斎藤修の重賞ピックアップ

【コラム】"賭け"の才能

 コロナ以前であれば、少ないときでも月に6-7回、重賞が多く行われる月になると10-15回ほども競馬場に行っていたのが、ほとんど競馬場に行かなくなった。
 昨年春の緊急事態宣言のあと、感染拡大が一旦落ち着いた夏から秋ごろにかけて、金沢に3回、門別に3回、盛岡に1回、行っただけ。近場の南関東は入場がかなり厳しく制限されていたため、4月以降一度も行っていない(非開催時に大井と川崎に取材などで一度ずつ行ったが)。
 おかげさまで基礎疾患などはないが、さすがにもう若くはないので、もし感染すれば重症化するかもしれないと思うと、公共交通機関などを使って遠出することには、正直なところ臆病になっている。
 競馬場には行けなくても競馬は止まることなく無事に開催されていて、ほんとうに、ほんとうに、ほんとうに、ありがたい。
 とはいえ、かつてであれば競馬のあとに行っていた飲み屋などには当然のことながらまったく行けなくなって、飲食業の方々にはほんとうに申し訳ないと思う。
 
 そういうわけで競馬は楽しめていて、しかし競馬場には行かないので、馬券はほとんどネットでの投票になって、来年度はオッズパークのステイタスも一気に上がりそう。昨年10月から始まった、YouTubeの『オッズパークLIVE』にもリモートで出演させていただいているのだが、ご覧いただいていますでしょうか。
 実のところ僕は今まで競馬以外の公営競技はまったくやったことがなく、『オッズパークLIVE』では競馬・競輪・オートをすべて取り上げているので、競輪やオートを伝える人たちとの人脈が広がった。もちろんリアルで会ったわけではなく、ライブ配信を通してなのだが。
 他競技の方と交流してあらためて思ったのは、馬券や車券で勝つには、賭けることに対する才能が少なからず必要ではないか、ということ。
 ちなみにこの場合の『勝つ』は、当てることではなく、長い目で見てトータルでプラス、もしくは回収率を100%に近づけること。買い目の点数を多くすれば当てることは簡単だが、トータルでプラスにするのは難しい。
 
 競馬では1990年代の初頭まで、単勝・複勝・枠連複(地方競馬の一部では枠連単)しかなかったが、さまざまに馬券の種類が増えた現状では、なおさら"賭け"に対するセンスというか才能のようなものはなおさら影響すると思う。
 "賭け"の才能とは何かを一言で言うのは難しいが、ギャンブル的センスを持っているかどうかということ。そのセンスがあれば、たとえ競技を深く理解していなくても、馬券や車券を当てて儲けられる可能性が高くなる。
 たとえば競馬では、1つのレースの出走馬で、基本的には強いと思われる(もしくは勝つ可能性が高い)順に、◎○▲△という印をつけるが、"賭け"の才能があるかどうかはそのあとのプロセス。
 
 日本の公営競技の賭けは、すべてパリミチュエルという方式で、賭けられた総額から一定の割合を主催者が控除した残りを的中者(的中した票数)で公平に分け合うというもの。
 一方で、カジノの多くのゲームや、イギリスのブックメーカー(賭け屋)などは胴元(ディーラー)と客(賭ける人)との1対1の勝負なので、胴元が負けることもある。しかしパリミチュエル方式では特殊事情を除いて胴元(主催者)は一定の額を控除するだけなので、胴元が負けることはない。
 つまり、パリミチュエル方式の日本の公営競技は、極論するならば、馬券・車券に賭ける人同士でお金を取り合うゲーム。勝負をする相手は、馬や選手ではなく、まして主催者でもない。相手は、賭けている人同士ということになる。オッズとの勝負とも言える。
 そういうしくみを意識しているかどうかは別として、"賭け"の才能がある人は、券種と買い目と金額とオッズのバランスを意識して、賭けをしているように思われる。
 そしてこれはあくまでも僕の主観だが、そのセンスや才能があるのは女性に多いような気がしている。
 『オッズパークLIVE』は、競馬・競輪・オートそれぞれの"達人"がリモートで出演し、対象レースの解説をしてくれるので、それを参考にして、出演者(達人も含む)が自腹で勝負するのだが、それぞれ主戦とする競技以外にも賭けることになるので、そこで"賭け"のセンスが問われることになる。
 もうひとつ、賭けに勝つにはツキの流れを読めるかどうか、ツイている人に乗れるかどうかという要素もある。
 単に"当たった""外れた"だけではなく、そうした"賭け"のセンスや才能ということを意識して『オッズパークLIVE』をご覧いただくのも面白いと思う。

斎藤修の重賞ピックアップ
NAR『ウェブハロン』、『優駿』、週刊『競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』『地方競馬中継』解説。ドバイ・香港・シンガポール・アメリカなどの競馬にも足を運ぶ。1964年生まれ。
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