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オートレース選手インタビュー
全体的なレベルアップをしながら自分の武器を見つけたい!|長田 恭徳選手
2020年4月30日

山陽所属の32期。今年25歳の若手レーサー。2018年GII小林啓二杯の優勝戦から最高ハンに。そこから1度もハンデ軽化させることなく最高ハンで戦い続けています。そして、2020年度前期のランクは自身最高のA-5。S級の仲間入りまであと一歩。最後まで諦めない走り見せ、今後が楽しみな若手の1人です。現在の状況、課題や目標、S級の選手になる為に、などお話しして頂きました。

インタビュー / AKI

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AKI:選手になって7月で丸7年ですが、選手になろうと思ったキッカケはなんだったんですか?

長田:自分は小さい頃からサッカーをやっていて、高校はサッカーで進学しました。レギュラーで試合に出させてもらっていたんですが、全国レベルと戦ってきて上には上がいると気付いて。足が速くてデカイやつとか(笑)甘くないなと思いました。さらに、高校生になってサッカーがあまり好きじゃなくなって。楽しいよりキツイが上になってしまったんです。そんな時に高校卒業後の進路を決める時期がきて。特にやりたい事もないし、どうしようかなと考えた時に「オートレーサーになりたいな。」と、ふと思ったんです。福岡県の飯塚と山口県に祖母の家があるんですが、小さい頃から金網にしがみついて叫んでました。

AKI:なるほど!小さい頃はオートレース場が遊び場だったんですね。

長田:はい。凄く憧れて!という感じではなかったけれど、子供の頃は叫んで応援していたんです。正直オートレーサーの試験に受かるとは思っていなかったのでビックリしましたね。

AKI:デビュー初優勝は2015年9月の川口ナイターですよね!

長田:初優勝、懐かしいですね。その時の優勝戦のメンバーが凄くて。浦田さん(飯塚23期:浦田信輔選手)、森さん(川口25期:森且行選手)、若井さん(川口25期:若井友和選手)、前田さん(山陽27期:前田淳選手)、清太郎さん(伊勢崎29期:早川清太郎選手)と正直厳しいなと思っていました。そのレースまでは優勝戦に乗れて満足じゃないけど「優勝は無理やろうな。」と思っていたんです。けど、その時は気持ちが違うというか「獲らんといけん!」と思っていて。同期もどんどん優勝していたし、もうそろそろ自分も優勝しないとヤバイ、みたいな感情が湧いていました。

AKI:そのころは、消音マフラーに馴染みがなくお客さんの注目度もかなりありましたよね!

長田:確か川口での消音マフラーは1発目とかだったんです。今考えれば、ナイターでの消音マフラー1発目だから優勝出来たのかもしれません。多分。速い人がセッティングを探りながらでなかなか掴めていない時に、たまたま自分のセティングがバシッとハマった感じ。

AKI:そうは言っても、そのタイミングをしっかり掴み取ったとも言えますよ!

長田:まぁ、たまたまが続いたってことにしましょう(笑)あと、初日が雨で結果は5着だったんですが、結果的にはそれも良かったのかもしれません。

AKI:気持ち的にということですか?

長田:消音マフラーからか初日の雨のレースが凄く乗りづらくて。なので、今までやったことないような整備をやったんです。それで、レース後の練習に行ったら凄く良くって。これ乗りやすいなって。その感じで次の日の晴れを走ったら1着。そのまま連勝で優勝しました。雨だったからこそ色々やって良かったんだと思います。もし、これが初日晴れで中途半端に着を残せていたら優勝も無かったかもしれません。

AKI:初優勝された時は最高ハンから10m前の位置で戦っていました。今は最高ハンですね。

長田:最高ハンになって1、2年くらい経ちますね。ハンデが下がってから10m前に戻ったことはないですがドキドキしてます。前に行きたくない。踏ん張らなきゃいけないと思っています。

AKI:最重ハンになった時「キツイです」と仰っていましたよね?

長田:はい。今でもキツイです。けど、頑張らなきゃとずっと思っています。

AKI:どのあたりでキツさを感じますか?

長田:一瞬の駆け引き、ワンミスが命取り。10、20m前の時はスタートでミスってもまだ枠は残せていたけど、最高ハンはスタートミスったら8番手。少し滑らせたら8番手になってしまうところにキツさを感じますね。

AKI:"最高ハンで戦えている"という感覚はありますか?

長田:戦えてはないんじゃないですかね。分かんないですけど。正直、自分が最高ハンなのも良くわかってないというか...不思議です。そんなにインパクトがある走りはしていないと思うんです、僕の中で。

AKI:けど、個人的にですが大きな着を獲るイメージがないというか、レース終盤に追い上げてくるイメージがあります!

長田:たしかに3着は多いです、頑張って3着とか(笑)中途半端に安定しているのかも。

AKI:今考える課題はなんですか?特に良くしたいことは?

