2022年の大晦日。スーパースター王座決定戦で見事優勝に輝いた鈴木選手。6年ぶりのスーパースター制覇となりました。その時のお話、選手10年目となる今年、変化してきた気持ちなどお話してくださいました。
(取材日:2023年2月20日)
インタビュー / AKI
AKI:スーパースター王座決定戦、優勝おめでとうございます!お気持ちいかがですか?
鈴木:ありがとうございます。スーパースターの優勝は6年ぶり。トップスタートからの逃げだったので嬉しかったというよりも長かったという感じです。
AKI:川口は去年の12月から新走路になり、スーパースターが新走路一発目のレースとなりましたが感触はどうでしたか?
鈴木:新走路もなんですけどレース自体間隔が空いてしまって、スーパースター用の統一タイヤも当てられていませんでした。というのも、山陽でタイヤを当てようかなと考えていたんですが、その山陽がコロナで欠場になってしまって。何も準備ができていない状態でした。なので、スーパースターは整備日にエンジンどうこうよりもタイヤをホイールにはめる作業、当てる作業から始まりました。そして、当ててみたタイヤは全部悪くて。エンジンもタイヤからなのか分からないんですが感触が悪く感じて。前検日にもタイヤを当てるも悪くて、エンジンの整備を始めました。非常に悪い状態で、そのままレースに行ったら試走タイム3.35とかいう感触しかなく。なので、下回りをして、実績のあるヘッドとシリンダーに交換しました。替えたら「まぁレースになるかなぁ?」というところまで初日の朝練で持っていくことができました。タイヤもそこそこ使えそうな物が見つかって、初日はそのタイヤで行きました。そしたら、スタートも良く、そのまま逃げる展開で上がりタイムも良く。その前の日までは試走3.35という状態だったので良くなってくれてホッとしましたね。
AKI:スーパースター始まるまではかなり厳しい感触だったんですね。
鈴木:今回は良いところ優勝戦残れれば良いなぁくらいの感じでした。けど、初日になんとか形になって、2日目も外枠からスタートかまし切ることはできなかったけど、前の松尾さん(山陽26期:松尾啓史選手)に近づく感じもあったし、大きな整備をするような悪い状態じゃないなと思いました。逆に何をしようかなといった感じ。そこまで悪くもないし、パーツも替えるほどでもなく、別のところで消音マフラーに合わせていきたいなぁという感じでした。そのままリング交換くらい、あとはヘッド周りの調整くらいで4日目まで走りました。
AKI:4日目は4着と連を外しましたが、その時はどんな状態だったんですか?
鈴木:スタートも切れず展開も悪く4着。タイヤも初日のタイヤが使えるな?というレベルで他に良いタイヤがなく。色々乗り比べてはいたんですが、4日目はタイヤが良くなかったという感じもありましたね。エンジンももうひと仕上げしないと優勝は厳しいなという感じでした。なので、メタルを交換して、軽さが気になったので重さを出すために下回りのパーツを交換、タイヤは初日の物に戻して行きました。スーパースターの統一タイヤは自分は良くなかったですね。ほぼ全部外れという感じ。乗り方などでタイヤの使い方が違って合う合わないがありますからね。
AKI:優勝戦はどこの枠を取るのか気になっていたんですが、4日目と同じ3枠。驚きました!
鈴木:いろんな思いがあって3枠になったんです。自分、負けた枠で勝ちたいと思うところがあって。リベンジというか、4日目に3枠で負けたので3枠で勝ちたいみたいな。あとは、インタビューでも言ったように、川口の2枠はスタート空回りしやすい感触があったということ。そして、3枠でSGを獲っていない枠、と主に3つの理由で3枠になりました。あとは、青山さん(伊勢崎31期:青山周平選手)の隣は嫌だとか。スタート展開的に考えて隣だといつも通りのレースになってしまうので1人挟みたいなという感じでした。色々重なって3枠を取りました。結果良かったですね。ただ、イメージした展開ではなかったです。スタートは3番手発進の想定でした。
AKI:トップスタートというのは考えてなかったんですね!
鈴木:全然、全く考えてなかったです。自分のありったけの力でスタートを切っているんですけど、枠なり行けたら良いなぁという感じでした。なので、スタート後の景色は想定外でした。「ここから10周長いな...」と。最初に周回盤を見たのが4周目。「まだ4周かぁ。」という感じ。そこから残り1周までは見なかったんですが、とにかく自分を信じてグリップを開けて走るという感じでした。走ることに集中ですね。
AKI:長い10周回になりましたね。
鈴木:長かったですよ?。けど、スーパースターを取るのが6年ぶり、獲れなかった5年間を考えたら疲れは吹き飛びましたね。やっぱり優勝した方ができなかった時よりも疲れないです。やってることは同じですから、優勝してもできなくても。あとは、今回がスーパースター初優勝と思っていて。初めて獲った時は事故レースだったんで複雑な思いもあり気持ちくもなかったのでカウントはしてないんですよ。だから、初めて清々しく新しい年を迎えられたなという感じでした。
AKI:表彰式はどんな思いでしたか?
鈴木:人数制限もされていてお客さんは少ないのかな?と思いながら表彰台に向かったんですけど、かなりのお客さんがいて、寒い中残って下さっていて本当にありがたかったです。スーパースターだからと他のSGと特に変わりはないんですが、初日からSG優勝戦のようなメンバーで8周回あるし疲れる開催。なので、優勝という形で締めくくれたのは気持ちいいですね。
AKI:表彰式では少し目がうるっとしているような、していないような感じがしました。
鈴木:泣いてないですね。寒かっただけでした(笑)泣くかなと思っていたんですが、夢の中にいるような感じで現実味がありませんでした。疲れすぎてなのか、前日に負ける夢を見たからなのか分からないんですが、そこまで現実味がなく泣けませんでした(笑)夢では想像通りの展開で3着でしたね。3番手発進の3着で負けるという。そうならないようにと思って本番はスタート3番手から捌くイメージいこうとしたんです。が、そのイメージも使うことなく優勝しちゃいました。
AKI:3枠でもSG制覇を成し遂げましたね!
