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オートレース選手インタビュー
オートレースをするという事。バイク経験者の苦悩と考え、見えてきた成長。|松本 やすし選手
2019年11月22日

伊勢崎所属の32期。モトクロスからモタードというバイク競技を経てオートレースの世界へ。しかし、バイク経験者ならではの苦悩がありました。デビューから丸7年。オートレースとの向き合い方、これからの夢、さらには、プライベートな事までお話しして頂きました。

インタビュー / AKI

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AKI:以前、泉田選手(川口33期)にインタビューをした際、松本選手がキッカケでオートレースの世界に入ったと聞きました。

松本:子供の時から自分がいたモトクロスのチームに修佑(泉田選手)が来てくれて、そこから一緒にレースする様になったんです。修佑が小学生の時から知っています。

AKI:泉田選手は自分の事をあまり速くはなかったと言っていたんですが。

松本:速くないわけでは無かったですよ。中々、練習に来れない環境でしたが、センスはあると思っていました。

AKI:松本選手のデビュー戦を見てかっこいいと言っていましたよ。

松本:へー(笑)

AKI:ただ、第一印象、肩当てがかっこ悪いと思ったらしいですが。(笑)

松本:(笑)

AKI:オートレースの試験を受ける事は聞いていたんですか?

松本:修佑とは近い存在だったので「受ければ良いじゃん。」みたいな感じで。カッコいいと言ってくれてるのも嬉しいけど、修佑がオートレースの試験を受けるのは自然の流れ、当たり前だと思っていました。

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AKI:松本選手のオートレース選手へのきっかけは?

松本:実は、前のバイク競技(モタード)をやっていた時に周りの沢山の人を巻き込んでいたので、他のバイク競技に移るというのは正直罪悪感もあったし、自分の中では簡単に「オートレース選手になる!」とはならなかった。決断できませんでした。
だけど、そうは言っても生活していかないといけない。一応プロでやっていたんですが、凄くマイナーなレースで賞金も少なく、スクールやイベントでの収入もあったんですが微々たるもので。前の競技に携わる仕事という選択肢もあったけど、まだ選手として走れると思ったし、まだまだ成績を求めていきたかった。けりをつけないといけない、とは考えていたんです。
その頃に、バイク競技をしていた友達に、「オートレース受けないの?」と言われて。平塚さん(浜松31期・平塚雅樹選手)がモトクロス時代同じチームで走ったりしていて、青木治親さん(川口29期)の事も知っていたのでオートレース自体知ってはいたんです。ただ、自分の中で他のカテゴリーに移るっていう選択肢が生まれてこなかったというか。周りの人を裏切ってという気持ちもあったし。けど、人にそう言ってもらった時に、「まだ選手でいたい」と思って決断しました。

AKI:色々考えての決断だったんですね。

松本:そうですね。決断するのに凄く勇気がいりました。

AKI:大きな決断をして選手になって丸7年。新人とは言えなくなってきましたよね?

松本:そうですね。2期下が入ってきて新人という感じではなくなってきましたね。周りの扱いも新人からは抜け出してきましたね。若手ですかね。歳はだいぶいってるんですけどね(笑)

AKI:年齢は感じますか?

松本:正直、感じています。辛いですよ(笑)体力的にがむしゃらには出来ない。調整をしながらしないと息が上がって続かないし怪我にも繋がってしまう。若い時は出来たけど。大人になった分、冷静にやっていかないといけないなとは思っています。

AKI:デビューしてから今までを振り返ると?

松本:結構、単純でがむしゃらなんです。良い意味でも悪い意味でも。だから、オートレースという競技に慣れるのに物凄く時間を使っちゃったなーと思いますね。その期間は凄く辛かったですけど、最近ようやくコツを掴んできた、自分の中では成長してきたなという感じはあります。

AKI:それは、どの辺りで感じているんですか?

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松本:テクニックも整備もですね。デビューしてからの4、5年間くらいは間違った事を繰り返しやって時間を潰してしまった。
元々、オートバイは乗っていたので、未経験者と比べると乗ることに関しては出来るんですが、以前のバイク競技の乗り方から脱出することが出来なくて。なので、自分の中ではデビューしてから4、5年間は全く成長してないんですよ。成長してきたのはここ2、3年。
自分では滑らせない様に走っていたつもりだったんですが、いろんな人に「滑らせるな」と言われ続けていて。ある日、貢さん(伊勢崎22期・高橋貢選手)が練習で後ろにつけてくれて、練習後に挨拶に行くと「滑らせてたねー!!」なんて言われて。「え!?」となりました(笑)自分では一ミリも滑らせて走ってるつもりはなかったんですが、それが大きなキッカケだったかもしれませんね。
それから、根本的に何かが間違ってるんだろうなと思って、考え方というか違うんだろうなと。普通のオートバイって加重、Gですね。遠心力を抜かずに走る、エンジンの回転が下がってきたらアクセルを開けるというのが普通で子供の時からの習慣でした。なので、加重をコントロールして走るというのを身体が許してくれないんですよ。受け付けてくれない。それに気付いて、矯正しなきゃダメだなと、1からだなと思った。
そして、浦田さん(飯塚23期・浦田信輔選手)に言われたことなんですが「やすしは直線を直線として走らなきゃダメだよ。」と言われて。もちろん直線も多少は遠心力がかかるものなんですが、自分は遠心力がずっとかかったまんま走っていたんです。その感性が分からないとオートレースは出来ないと思って、今はそういう考えで乗っています。

