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尾崎 章生 騎手(名古屋)

2015年10月19日

名古屋所属の尾崎章生騎手は、通算445勝の成績を残して2013年の12月に引退しましたが、今年8月に現役に復帰。どのような経緯があったのかを中心に伺いました。

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まずは、引退に至った理由から教えてください。

一昨年(2013年)の2月から腰のヘルニアが厳しい症状になって、引退する前にも半年ほど休業していたことがあったんですよ。硬いところに座っただけで足に激痛が走るというレベルですから、日常生活にも影響するほど。サウナで汗取りするときでも、暑さより痛みに耐えていたという感じでしたね。
ヘルニアになったのは、馬が暴れたときにグキッと来たことが最大の理由です。ひどいときは立ち上がるのもつらかったですね。2回入院して、2回目の退院のときは杖なしでは歩けないほどでした。

その症状を克服して復帰されたのは、すごいことだと思います。

もともと腰が治ったら復帰しようと考えていたんです。でも、引退前に半年休んだとき、久しぶりに馬に乗ったら腰が痛くなって、やっぱりもう騎手は無理なのかな......と、思ったこともありました。いろいろな医者とか整体院とかに通いましたよ。でも、馬に乗りながらの治療では、ぜんぜん良くならないんですよね。騎手免許を持っているとどうしても焦ってしまいますから、いったん免許を返すことにしたんです。

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そんな状況でありながらも1年半で復帰。早かったような気がしますが。

いろいろと治療法を探しているときに、伊勢にある「こころ骨格治療院」を紹介してもらったんです。そこに通い出したら、半年ぐらいで症状がかなりよくなりました。でも、馬に乗ったらまた再発するかもしれないなという不安はありましたね。といいながらも去年の騎手免許の試験を受けたんですが、落ちてしまいました。

短い期間で腰の状態がそれほどにも戻るものなんですね。

ただ、去年の試験のときは、馬には乗っていないし、所属する厩舎も決まっていないし、という状態だったんですよね。だから受からなかったんだと思いますが、落ちたときは"なんでだよ!"と憤慨しました(笑)。
でも今になって思えば、体を休ませることはできましたし、息子の誕生にも立ち会えましたし、逆によかったですね。1回目の試験に落ちたあとは(現在所属している)植松調教師に配慮していただいて、1頭持ちの調教厩務員になりました。そうしたら体に問題が出なかったので、これなら大丈夫だなという気持ちになりました。

その休業期間に事業もされていましたね。

タコ焼き屋さんを居抜きで手に入れて、それで収入を得ようと考えていたんですが、たまたま人の紹介でネパール人と知り合ったんです。事業を始めるにあたってその人を雇うことにしたんですが、彼の労働ビザがカレー関係の仕事だけという条件だったんですね。まあ、こちらは料理などしたことがないというレベルでしたし、任せようということで店を改装して、カレー屋としてオープンしました。

ネットなどの評判を見ると、かなりいいコメントが並んでいますね。

彼はネパールの有名なホテルでシェフをしていたそうですから、本物だと思いますよ。僕は店でほとんど座っていただけです。騎手に復帰できなかったらそれで生活していこうという考えもあって始めた事業ではありますが、今は妻に店を見てもらっていますから、うまくやれていると思います。

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2014年10月1日の名古屋競馬では、冠協賛レース「尾崎章生さっき入籍してきました」を実施されました。

独身のときは体重で苦労したことが多かったですが、今は妻のおかげでずいぶんと楽になりました。長男は生まれたばかりですが、将来はJRAの騎手になってほしいなあ。それで地方交流に来て、同じレースに乗って、ワンツーとか決められたら最高ですね。そこまで現役でいられるようにしていかないと。

競馬場以外の世界を経験したことで、強くなった部分などはありますか?

いやあ、競馬の世界のほうが気持ち的に楽ですよ。20年以上いるわけですからね。カレー屋で調理人が別にいるといっても、初めてのことばかりでしたから、世の中って大変なんだなあという思いが残りました。そのあとの調教厩務員のときも、騎手のときは馬をひいて歩くとかほとんどしたことなかったですから、これもまた慣れないことをするのは大変なんだなあと思いましたね。

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しかしそれだけのブランクがあると、騎手の体に戻すまで、時間がかかったのではないですか?

それはそのとおりですね。攻め馬に必要な筋肉と、競馬に乗るための筋肉って、やっぱり違うんですよ。1年半ぶりにレースに乗ったとき、それを強く感じました。そのあたり、具体的には下半身ですが、復活させられるようにと思って筋トレをしています。

名古屋はベテラン勢も元気ですし、尾崎騎手もまだまだこれからですね。

そうですね。あとはいい馬との出会いがあればと思います。レースは予想どおりにいかないことが多いですし、ゲートをうまく出して、それから臨機応変に乗っていけるようにと考えています。名古屋は砂を入れ替えてからすごく乗りやすくなりましたね。以前は砂除けのガードに砂がすぐベットリとくっついたんですが、今は前がよく見えるようになりました(笑)。

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※インタビュー・写真 / 浅野靖典

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