佐々木 世麗 騎手(兵庫)
2021年05月21日
園田・姫路競馬初の女性騎手として4月13日にデビューした佐々木世麗騎手。中学生の頃は落語家を目指していたこともあるという一風変わった経歴の彼女は、当地リーディングの新子雅司厩舎に所属し、デビュー2日目にメインレースで初勝利を挙げました。
小さい頃から色々な習い事をしていて、落語も習っていたそうですね?
小学1年生から落語塾に通い始めて、年に1回、発表会で落語を披露していました。中学1年生の時には文化祭で独演会をやろうと思って校内にポスターを貼っていたら、学校に取材に来ていた地元番組の方から「密着させてください」と声をかけられて、「勉強と落語の二足の草鞋を履いて頑張る」みたいな感じで取り上げていただきました。
落語でテレビの密着取材を受けながらも、当時はすでに乗馬も習っていたんですよね?
はい、習いはじめていました。ジョッキーになろうと思って乗馬を始めたわけじゃなくて、両親から勧められてやっていた時なので、まだ落語家を目指そうかなと思っていた時期でした。
落語家ではなくジョッキーになりたいと思った一番の決め手はなんですか?
馬に乗るのが楽しかったからです。落語も楽しかったんですけど、趣味の一つだな、と感じました。
佐々木騎手の鞍には扇子に名前が入ったロゴマークが描かれていますが、落語を意識してですか?
そうなんです。父がデザイナーなので、ロゴマークやサイン、所属する新子厩舎のキャップやポロシャツなど全部作ってもらいました。腹帯にも別のロゴマークが入っているんですが、落語の芸名の「いねむり亭オーロラ姫」にちなんで、ティアラのマークが入っています。
父がデザインしたという腹帯のロゴマーク
4月13日にデビューを迎えました。改めてデビュー日を振り返っていかがですか?
ふぁ〜って過ぎていきました(笑)。初日はたくさん騎乗依頼をいただいて忙しくて、1日が早かったです。
デビュー翌日のメインレースでは単勝1.5倍のワシヅカミに騎乗し、逃げ切って初勝利を挙げることができました。
デビュー戦より緊張しました。緊張すると、口角が上がって笑顔になって、唇がぷるぷるするんですが、まさにそうなってきて「緊張してるやん」って自分で思いました。デビュー前はあんまり出遅れたことがなかったんですけど、初日はすべて出遅れてしまって「こんなに難しいんだ......」と心が折れていましたが、ワシヅカミでやっとスタートに成功して勝てて、気持ちがすごく楽になりました。
単勝1.5倍のワシヅカミで逃げ切り初勝利(写真:兵庫県競馬組合)
続く最終レースもタガノオボロで逃げ切って2連勝でしたね。
それまではゲートを出そうと思っていたから上手くいかなかったんですけど、ワシヅカミをきっかけに馬について行こうと思ったら、ちょっと気が楽になりました。タガノオボロも楽な気持ちで乗れましたし、最近は最後にゲートに入る馬を見て「あ、もう出るな」と確認しています。
初勝利の翌日にはゴールデンバレットで3勝目を挙げますが、ゲートの中で馬がゴソゴソしていました。焦ったりしませんでしたか?
デビュー初日の最終レースのバジガクレオーネのように首をガンッと下げられると焦って声が出ますけど、ゴソゴソしている分にはゲートが開こうとする時に体勢を整えられるので、まだ大丈夫です。
デビューから3週間が経ち、(5月6日現在)6勝を挙げています。印象に残るレースは?
やっぱり初勝利を挙げたワシヅカミです。ゴールするまでは他の馬の脚音がバタバタ聞こえて「嘘やん!待って、待って」と焦りましたが、ゴールした瞬間、「やったー!」と思いました。
当時は有観客でご両親も応援に駆けつけていて、一緒に口取り写真に収まることができて喜ばれたのではないですか?
「やったね!」と声をかけられました。親はずーっと「ワシヅカミ、ありがとう」と言っていました。
プライベートでは、最近ウサギを飼い始めたとか?
すごく可愛いです!男の子で、名前はグラッブ。ワシヅカミが名前の由来です。
初勝利の記念撮影(写真:兵庫県競馬組合)
なるほど!「掴む」つながりですね。さて、これからの目標を教えてください。
馬主さんや調教師さん、厩務員さん、そしてもちろんファンの方たちから信頼を得られるレースをしたいです。勝てれば一番なんですけど、勝てなかった時でも最後までしっかり追って頑張っていれば、「コイツ、しっかり乗ってきたな」と思ってもらえると思うので、そういうところで頑張っていきたいです。
最後にオッズパーク会員のみなさんへメッセージをお願いします。
ファンの方たちには声を上げていっぱい応援してほしいんですけど、今は無観客なので、競馬場に来て声を出せるようになったら、たくさん「世麗ちゃん」って呼んでください。応援してもらえるようなジョッキーになれるように頑張ります。
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※インタビュー・写真 / 大恵陽子