AKI:子供の時からバイクに乗っているとメリットはもちろん、デメリットもあるんですね。

松本:経験者のデメリットはかなり大きいと思います。特に、前の競技が上手い人こそ。よりオートバイで仕事をしていた人こそ、加重のコントロールが身体に染み付いているので、それが物凄く邪魔をしますね。けど、「オートレース」をしないと強くはなれないんだと思います。染み付いた物を抜くっていうのは本当に難しいんだなと思いました。ただ、モトクロスは違うのでまだ素直に習得できると思います。修佑もそうだし、今は上手く乗れてるなと思います。

AKI:泉田選手の追い上げ、負けないようにしないとですね。

松本:それはもちろん。望むところです(笑)

AKI:ランクがS級からA級に下がってしまいましたが。

松本:エンジンの作り方が安定してきたのがここ数ヶ月。自分は重量級なんでエンジンのパワーを求めていかないといけないんですが、それが噛み合わないと事故が多くなってしまって。今回はマイナスのポイントが多すぎて。ダントツのブッチギリでした。成績自体は悪くはなかったんですが、それでランクが下がったんだと思います。

AKI:なにか、変化のキッカケはあったんですか?

松本:人を落としてしまって、その時にエンジンの合わせ方も変わってきたというか。パワーだけではダメと気付いてきた。軽い人見てると羨ましいなと思いますね。宏和(浜松32期・鈴木宏和選手)とか雑なエンジン作ってても何とでもなっちゃうってところがあるから(笑)車が進む。少し足りなくても何とかなる。けど、重量級は少し足りないと動かない。ただ、パワーを出しに行くと他が悪くなっちゃう。荒くなったりと。パワーが少し足りないので良ければまあまあいいエンジンは作れると思います。けど、それは軽い人しか動かないエンジンだから。金子さん(浜松29期・金子大輔選手)も重量級ですが、凄く整備して動いていますし、早く自分もあんな風になりたいですね。整備はまだまだ課題ですね。苦労しますね。

AKI:スタートは経験者だからこそのメリットってありますか?

松本:スタートに関しては経験者だから速いというのはあると思います。恐怖感がないので思い切って切れます。空回りをしたり、浮いたとしても対処が出来る。これは、経験者として有利な部分ですね。

AKI:この前、SG予選道中で初めての1着がありましたよね。

松本:はい。オートレースでの乗り方が出来てエンジンが活きてくる。今までは、周りの人が良いエンジンと言っても、自分の乗り方がオートレースに合ってなかったので良くなかったんですが、ようやく合ってきました。SGでの1着は嬉しいですね。

AKI:今後の目標はなんですか?

松本:選手をやってるからには1億円プレイヤーは目指したいですね。そういう気持ちはあります。自分は子供の頃からレースしかしてなくて普通の事が出来ないし向いてない。レースは苦しいし戦うということは緊張もするけど、1億円プレイヤーになってやろう、とか、圭一郎(浜松32期・鈴木圭一郎選手)に勝とう、とか思いながらレースをする事は楽しいしワクワクします。やっぱ志を持って選手をやっていきたいです。

AKI:同期は刺激になってますか?

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松本:もちろん。やっぱり圭一郎がいるから今の自分もいるし、恭佑(伊勢崎32期・吉原恭佑選手)が頑張ってるのを見ると嬉しいし悔しいし。悔しいっていうのは負けて悔しいではなくて、俺もあそこで戦いたい!ていう感じの悔しさです。なので、同期と一緒の優勝戦とかは楽しいです。同期と一緒にグレードレースの優勝戦には乗りたいですね。ワクワクしますね。同期には良い刺激をもらってますね。
あと、歳をとって簡単なことで気持ちが動かなくなる。なので、自分でワクワクすることを見つけていかないといけないとも思っています。そして、父親になって(1歳7ヶ月のお子さんと、1週間前(取材日11月7日)に2人目が生まれたそうです。)子供に対しての自分がありたい父親をやっていたい。なんかある時に背中を見せれない。そういう気持ちは強いと思います。

AKI:お子さんが生まれて変わった部分もあるんですね。

松本:歳取って弱りかけていた部分を、子供が生まれたことで復活できたなという感じはある。子供に背中を見せるためにも気は抜けないし手は抜けない。そして、自分の為にも頑張りたい。人間らしくもいたいし、ちゃんとしていたいです。それに、こんなにもワクワクする職業はないし良い仕事だと思います。選手であり続けたいです。

AKI:それでは最後に、オッズパークの会員の皆さんへメッセージをお願いします。

松本:車券の対象としての選手として見てもらうことは当たり前なんですが、ひとりの人間として選手みんな頑張っています。中々、ミスも多く人間臭い部分がありますけど、常に全力でやっているので応援してもらえると嬉しいです。これからも、よろしくお願いします。

インタビュー / AKI

福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。

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