長田:良くしたいところは全部なんですけど、全部レベルアップをしつつ武器を1つ作りたい。何か1つ武器を作らないと厳しいと思っています。例えば、雨がめちゃくちゃ速いとか、スタートが速いとか、追い込みが凄いとか。そういう武器が1つでもあれば。けど中々上手くいかないです。

AKI:自分の中で、現段階で武器になりそうなものってなんだと思いますか?

長田:ちょい差し?(笑)

AKI:豪快なレースというよりは着実に捌いての最後ちょい差し!って感じですかね?

長田:そうですね。けど、正直地味ですよね(笑)なので、ここ数年SGオールスターに選ばれてるのもなんでなんだろうと思っています。女子レーサーなら華がある、宏和(浜松32期:鈴木宏和選手)だったらスタートが速い、とか。そういう"スター性"みたいなものがある人がオールスターに選ばれるのに...武器がない自分がなんで選ばれるんだろうと不思議です。もちろん、投票して下さる方や応援して下さる方がいるという事はとても有り難いです。

実は、今回のインタビューもなんで自分なんだろうと思いました(笑)

AKI:そんな風に思っていたんですね!(笑)今回、インタビューをお願いしたのは、近況着実にレベルアップをしている感じがしていて!それこそ気付いたら3着にいる様な、レースを最後まで面白くする存在の1人だと思ったことと、今後が楽しみだなと思ったのでお願いしました。そして、車券を買う一ファンとして気になりました(笑)

長田:そんな風に思ってもらえて有り難いですね。けど、たしかに残り一周、同期にも言われるんですけど「いつのまにか3着にいるよね」と(笑)3着争いでごちゃっとしていたり、ほぼ3着は決まりかなって時でもシレッと差したりしてることがあって。「あれ、3着変わってない?」みたいな。そういうのはあるかもです。

AKI:最後まで諦めないというか、粘り強く最後まで戦い抜きますよね!

長田:そうですね。1つでも着は良くしたいというか。後ろを走っていても、8着より7着と思っています。もしかしたら8着はダメでも7着で勝ち上がれるかもしれない、次の日に繋がるかもしれないと思って走っています。グレードだと8着じゃ勝ち上がれないけど、7着だと次の日は勝負賭けが出来るかもしれない。なので、一般開催でもグレードでも頑張ろうと思っています。

AKI:そういう所がギャンブラー的には(個人的な意見です)投票したい、賭けてみたいと思わせると思いますよ!

長田:ONE BET?(笑)

AKI:そう、ONE BET!(笑)

長田:そうですか。なるほど(笑)

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AKI:2020年度前期。現在のランクは今までの最高A-5になりました!S級一歩手前です!

長田:これもまぐれです(笑)それに、S級の壁は厚いと思ってます。半周仕掛け遅れたとか、ワンテンポ遅れたことによって1着ではなくて2着とか。捲れんやったから3着とか。自分のレースには無駄がある。自分のレースリプレイを見て「ここいけたな。」とか、そういうのは結構感じます。山陽の先輩方のレースって上手いというか綺麗なんです。走りに無駄がない。そういうところに大きな差がありますね。

AKI:一瞬の考え、判断力ですかね。

長田:そうですね。付け位置とか無駄がない。

AKI:そこに関しては経験もありますよね。

長田:練習だけじゃ経験できないこともありますね。1人で速く走ることは練習で頑張れば速くなるとは思うんですが、人を抜くっていうのは練習だけじゃなかなか。練習の一対一とレースの様に重なった場合、全然違うんですよね。なので、試走タイムで勝っていてもレースで無駄な所、隙を見せてしまい入られたりしてしまう。あとは、半周で1人捌く計算でいくと6周回余裕で先頭なんですが、自分は無駄な動きがあって1周で1人とかしか捌けない。そうなると6周回で6人しか捌けず、結果2、3着になってしまう。そういう所の差です。

AKI:なるほど。それが、S級と今の長田選手の差なんですね。

長田:今のこの位置だと、後ろから捌かれないようにしつつ前を捌いていかないといけない。1着になる為には、自分より外枠の選手より先に主導権を握らないと。やり返すってなかなか難しいですよね。

AKI:エンジンを作る、整備に関してはどうですか?

長田:全然です。たぶん下手くそです。乗りやすい、乗りにくいとかは分かっても、そこから上のエンジン、仕上がったって言うのはまだ分かんないです。50%のエンジンを60%、70%の所で安定させる為に何をしたらいいのか、と言うのが分からないですね。

AKI:先輩選手に聞いたりする事はあるんですか?

長田:たまに兄貴分の藤岡選手(山陽29期:藤岡一樹選手)に聞く事はありますね。けど、難しいです。人によって違うというか。走るコースで良いエンジンが変わってくる。ある程度は教えてもらえても自分にあったエンジンを見つけないといけないと思います。良いエンジンが70%としたら、残りの30%は自分に合った乗りやすさとかを見つけないといけないという感じです。

AKI:スタートに関しては?

