分含んでいるから昨年よりはちょっと速く、レースは3分半くらいだな、と思って進めた。自分のレースをするだけで、周りの動きは気にしませんでした。2障害はわりかし安心していたよ。馬と会話しながらね。レースについては、楽しかった、という気持ちだね。ゴール前は、(先行する)フジダイビクトリーより、ニュータカラコマの方が手応えがあった(から注意していた)。
ばんえい記念を制したキタノタイショウ
ばんえい記念はサカノタイソン(2001年)以来2回目ですね。
あの時は代打だったけど、この子(キタノタイショウ)は先生が見つけて、自分が若いうちから育ててきた馬だから、子どもの成長をみながらレースに向かっていくようでした。
キタノタイショウはどのような馬ですか。
ものすごく臆病。水たまりをよけたり、カメラのフラッシュに驚いたり。それだから、切れ味のあるレースができる。サラブレッドと同じで、逃げたがる性格を使ってレースをする。
それだけに、ばんえい記念だからといって、変わったことはしなかった。普段通りにやることに気をつけていた。人の緊張もビシビシと伝わる馬だから、人も平常心でいられるようにしなければいけない。スタッフがいつも馬に声をかけていました。ばんえい記念に向けた調教も、荷物は1000キロ以上は積んだけれどそれ以外は普段通り。ご飯食べているか、いい汗かいているか、体調面に気をつけました。
ばんえい記念後の記者会見。服部義幸調教師と
4月11日にはデビュー前の2歳馬を中心とする能力検査が行われました。大河原騎手は若馬が得意な印象があり、馬主からの信頼も厚いと思いますが、今年も21レース中、19レースに乗っていましたね。
雨が降って馬場が軽かったから、合格率が高く(95%)、厩舎サイドも生産者も、馬主にとってもよかったと思う。これからが大変かもしれないが、まずはレースに出る権利がなくちゃいけないから。今年産駒デビューの種牡馬には、自厩舎にいたハマナカキングがいる。切れ味があるね。カネサテンリュウの子どもも優秀かな。早熟タイプだと思うし、馬体が大きな馬が多い。
2歳馬の馴致で気をつけていることは。
気持ちを邪魔しないこと。相手の信号を把握する。会話できれば苦労しないけどね、触って、声がけして、コンタクトを取るようにしている。
2歳馬の能力検査
4月18日にリニューアルしたふれあい動物園には、騎乗していた服部厩舎のカツラアスリートが、新しく帯広市特別嘱託職員に任命され入厩しました。3連勝していたのでちょっともったいない気もします。
まだまだ上に行けたかな。でも、これからずっと大事にしてくれるのなら、と馬主さんも了承してくれた。あの子はリッキー以上に親しみやすいよ! 昔から人好きで、どこに行っても懐っこい。
動物園、きれいになったよね。一番良かったのは、子どもに触ってもらえるように馬房を作ったこと、服部調教師が、親しみやすい厩舎になるよう浦河などに行って調べてきた。馬は見て終わり、のところが多いけれど、馬に触らないことには意味がないから。たくさんの馬に触れていってほしい。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香