倉兼 育康 騎手(高知)
2021年06月29日
今や高知競馬を象徴するレースのひとつとなった福永洋一記念。今年は5月3日に行われ、1番人気スペルマロンが初制覇。コンビを組む倉兼育康騎手にお話をうかがいました。
福永洋一記念制覇、おめでとうございます。
ありがとうございます。福永洋一記念にはみんな特別な思い入れがありますし、僕自身は2度目の制覇ですけど毎年本当に勝ちたいレースなので、勝つことができて嬉しいです。去年(スペルマロンで)3着に負けていたので、今年は絶対に勝ちたいという気持ちが強かったですから。状態が良くて自信もありましたし、馬もよく頑張ってくれましたね。
昨年と比べると、さらに強さが増した印象です。
そうですね。気性的に難しい部分があるんですけど、以前と比べると先頭に立ってからやめなくなりました。だからこちらとしても、早めに先頭に立つ強気な競馬ができるようになったというのはありますね。
スペルマロンで福永洋一記念制覇(写真:高知県競馬組合)
どんなところが難しいんですか?
調教でも追い切りでも、イヤになると全然行かなくなってしまうんです。だからそういうところを出させないように、気を使って工夫しています。黒船賞は2回とも結果は良くないですけど(6着、7着)、一度もしっかりハミを取って真面目に走ったことがないんですよ。今年はもうちょっとやれると思っていたんですけど、真面目に走らせることができなくて......。そこは今も心残りですね。ただ、去年よりは真面目になってくれたと思います。前は仕掛けどころが難しかったですけど、今はレースがしやすくなりました。
転機というわけではないですが、昨年8月のミッキーロケット賞でスタート直後に落馬競走中止してから後のレースは、成績が安定しているように感じるのですが。
正直、そこが転機だったと思いますよ。あの後からもう一段強くなりましたよね。ただ、馬というよりも僕自身の気持ちだと思います。先ほども言いましたけど、先頭に立つとやめてしまうところがあるけれど、逃げた方が強いんじゃないかと思っていて。なかなか試せなかったんですけど、あの時は「逃げよう」と思って出して行ったんです。そうしたらコケたんでね......。それからはゲートを出てから考えています。
距離の幅が広く、1,300mから2,400mまでの重賞を勝つというのは、なかなかできないことだと思います。
珍しいですよね。これだけ距離に幅があるというのはいないですよ。スペルマロンの後にもJRAからもっといい成績の馬たちが移籍して来ましたけど、同じようにはいかないですから。相当能力が高いと思います。
一番の適距離と言われたら、どの距離ですか?
長ければ長いほどいいと思います。長い距離で他の馬たちがバテていっても、この馬はバテないですからね。もちろん短い距離でも対応できますけど、乗りやすいのは長距離です。
高知の重賞の中で、1,400m戦だけ勝ってないというのは、何かあるのでしょうか?
僕自身は1,400mでもまったく問題ないと思いますけど、勝ってないというのは何かあるんですかね。前回の(地元同士で)1,400mの重賞は1月の大高坂賞ですけど、あの時は2,400m戦の後の1,400m戦で、1コーナーで遊ばれてしまって......。そこから全然ハミを取らなかったんです。集中し切れていない状況でしたがそれでも2着なので、ちゃんと走ったら負けないだろうなと。普段からやんちゃなので、いつ振り落とされるかと思いながら調教に乗っていますが、いろいろな距離で本当に頑張ってくれる馬ですよね。この後は1,300mのトレノ賞(7月18日)の予定で、今年はもう全部重賞狙っていきたいです。
オールマイティに距離をこなすスペルマロン(写真:高知県競馬組合)
今度は倉兼騎手自身のことを伺います。今年ここまで68勝(2021年6月22日現在)、リーディング2位と好調です。
なんだかんだで勝たせてもらっています。今年はとにかく怪我をする騎手が多くて、永森(大智)君、西川(敏弘)さん、(宮川)実君も怪我して休んでいた時期がありますから。怪我しないようにってみんなに言っています。僕自身もそこは気をつけていますね。
現在通算1,980勝と、2,000勝目前です。
今はとにかくそこが目標です。2,000勝したら、全国で一番下手な騎手が2,000勝するんですよ。僕が2,000勝なんてありえないという技術のレベルだと思っているので。
ご自身ではそう感じているんですね。
上手いと思ったことはないです。もちろん、勝ちたいとか、この子らには負けたくないとは思うけど、だから上手かといったら上手いわけではないですから。よく乗せてもらえるなと、周りの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。だからこそ2,000勝したいという気持ちも強くて。こんな下手でも勝てるんだよって、周りの子らが感じて頑張ってくれればいいなと思います。
高知は若い騎手も増えましたし、売り上げも好調でいい波に乗っていますね。
本当にありがたいです。注目度が上がって売り上げが伸びていることに感謝していますし、賞金が上がったこともありがたいです。ただ今の状況が当たり前ではないですし、現状に満足するのではなく、もっと欲を出して上を目指そうという若い子が出て来てくれたら嬉しいです。
では、オッズパーク会員の皆さんにメッセージをお願い致します。
いつも高知競馬を応援していただきありがとうございます。高知の関係者一丸となって頑張っていきますので、これからも応援よろしくお願い致します。
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※インタビュー / 赤見千尋