長田:速くはないです。角度があるときは残せたりもするんですが、オープン戦の時は特に思いますね。自分なりには切ってるつもりでも周りが速い。リプレイを見ても自分だけ凹んでんなって(笑)10m前の時はそんなにスタート遅いと思わなかったんですが、最重ハンになってやっぱり違うなと思いました。なんだこりゃって。周りがめっちゃ速いです。

AKI:スタートも課題ということなんですね。

長田:そうですね。自分が思うスタートは1周目の3コーナーまでと思っています。松尾さんなんかは、スタート直後は番手も3コーナーの突っ込みで良い位置にいる。潜り込んでるんですよね。そこがやっぱ凄い。自分は後手後手です。10m前の時はスタートで"どんっ!"と切れればある程度良い位置につけれていたんですが、最重ハンのスタートは切った直後だけじゃないと思う様になりました。

AKI:雨、湿走路に関しては?

長田:普通ですね。雨も練習してうまく走れたりキッカケがあればと思います。苦手意識はないけど得意でもないですね、速い人と比べると。

AKI:となると、整備、テクニック、スタート、雨など現段階では並といった感じですか?

長田:そうなんです。全体的に並。なので、その並を全体的に底上げていきたいです。S級上位クラスの人はエンジンの状態が並でも1着を取る。悪くても3着には入るとか。自分はエンジンが悪いと5、6着とかになってしまったり。全体的に底上げしたい感じです。並のレベルがまだまだ違う。自分は並のレベルが低い。なので、どこかでカバーできる武器が欲しいんです。

AKI:けど、悪いという所がなく、武器が1つあればかなりレベルアップできそうですよね!

長田:そうですね!伸ばしどころはいっぱいありますね!(笑)頑張りたいですね!

AKI:近い目標はなんですか?

長田:S級になる事。とりあえずまずはS級になりたいですね。後は、最高ハンで踏ん張る事ですね。

AKI:キツイけどこの位置で戦いたいという事ですね。

長田:そうですね。この位置じゃないとレベルアップできないと思うんです。ハンデが前に行けばスタートや展開が楽になるかもしれないけど、楽になったところでまた苦しむ。今、どうせハンデが下がっているなら踏ん張ってこなして「あれ?いつのまにか着が取れてレベルアップできている。」と思えた方が良いと思うんですよね。僕は後ろで走りたいです。

AKI:S級になった先。大きな目標はなんですか?

長田:まだ考えつかないけど...記念で優勝したいです。話が戻っちゃうんですけど、そのためには絶対に武器がいる。これは間違いない。もし雨がめちゃくちゃ速かったらですよ、予選道中をなんとかしのいで優勝戦に乗ったとして、優勝戦が雨だったら取れるじゃないですか。けど、そこに雨が速いという武器が無いと優勝は出来ないんです。とは言っても優勝戦に行くにはまず勝ち上がる。8着より7着。7着より6着。勝ち上がって武器を発揮できれば勝てる時があると思う。まぐれでグレードを取ったと言われるかもしれないけど、僕はまぐれだとは思いません。今まで準備していたことがその優勝戦で発揮出来たという事だと思うから。武器があるからこその実力。となると、武器を作る事ですね。

AKI:となると、自分は?

長田:...ちょい差し?(笑)武器って難しいですね(笑)

目標を達成するには武器を作る。最重ハンになって1、2年、武器が欲しいなと思う様になりました。松尾さんや佐々木さん(山陽23期:佐々木啓選手)は捌き、岩崎さん(山陽25期:岩崎亮一選手)はスタートが速い、藤岡さんはここぞという時、勝負がけのスタートタイミング01、02とかで切っていく。兄貴分なんで藤岡さんのレースはよく見るんですが、やっぱり凄いです。雨も乗れてスタートも決めてスピードもあるし。尊敬してます。凄いなって思っています。

AKI:弟の長田稚也選手が飯塚でデビューしましたが、このことに関してはいかがですか?以前、弟に昔からやる事を真似されると仰ってましたよね?

長田:そうなんです。なんでついてくるんだろう?って感じです。

AKI:どんなことから真似をされてるなという感じなんですか?

長田:まずはサッカー。後は、同じ高校に入学。そして、オートレーサー。6つ離れているので話す内容とかが違うし、さらに自分はサッカークラブに入っていたので帰宅の時間とかが合わなかったりで。別に仲が悪いとかではないんですが、凄く仲良く遊んでいたという感じではありませんでした。

AKI:気づいた時には同じ道を歩んでいたんですね(笑)

はい。気づいた時にはレーサーになりたいと言っていました(笑)

AKI:弟の稚也選手が凄い勢いでくるかもしれませんよ?

長田:負けんと思うっすよ。それは分かる、というか負けたくないです!油断はしない。

AKI:選手になって丸7年!選手になれての良かったですか?

長田:んー。他の世界を知らないんで分からないです(笑)けど、勝って結果がついてきた時は楽しいし、多分オッケーです!(笑)

AKI:それでは最後、オッズパーク会員の皆様にメッセージをお願いします。

長田:「長田」と言ったら飯塚所属ではなく山陽所属です。山陽の長田を応援して下さい(笑)これからも応援をよろしくお願いします。

インタビュー / AKI

福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。

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