鈴木:そうですね。本当は1枠を取りたかったんですが先に取られて、いつもだったら2か4枠のところ。赤は競走車の青と合わないから好きじゃないんですよね。けど、色々重なって「今回は3だろう!」と思って3枠を選びました。自分でもびっくりするくらい上手くハマりましたね。
AKI:去年はSGオールスターも獲り、No. 1にも返り咲きましたが、どんな1年でしたか?
鈴木:パッとはしてないかな。運もありましたね。怪我もしなかった。落車もしたけど怪我をしなかったので運は良かったかなと思います。No. 1に返り咲いたのも運ですよね。青山さんが事故した分のマイナスがあって、自分は事故しなくって。来期は逆で、青山さんが事故せず、僕が事故をしてしまってのポイント差。成績的には良くもなく悪くもなく、安定はしていたなと思います。
AKI:No. 1が奪われてしまいましたが、そこへの意識はどうですか?
鈴木:一つ目指せるものがあるから、逆に良いのかなと思います。目標は昔から立てないから、自分を頑張らせるものが一つでもあればやる気は出てきます。なので、No.2になることもNo. 1を目指せるという良い意味で捉えて頑張っていきたいですね。
AKI:トップを見てきた圭一郎さんですが、モチベーションを保つのはどうされているんですか?
鈴木:どうしているんですかね?どうもしてないんですよね(笑)負けず嫌いというか、負けた後のレースって勝てるんです。なので、モチベーションを保つのは負けることっていたら変ですけど、負けた分強くなれる感じがします。負けたら次はこうしようとなるところがモチベーションですかね。あとは妥協ができないんです。ある程度で勝てるかもしれない、トップクラスの選手からも「そのくらいの状態があれば優勝できるんじゃない?」と思われるのかもしれない。整備をすることもダメな方に行く可能性もあるのでリスクはある。でも、それが分かっていても気になるところがあればそこを直さないと気が済まないというか。そのままレースに行って負けた時の悔しさは整備をやって負けた時の倍以上あるので、そこは絶対妥協したくないです。やって負けたら仕方ないと。あとは、ある程度で勝てても気になるところがあるのにやらなかったら"サボってる"という感覚になっちゃうんですよね。自分だけの感覚なんですけど「少しでもやることあればやれよ!」って自分自身に言っちゃうんです。元々の性格もありますが、選手になってからこの感覚は増したと思います。あとは、出走表もモチベーションのひとつですね。自分の中でやりたいことのひとつに"出走表の連対率を良走路、湿走路共に100%にしたいんです。なかなかできないんですけど1回、1日だけできた日があって。毎朝出走表を見て「下がったな、上がったな」と思っています。単なる自己満足というか趣味の世界なんですけどね。
AKI:今年に入ってからのレースは優勝戦2着が続いていますがどう感じていますか?
鈴木:やっぱ悔しいですよね。しかも、ぎりぎり2着。もうちょいの所で優勝できていない。けど、今はこの焦るところを焦らないようにいきたいと思います。メンタルは元々強くなくって今も強い方ではないんですけど、去年の10月から朝お風呂に入って体を温めてからレースに行くようにしたんです。そしたら全く緊張しなくなりました。冷えて体も硬くなっていたんでしょうね。しっかり体を温めてから整備を始めるようになりました。
AKI:レース前、緊張されていたんですね!
鈴木:緊張しますよ。緊張というか不安というか。それが最近はだいぶなくなりました。選手10年目だからなのか、朝風呂が効いているのかちょっと分からないけど(笑)落ち着いてレースに臨めるようになりました。
AKI:ここまでの10年間を振り返るといかがですか?
鈴木:あっという間でしたね。10年経ってる感じがしないですね、まだ3年くらいの気持ちというか、新人みたいな感じです。新人も出てきましたがいつも通り負けないよう頑張るだけですね。どんなレースも負けないように頑張るだけです。
AKI:少し前の圭一郎選手と言えば「絶対負けないぞ!!」という気持ちが溢れている印象でしたが、少し雰囲気が変わりましたか?
鈴木:それは辞めました。事故になるから。自分が怪我しなくても、他の人が怪我しなくても響きますね。他の人に迷惑かけると悔しいとは違うメンタルの辛さがあるので事故だけは避けたいです。きっかけは去年のGII若獅子の準決です。前のハンデの選手に対して気を使いながら走らなきゃいけないところを後ろから追突しちゃうというのは良くないですし、No. 1がやってはいけないことだなという反省がありました。なので、落ち着いてレースをしていきたいです!
AKI:それでは最後にファンの方にメッセージをお願いします。
鈴木:1人でも自分の車券を頭で買ってくれているという気持ちを持ってどんなレースでも真剣に取り組んでいます。信頼してくださる方は是非買ってください。
先日、浜松オートのSGで見事優勝!今年のスーパースタートライアル戦1番乗りとなりました!連覇となるか!?今後の走りにも注目です!!
※写真は川口オートSNSより
福岡県宗像市出身のタレント。福岡でテレビ番組やイベントMCなどで活躍中。飯塚オート3代目「勝利の女神」。飯塚オートでは、AKIのAKIらめない予想やバスツアーなどを開催。川口オート、伊勢崎オート、浜松オート、山陽オートでもイベント出演中。
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