石川 倭 騎手(北海道)
2020年12月18日
石川倭騎手は今シーズン、ホッカイドウ競馬で113勝。今年も3ケタの白星を挙げ、2年連続でリーディングジョッキーの座に輝きました。門別競馬場で行われた第1回のJBC2歳優駿では、地元馬ラッキードリームとのコンビで勝利。現在は佐賀競馬場で期間限定騎乗を行っており、1カ月弱のうちに49戦13勝(12月6日終了時点)という好成績を挙げています。
2年連続リーディング獲得おめでとうございます。今シーズンの戦いぶりをご自身で振り返っていかがでしょう。
途中ケガで2週間ほどレースに乗れない時期があったので、今年は諦めかけていたんですが、復帰後も順調に勝ち星を重ねることができ、なんとかリーディングを獲れたというのが正直な感想です。
終盤は2位の桑村真明騎手も追い上げていましたね。
最後のほうは桑村さんの勝ち星の勢いが特にすごく、その頃にはリーディングへの意識も強くなっていたので、気持ちの面でも少なからず疲れを感じていました。そこが去年との大きな違いだったと思います。ただ、レースを離れたところでは壁がないというか、普段は上下関係なく接してくれるので、勝負をしながらも楽しめる雰囲気は感じていました。
基本的に、門別でのレースは理不尽な面がないというか、それぞれの騎手がクリーンに乗っていると思います。僕の下の世代でも、(落合)玄太にしろ(小野)楓馬にしろ、大きなレースでも普通に結果を残しているので、刺激を受ける部分ももちろんあります。
リーディングを獲得してからの、周囲の反応はどうだったのでしょう。
周囲の方からすごく祝福を受け、2年連続でリーディングを獲るということが、すごく価値のあることだったんだと改めて実感しました。去年は重賞をひとつしか勝てなかったので、今年は大きいところでも結果を残したいと思っていたんですが、JBC2歳優駿を勝てたことが特に影響があって。他場に乗りに行った時も、他地区の乗り役さんからも「おめでとう」と声をかけていただいたんです。記念すべき第1回のJBCで、誰もが注目していたレースだったと思いますし、あらためてラッキードリームに乗せてもらえたという状況に感謝したいですね。
そのラッキードリームでは、サッポロクラシックカップ、JBCと重賞を連勝しました。
サッポロクラシックカップで初めて乗せてもらったんですが、3コーナーで内に閉じ込められてしまい、自分としては正直あまりいい乗り方ができなかったんです。それでも直線で前の馬を競り落とし、馬に助けられて勝つことができたので、能力の高さを感じました。
JBCへはそのサッポロクラシックカップから直行でしたね。
坂路での追い切りで跨ったときも良い動きでしたし、そこまで上位の人気というわけでもなく、JRA勢相手にどれだけやれるか......という評価だったので、ある意味では気楽にレースに臨むことができました。
レースは中団から運びました。
先生からは「行きたい馬を行かせてその後ろで」という指示だったんですけど、新聞を見た限りでは前に行く馬が多そうだったので、ゲートを出てからの展開次第では下げるつもりだったんです。1〜2コーナーで砂をかぶると多少手応えがなくなったので、そこは促して......という感じではありましたが、道中も予想通りペースが落ちなかったなかで、あまり前についていかなかったのが良かったのか、3コーナーに入っても馬自身には余裕がありましたね。その辺りで仕掛けて、4コーナーから直線に入るくらいでは前が射程圏に入っていたので、よほどバテなければ大丈夫だろうという手応えがありました。
ラッキードリームでJBC2歳優駿制覇
ゴール直後、ギガキング(6着)に騎乗した山本咲希到騎手とも馬上でハイタッチをしていました。
その瞬間は、騎手になってからこれまでで一番かと思うくらい嬉しかったです。馬の上で、自分自身かなり興奮していたと思います。レース前は周りも「やっちゃってくださいよ!」みたいな感じで応援してくれていて、そんななか強い中央の馬を相手に勝つことができたぶん、喜びもひとしおだったんだと思います。
あらためて、ラッキードリームの良いところを教えてください。
勝負どころで乗り手の扶助にすぐ反応してくれて、追えばしっかりと前に進んでくれるところですね。2歳の段階だと普通、そういうのは経験を積まないとなかなか勉強できないと思うんです。
現在は佐賀競馬場で期間限定騎乗を行われています。佐賀へ行くことになったきっかけを教えてください。
僕はあまり体重が軽いほうではなく、オフシーズンが長くなると、どうしても体が重くなってしまうんです。ちょうど佐賀で所属することになる真島(元徳)先生からお話をいただき、なるべく長い時間レースに乗っていたかったので、騎乗することを決断しました。
佐賀のコースは1周距離も短く、門別のコース形態とはだいぶ違うのではと思います。
1周1600メートルの門別とは、全くの別物と考えなくてはなりません。(門別の)内回りに近いような感じだとは思うんですけど、それと比べてもコーナーがキツいですからね。佐賀は1300、1400メートルのレースが多いんですけれど、門別の1200で距離が短いと思う馬のことをイメージしつつ、マイルではちょっと距離が長いと思う馬のイメージも取り入れつつ......という感じで、その中間くらいの乗り方を心がけているつもりです。
川崎から佐賀で期間限定騎乗中の池谷匠翔騎手(右)と(写真:佐賀県競馬組合)
そんな中でも、さっそく4割近い連対率を挙げており、11月15日には地方・JRA通算600勝を達成されました。
数字的には、コースが変わってもそれなりに対応できているのではと感じています。ただ何しろ、これだけの成績を挙げられているのは、いい厩舎に所属させてもらい、いい馬に乗せてもらっているおかげです。
600勝は門別の終盤あたりから意識していましたが、残り2勝でシーズンを終えたので、佐賀で達成できるだろうとは思っていました。取りこぼしてしまったレースもあったんですけど、佐賀での最初の週で達成できてよかったです。
期間内の目標やテーマを教えてください。
当初は特に目標やテーマを決めずに来たのですが、逆にそれを探しながらというか、新しい目標やテーマを見つけて、そこから何かを学んで帰れればと思います。
最後にオッズパーク会員の皆さまへメッセージをお願いします。
いい時もあれば悪い時もあるので、馬券の頼りになるかどうかはわかりませんが(笑)、なるべく期待に応えられるよう頑張りますので、これからも応援していただけるとありがたいです。こういうご時世なので、現地での応援は気軽にはできないかもしれませんが、パソコンやテレビの前でも、ぜひレースを観ていただきたいと思います。
-------------------------------------------------------
※インタビュー・写真 / 山下広貴