岡村 卓弥 騎手(高知)
2021年04月26日
3月31日に地方通算500勝を達成した岡村卓弥騎手(高知)。所属は高知を代表する雑賀正光厩舎で、兄弟子にはリーディング上位の永森大智騎手がいる中、奮闘しています。「いまがチャンス」と気合いの入るその理由とは。
地方通算500勝、おめでとうございます。意識はされていましたか?
あまり気にしていなかったんですけど、モーニング展望で橋口アナウンサーから「あと十何勝」と聞いてから、「あ、そのくらいか」と思いはじめました。橋口さんは「3月中に達成できたらいいね」って言っていたんですけど、できるとは思っていなくて、なんとか年度内に決められてよかったです。
500勝目となったのはJRAから移籍初戦のユピテルルークスでした。
調教からずっと乗せてもらっていました。レースは約10カ月ぶりで、能検からでした。ダートはこれまで走ったことがなくて、トビも芝馬だったので、「ダートが合うのかな?」と思っていたんですけど、結構走りますね。直線も手応えはまだまだ余力がありました。
2021年3月31日、高知第4レースで地方通算500勝達成(写真:高知県競馬組合)
大台の1000勝へ向けて、折り返し地点となる500勝というのはいかがですか?
11年かかりましたからね(苦笑)。まだまだです。通算勝利数はあまり意識していなくて、いい馬に乗せていただいた時にしっかり結果を出せたら、と思っています。
雑賀厩舎を所属騎手の一人として支えているわけですが、所属の経緯というのは?
兄弟子の永森さんも僕も所属の経緯は同じで、中学生の時の職場体験がきっかけです。実家が高知競馬場のすぐ近くで、同級生のお父さんが馬主をしていて、小学生の頃に浜(海岸)で馬に乗せてもらったことがありました。その時に「小さいから騎手になったらどうや?」と言われて、中学校の職場体験で競馬場に行った先がたまたまうちの厩舎だったという流れです。
偶然にも兄弟子と同じ経緯での所属だったんですね。その永森騎手は調教中に落馬して骨盤骨折のため療養中とあって、調教が忙しくなったり騎乗馬が回ってきたりしているのではないですか?
仕事はたしかに今はむちゃくちゃ忙しいですね。今がチャンスだと思っているんですけど、なかなか。こないだの競馬なんかでも「はぁ......」とため息が出るレースばかりで。やっぱり永森さんはすごいなと感じました。永森さんが乗っていた馬に、今は僕が乗せてもらうことも結構あって、余計にそう感じます。
所属の雑賀調教師は「ある程度までは自分で這い上がってほしい」というタイプの方ですね。
うちの厩舎で続けていたら、たぶん勝手にそこまでいくと思います。いい馬もいっぱいいますし、調教も自分で考えてやるようになります。調教メニューがキャンターを2周乗るんだったら、1周目と2周目のペースを考えろって先生からも言われます。
高知はいま、売り上げが急増していて、全国のファンから注目を集めます。
また4月から賞金が上がったんですよね。だから、なかなか重賞を勝てないですけどね。
賞金が上がると、レベルの高い馬の入厩も増えるでしょうし、競争もより熾烈になりますね。昨年12月には金の鞍賞をブラックマンバで差し切り勝ちを決めました。
重賞を勝つのが久々でしたし、あれは嬉しかったです。道中、楽に行けた時はいい脚を使う馬なんですけど、人間が早く動いちゃったりして、馬を信じきれていないところがあるというか。そういう面では倉兼(育康)さんはすごいですよね。後ろからじーっと行って、最後にシュッときますから。僕、倉兼さんの追い込みを見て、「うわー、カッコいいな」と思って、騎手になろうと思ったんですよ。
ブラックマンバで金の鞍賞制覇(2020年12月26日、写真:高知県競馬組合)
追い込みで勝つ方が好きなんですね。後ろから行く馬といえば、真っ白な馬体のチャオとのコンビも印象的でした。
引退しちゃいましたけど、ファンの多かった馬ですね。2〜3着が多くて、実は勝ったのは(自身の騎乗で)2回しかないんですけど、いまは誘導馬を目指しているらしいですよ。高知に移籍してきた頃は調教でも暴走しちゃっていたので、気性的になかなか難しいかもしれませんが、牧場に行ってから最近は落ち着いたみたいです。牧場で訓練をしているのかな?高知競馬場で誘導馬になれたらいいですね。一緒になって走っていっちゃうかもしれないですけど(笑)。
これからの目標はなんですか?
やっぱり兄弟子の永森さんに早く追いつきたいです。永森さんは調教からもキッチリしていて手を抜かないので、僕もちゃんとやれているんだと思います。すごい方なのでなかなか難しいでしょうけど、追いついて追い越せたらいいですね。
最後に、オッズパーク会員のみなさんにメッセージをお願いします。
高知はすごく売り上げもよくて、いい馬が入ってきているので、今まで以上にもっともっと迫力のあるレースになっていくと思います。その中で、僕は1つでも多く勝てるよう頑張るだけです。僕は競艇が大好きで結構するんですけど、ファンの気持ちはよく分かります(笑)。だから、馬券を買ってくれているファンのみなさんに納得いってもらえるよう、一生懸命がんばっている姿勢を見せたいです。
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※インタビュー / 大恵陽子