GIRL'S KEIRIN×Oddspark Ver.4 日本競輪学校 滝澤 正光校長 インタビュアー:赤見 千尋 |
滝澤:一番気にしているのは、燃え尽き症候群になっていないかどうか。前のスポーツで頂点を極めちゃっていると、競輪をゼロから始める時にどっぷりとハマれないんです。例えば、前にプロ野球選手で多額の契約金を貰ったけどダメで、また一から競輪選手へっていう時に、気持ちを引きずってしまうんですね。アイススケートでオリンピックを目指していたような生徒でも、当時のように練習に没頭できないっていう。年齢的にも前は若い時にがむしゃらにやれていたものが、今は頭で考えて効率のいいところだけを探してしまうんです。スポーツって、とにかく没頭する時間が必要じゃないですか。その時間が使えないんですよね。無駄に思えて。
間口が広い分、そこは難しいですね。滝澤:いろんなスポーツからたくさんの子が競輪に来ていますけど、気持ちをきっちり切り替えられるかどうかが大きいです。今女子で活躍している小林優香選手はバレーボールをやっていたんですけど、彼女は頂点を極めてなかった。その分、競輪で極めようという気持ちが強いですね。先ほども言いましたけれども、精神面が相当大きいです。いかに練習に真剣に取り組んだかっていうことが結果に繋がりますから。
これからガールズの競輪選手を目指す子にとっては、サマーキャンプという大きな行事がありますよね。滝澤:あそこから選手になった子が多いので、登竜門になってきました。今回も多くの子が競輪学校志望の子でしたから、今後の広がりに期待したいです。まぁ、お子さんで自転車競技というのはなかなか日常的なスポーツではないんですよね。なぜかと言えば自転車が約30〜50万円もしますから。個人で負担するのは大きなハードルです。もっともっと安価になれば、競技人口が広がることによってよりいい選手が生まれると思うんです。とにかく圧倒的に競技人口が少ないですから。ガールズに関して言えば他競技から競輪学校に入って1位で卒業していく人が多いんです。自転車経験がある人にとっては歯がゆいですよね。その辺りを見ると、やはり層が少ないんだと思います。今後は東京オリンピックという大きな大会がありますから、そこへ向けて増やしていきたいですね。オリンピックで活躍する選手が出れば、一気に注目度が上がるんです。チャンスを考えると、女子の方がメダルに近い位置にいると思います。競技の方でもぜひ新たなスター選手が生まれて欲しいですし、そのサポートができたら嬉しく思います。
*ガールズサマーキャンプとは
トラック自転車未経験の方から経験者の方まで参加できる、競輪学校で開催される女性限定のキャンプ。今年は未経験者が8月8日〜10日、経験者が11日〜14日の日程で開催された。
滝澤:今もちょうど日本代表チームの強化指定に所属している鈴木奈央という生徒がいます。基本的には競輪選手を養成する学校なので、そこはベースとしてあるんですけど、競技に熱のある子に関してはできうる限り協力しています。
では、今後の目標を教えて下さい。滝澤:指導者の立場ですから、いい選手を輩出することに尽きます。いい選手というのはどういう選手かといえば、お客さんに貢献できる選手、車券に貢献できる選手ですね。そういう選手を一人でも多く育てるため、日々努力していきます。