小林 凌 騎手(岩手)
2015年06月30日
今年4月にデビューした小林凌騎手。4月18日にデビューして翌々日の20日に早速初勝利を挙げ、順調なスタートを切った。
6月28日までの成績は60戦6勝で、今季の岩手は例年に比べ在厩頭数が少ないために少頭数のレースが目立ち、小林凌騎手もなかなか騎乗数を確保できないが、それでも勝率10.0%・連対率13.3%は立派な成績ではないだろうか。今回はその小林凌騎手にお話をうかがった。
では、騎手を目指したきっかけから聞いていきましょうか。
父が競馬が好きで、JRAのレースを父と一緒にテレビで見たり競馬場に行ったりしているうちに自分も好きになりました。小学校5、6年の頃ですね。
父はスペシャルウィークが好きだったのですが、自分が覚えているのは2006年くらいからでしょうか。ディープインパクトとかの頃ですね。
それで騎手を目指してみよう...と。JRAの騎手学校は考えなかったのですか?
JRAも受けたんです。でもちょっと厳しいだろうなって感じて。受験生がもの凄く多いし、自分のように競馬関係ではない家庭からではなかなか...っていうのもありました。受験に向けて1年間専門学校に通って乗馬等を勉強して、自分なりに準備をして挑んだのですが、やっぱりいろいろ難しいな、と。それに、JRAの騎手学校は合格しても卒業できるとは限らない。何年もかけて結局騎手になれないかもしれないより、少しでも早く騎手になりたかった。それで地方競馬の騎手を目指す事にしました。
そんな息子を、ご家族の皆さんはどんなふうに見ていたのでしょう?
そうですね、いろいろ考えてくれたように思います。アニベジ(アニマル・ベジテイション・カレッジ)にも通わせてくれましたし。
お母さんのフェイスブックを見ると、凌君のためにおかずを作って持ってきてくれたりしているようだけど? 栄養とかいろいろ目先が変わるようにとか、気を遣って作ってくれてるみたい。
え、母のフェイスブックを知ってるんですか(笑)。自分は減量をあまり気にしなくて良かったからわりと何でも食べる事ができて、母の料理などもそんなに難しく考えずどんどん食べていたんです。でも、そうやって考えてくれているのはありがたいですね。
初騎乗時。ちょっと緊張気味?
話を進めて、競馬学校を通過して今は騎手になっているわけですけども、本物の"騎手"になってみて、自分の思っていたのと違った...みたいな事はありましたか?
"思っているようには騎乗できない"でしょうか。小さい頃にテレビで見てカッコいいな、あんなふうにレースしたいなと思って騎手になったのですが、やはりそう簡単に、思っているようには乗れないですね。
それはテクニック面? 体力面で?
スタート、道中で息を入れる所、レース勘、体力...。全部ですね。まだまだなんだと思います。スタートがイマイチだからって焦って追っつけていったら後半自分がバテたりとか...。
見ている方としては、まずます順調に勝って経験も積んでいるんだな、って思っているけど。気持ち的には楽になってきたんじゃないですか?
いや、逆にまだまだだ、って感じがします。強い、勝てる馬に乗せてもらっているから勝てているけどそれに頼ってばかりじゃいけないですし。他の馬でも、自厩舎の馬ばかりじゃなくて他の厩舎の馬でも結果を出せるようになってこそ先生(板垣吉則調教師)に認めてもらえると。
2015年4月20日水沢第2レース、コスモリボンに騎乗して初勝利
デビュー前の小林凌騎手を見ていると、結構自信家なように感じたけども?
そんな自信家じゃないですよ。まだまだ全然です。デビューしてからいろいろ自分に足りないものも見えてきました。
凌君の所属する板垣厩舎は毎年リーディング上位を争っていて、良い馬・強い馬が多いですよね。自分の手で乗って勝ちたい...とか思ったりしませんか? しますよね?
自分もレースで乗りたい、自分の手で勝ちたいと想像したりもしますが、今の自分じゃまだまだですから。一日も早く自分も巧くなって、厩舎の成績に貢献できるようになりたいです。
調整ルームでの生活にはもう慣れましたか?
慣れました。自分は菅原辰徳騎手と相部屋ですが、辰徳さんが怪我でしばらくいなかったりしてしばらくは個室みたいな感じでした。ルームでは、ビデオでレースを見直して、ごはんを食べて寝る...でしょうか。ゲームとかはしないです。
調教は何頭くらい乗っていますか?
だいたい15頭前後でしょうか。板垣先生や厩務員さんも乗って、ほとんどフル回転で調教しています。
では最後にファンの皆さんにひと言アピールをお願いします。
ファンの皆さんに納得して貰えるよう、期待に応えられるような騎乗ができるよう、がんばります。
盛岡でも勝ち星を挙げた
昨年の実習時の小林凌候補生の印象は「結構話し好き」だったが、4月のデビュー前後は、やはり緊張する所があったのか口数が減って表情もちょっと厳しい感じになっていた。しかしそれも、デビューから2カ月経ってだいぶこなれて、緊張が解けてきたように見える。
デビュー前に聞いた時には「30勝が目標です」と意気込んでいた小林凌騎手。今のペースだと20勝に届くかどうか...という感じだが、しかしそれだけ勝てれば全日本新人王争覇戦の出場も見えてくる。頑張ってほしい。
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※インタビュー・写真 / 横川典視