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小笠原 羚 騎手(名古屋)

2025年06月05日

2025年4月21日に名古屋競馬場でデビューを果たした小笠原羚(おがさはられい)騎手に、デビューからの1カ月を振り返りつつ話を聞きました。

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デビューの当日は、緊張と楽しみと半分ずつぐらいの気持ちでした。前日とかの方が緊張していましたね。初日は1レースから5レースまで連続で騎乗していたので、始まってみると思っていた以上に時間がなくて本当に慌ただしかったです。装鞍して、下見所行って、乗って、その繰り返しで、レースのあとビデオもあまり見られなくて。でもいまでは、大分慣れました。

所属の沖田明子調教師)の方針で、4月になっても最初の開催はレースには乗らず、その間に同期がデビューしていました。焦りはなかったですか?

それはもう決まっていたことなので、焦っても仕方ないなと思っていました。同期のレースは見られるときには見ていました。活躍しているのを見て凄いな〜と(笑)。私もデビューしたら頑張りたいなという思いはありました。

デビューまでの3週間は、どのように過ごしていましたか?

その間先生には、実習で競馬場に来た時に学んだレースや競馬場の1日の流れをもう1回確認して、攻め馬とか、外からレースを見る中でしっかり馬の癖などを把握するようにと言われていました。レースに乗っていない3週間で、まずここに来ての生活に慣れて、それから競馬に向かうことが出来たので、その意味では良かったと思います。

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3日目、デビューから20戦目で初めて勝つことが出来ました。勝ちたいという気持ちとか、勝てそうな予感みたいなものはありましたか?

そんなに簡単に勝てるものではないなと思っていましたし、レースに乗る度にまだまだ足りないな、という思いばかりでした。勝ったレースの時には、予感というのはなかったけれど、沖田先生からはレースの前のパドックで「硬くなりすぎているので、何も考えるな」と言われました。この時には、気持ち的には少し余裕を持って乗れていたのではないかと思います。

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初勝利を挙げたレースのパドック。右のスーツ姿が沖田明子調教師

初勝利のレースを振り返ってください。

位置的には良いところに行けました。「前が動き出すよりもっと早く追い出せ」と言われていたので、その前の動き見て、それより早く行こう、追い出そう、ということしか考えてなかったです。3コーナーよりも、ちょっと手前から追い出して、徐々に行けたかなと。

途中で「勝てたかもしれない」と思いました?

直線向いて残り100ぐらいで、もしかしたら届くかもと思ったので、あとはもう必死でした。ゴール板を通過したときにはいけたかも、と思ったのですが、(際どい勝負だったので)馬を止めるまでにやっぱり不安だなっていう気持ちになりました。検量の方に引き上げてきて掲示板で1着ってわかって、嬉しかったですね。

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4月23日名古屋第6レース、メビウス(外)に騎乗し初勝利

話は騎手になる前のことにさかのぼるのですが、どんな子ども時代でしたか?

山梨の出身で、自然が多い中で育ちました。小学生の時に、姉について行く形で民間のスポーツクラブで陸上を始めました。長距離走、駅伝ですね。小学生の時はクラブで、中学に入ってからは学校の部活動で続けていました。

陸上をやっている中で、得たものとか感じたことはどんなことでしょう。

練習をみんなと一緒にやる中で、辛いところもあるじゃないですか。そこをみんなで声をかけながら頑張って、それでやってこられたかな、という感覚ですね。走るときはひとりなんですけど、チーム全体で取り組むというか。チーム力が大事だなと感じました。

競馬の仕事に通じるところがありますか?

馬に乗ることとの関連というより、挨拶とか礼儀とか、そういういうことを中学の時からとてもよく教わって来ました。人と普通に喋ることが出来るようになったのも、中学の時代に教えてもらって来たことがあったからだなと思うし、そこは大切にしていることです。「人間性」ですね。

現場での取材やインタビューでも、すごくしっかり話をされるじゃないですか。

いえ、人と話すのはすごく苦手でした。中学の時に「変わりたいな」という気持ちもあって、陸上部の部長をやったり、生徒会の副会長をやったりしましたね。競馬場に来てからも、厩舎関係者の人たちとのコミュニケーションは結構頑張りました。話すの得意じゃないので。

そこは「結構」頑張りましたか(笑)

相手はまだ、自分のことは何も知らないわけじゃないですか。とにかく自分のことを知ってもらうためにも、色々話した方が信頼関係に繋がるかなと思いました。話す中身はどうでもいいことばっかりですけどね(笑)。

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初めての口取り。応援に来ていた両親と一緒に。プラカードを持つのは宮下瞳騎手

騎手を目指した理由を取材で聞かれると、「小柄でも活躍できる仕事だから」と答えていますが、「小柄」であることにはコンプレックスを感じていましたか?

いましたね(苦笑)。何かと不利じゃないですか。小さいって。スポーツするにしても、身長が高い方がだいたいいいので、背が高い人はいいなーと思います。騎手の仕事は、陸上競技の先輩から、そういう仕事というかスポーツがあるよって聞いて、何だか面白そうだなと思ったのが、知るきっかけです。調べてみて、小さくても出来るんだ、面白そうだなと思って目指しました。

騎手を目指すと決めるまで、競馬とは何か接点があったのですか?

全くないです(笑)。山梨に競馬はないですし、テレビで見たこともありませんでした。

2年前、地方競馬教養センターに入所する直前に、レディスジョッキーズシリーズが行われた川崎競馬場に見学に行ったそうですね?

家族と一緒に見に行きました。その場で、宮下瞳騎手に会うことが出来て、少し話も出来ました。ふれあいの時間があるとは思っていなくて......確か紹介式の後に父が声をかけて呼び止めてくれて。会って話せたんです。かっこいー!みたいな(笑)。出てるオーラが違うなって。ああいう感じで、大きな舞台に立てるように頑張りたいと思いました。とても貴重な経験でしたね。

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2023年3月2日川崎競馬場。真ん中の少女が教養センター入所直前の小笠原羚騎手

乗馬経験がない中で騎手になり、馬を乗るということに関してどんな風に感じていますか?

馬に乗ることは本当に難しいんですけど、それも含めて面白い、と思います。馬をうまくコントロールできたときが、凄く嬉しいです。昨日引っかかった馬に、普通にうまく乗れた、とか。今日はちょっと折り合いうまくついたな、とかですね。

デビューして1カ月経って、いまどんなことを意識していますか?

馬の邪魔をしない乗り方が出来ればと思います。騎乗姿勢は直したい。姿勢が良い方が、見栄え的にもいいと思いますから。あとは折り合い。馬が引っかかるときの対処が一番苦手なんです。

怪我のないように頑張ってください。ありがとうございました。

はい!頑張ります!!

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※インタビュー・写真 / 坂田博昭

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