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関本 玲花 騎手(岩手)

2019年11月14日

関本玲花騎手は岩手競馬では史上8人目(平地のみ。けいが競走を含めれば9人目)の女性騎手であり、また久しぶりの二世騎手でもあってデビュー前から注目を集めていた。10月5日にデビューして2日後の7日に早くも挙げた初勝利は"免許交付から7日目の初勝利"という近年の岩手競馬で"最速"の記録ともなった。今回は初勝利を挙げて一息ついた関本玲花騎手にお話を伺った。

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まず最初の質問は"なぜ騎手になろうと思ったか"です。

父が騎手でしたから(関本浩司元騎手・現調教師)小さい頃から競馬を見に来たりしていて、周りの騎手の姿を見ていて自分も自然と騎手になりたいなと思いました。物心がついた頃にはもう騎手になりたい、騎手になろう、と考えていたので、正直いつ頃そう思ったかというのが記憶にないくらいです。ごく自然にそうなった、という感じですね。

お父さんも騎手だったという二世騎手は少なくなくて、厩舎で育ったから小さい頃から馬に親しんだ......という人もいると思いますが、関本玲花騎手はどうでしたか?

小さい頃、厩舎の馬の運動の時に跨らせてもらった事はありましたが、きちんと乗ったのは教養センターに入ってからでした。

合格するまで少し時間がかかった。

1年半かかりました。最後の、3回目の試験で合格しなければもう諦めようと思っていました。

そして念願かなって教養センターに入りました。どんな学校生活でしたか?

最初の頃は凄くきつかったですね。2年目に入ってようやく良くなってきた感じ。男子は力で抑えて乗る様なところがありますが、自分は力を使わない、力で抑えない騎乗ができるようになって、その頃から自信が付いてきたかな。

その、1年目と2年目で変わったきっかけのような事は何かありましたか?

同期が上手く乗れない馬がいたんです。引っかかってうまく扱えないような。その馬が自分に回ってきた時は正直周りも"どうせ乗れないだろう"と思っていたのでしょうが、自分はその馬をうまく乗りこなすことができた。それから周りの見る目が変わってきたように感じました。最後の頃は男子にも負けないと思って騎乗していましたね。

厳しい1年目を乗り越えて成長していったんですね。

もう本当に教官の皆さんのおかげです。入学した頃の自分はもう何をやってもダメで、"こんな下手な子をどうしたらいいんだ?"っていうレベルだったと思います。周りからは"厩舎生まれだから基本的な事くらい知っているだろう"と思われていたかもしれませんが、本当に何もできなかったから。

競馬場実習で笠松競馬に行ったじゃないですか。あれもいい経験になったんじゃないかな。

はい。水沢とは違う他の競馬場のコースで乗るのは凄く新鮮な感じでした。

ただ、いきなり知らない所に飛び込んだ形じゃないですか。不安もあったんじゃないかと思うんだけど。

行くと決めた時は、知っている人もいないし知らない世界だし、不安はあったかな。でも行ってみれば何とかなりました。佐藤友則騎手をはじめ笠松の皆さんに良くしてもらいましたし。

笠松での経験を振り返ってみて。どうだった?良かった?

良かったです。岩手の人だけじゃなくて笠松の騎手の方にも技術面とかいろいろ教えてもらえたし、やはり競馬場によって乗り方も違うから、それを体験できたのは良かったです。逆に、笠松の調教の進め方に慣れて水沢に戻ってきたので、最初ちょっと戸惑いましたね。

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初騎乗(10月5日盛岡第2R)。左は父の関本浩司調教師

さて、卒業して騎手になりました。初騎乗、どうでした?レースの事は覚えている?

最初から最後まで覚えていますよ。ゲートを出て外に行って、他の馬に寄って行ってしまって。初騎乗なのに裁決から電話がかかってきました。もう一生忘れられない初騎乗ですよ(苦笑)。

新人騎手は盛岡の方が乗りやすいという事が多いけど、考えてみたらデビュー戦が初めての盛岡での騎乗だったわけか。

返し馬で自分の方がキョロキョロしてましたよ。コース自体初めてだから、どこに行けばいいんだろうってあっち見たりこっち見たり。自分が。盛岡のコースは広いなあ、って感じました。コーナーも緩いし。左回りのレース自体は、教養センターで右回り左回り両方走って訓練するので慣れていたつもりでしたが。

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初勝利(10月7日盛岡第2R)はデビューから3日目だった

初日から何度も掲示番に入って、そして3日目にさっそく初勝利を挙げましたね。

良い馬に乗せていただいて感謝しています。勝てたのは自分の力じゃなくて馬の力だったので。本当にありがたいなと。

その初勝利の時、レース後に引き上げてきて"緊張して膝がガクガクすると言っていたけど、やっぱりそういうプレッシャーがあった?

もう本当にグリグリの本命だったから......。前日なんかも周りから"明日は本命だな"って言われるし、これで負けたらどうしようと思って......。レースの後は身体とかではなくてとにかく緊張感で疲れました。

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早く次の一勝がほしいね。

そうですね。自分の力で勝ちたいですね(10月28日に2勝目を挙げた)。

自分の力で、と言うけれど、最初は馬群の外を回るレースが多かったように見えましたが、少しずつ馬群に入ったり内ラチの方に進んだりしてるよね。

最初は馬群の外ばかり回ってしまっていて馬群の中に入るのも怖かったんですけど、少しずつ中にも入るように。水沢開催に移る前にできるようになっておかないと、水沢は小回りでだしスタートしてすぐ位置取り争いになるから、上手く乗るという以前に他の騎手に迷惑をかけてしまいます。

まず初勝利は挙げました。そこで今年のこの後の目標とすると?

レースの中で自分のやりたいことをちゃんとやって乗れるようにしたいです。こう動きたい、こうしたいという騎乗ができるように。まだ馬に乗せてもらってるし、自分の乗り方も決まってないから。そこを見つけないといけないなと思っています。もうちょっと工夫して何とかしないと。

もうすぐ開催が水沢に変わるしね。

すごく緊張していますが、頑張ります。

では最後にオッズパークの会員の皆さんに何か一言を。

まだデビューしたばかりで馬券を買ってくださっているファンの皆さんの事まで気が回らないのですけども、自分も頑張りますので皆さんも応援してください。

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デビュー前後は複数の"密着取材"もあって"インタビュー疲れ"のようなものも感じられた関本玲花騎手だったが、初勝利を挙げてその数も減ったかだいぶ落ち着いて、"普通の騎手"として騎乗を重ねている。当面の夢の一つは「騎手として笠松競馬で騎乗すること」。"恩返し"ができる日が一日も早く来ることを楽しみにしたい。

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※インタビュー・写真 / 横川典視

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