尾ヶ瀬 馨 騎手(ばんえい)
2015年11月16日
9月12日第11レースをコサカコブラ(牡8)で制し、通算2000勝を達成した尾ヶ瀬馨騎手(50)です。
通算2000勝おめでとうございます。表彰式のインタビューでは、「区切り」とおっしゃられていましたね。
2000という数字は競馬では一区切りになる。これを目標にしていた。
思い出に残る馬は。
やっぱりフクイズミ(2009、2010帯広記念など重賞12勝)だな。障害が難しかったから苦労した。ちょっと気を損なうと、障害を登らなくなるからものすごく気を遣った。ファンも多いしな。その分、勝つと嬉しかったんだ。レースだと2連覇した帯広記念。3連覇はできなかったけれど......。牝馬でBG1を勝つ馬っていうのはなかなかいないぞ。
フクイズミのパドック
ばんえい記念にも何度か騎乗されました。
2着、3着はあるがなかなか勝てなくてな。ダイニハクリュウ(2008年、タイムオーバーで失格)は、よく完走してくれた、たいした馬だ。どんなに強い馬でも、ばんえい記念では第2障害を越えられなくてソリを外すことがある。よく山を越えたよ。ゴールは難しいかな、と思ったけれど、最後までファンが応援してくれたから、頑張らなきゃ、って思ったよ。ばんえい記念は特別なレースだ。
今年はインフィニティー(牡9)で挑戦でしょうか。
そうだね。2000勝の次の目標はこの馬でばんえい記念だな。登坂力は競馬場の中で1番だと思う。障害を降りてからは、ほかの馬に切れ味で負けることはあるけれど、障害はうまいよ。弟のトレジャーハンター(牡8)にも乗ることがあるけれど、性格いいところが似ている。素直で反応がいい。2頭とも障害がうまいしな。
インフィニティーで2015年の北斗賞3着
2000勝の表彰式でも言われていましたが、怪我が少ないですね。
「生き物だから、何があるかわからない」って、調教師(父の尾ケ瀬富雄調教師)によく言われていたんだ。気を抜かないようにはしているね。
20歳で競馬場入り、27歳で騎手デビュー。初年度(1992年)は日本プロスポーツ大賞新人賞を受賞していますが、意外と遅いスタートです。
札幌の自宅には厩舎があって、開催がない冬には馬がやってきた。だから子どもの時から馬好きだった。親父はそりに乗ってセブンイレブン行ったりしていたんだぞ(笑)。父は跡を継いでほしかったみたいだけど、単身赴任が多いからってまわりに反対されていたんだ。高校卒業後社会人になったけど、やっぱり騎手になりたくて、20歳過ぎて競馬場に来た。最初のころは、もっと早くやっておけばよかった、って思ったよ。でも追い上げたいと自分なりに努力した。負けたらどこが悪いかビデオを見るなど研究した。ほかの厩舎をまわっていたら、たまにチャンスは来るんだ。それを絶対外さないようにする。そうすれば、この馬とはお前が合う、と乗せてくれることがあるから。それと、昔は中継がなかったから、馬主はみんな競馬場に来たんだ。その時挨拶してな。年間100勝を目標にやってきたよ。
その積み重ねなんですね。ではファンに一言。帯広の楽しみ方は何かありますか。
まずは温泉、やっぱり十勝川(温泉)だな。俺は温泉とゴルフが趣味なんだ。芽登温泉(足寄)やかんの温泉(鹿追)など、十勝管内は遠くの温泉も全て行った。 十勝は平均して食べ物おいしいよな。北の屋台には俺のファンが多いんだ。十勝産のものを多く出しているから、北の屋台や十勝乃長屋はお薦めだよ。これから冬にかけて大きなレースも増えてくる。レースはもちろんだけど、観光も楽しんでいってほしいな。
2011年ヒロインズカップを制したフクイズミ
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※インタビュー・写真 / 小久保友香