水野 翔 騎手(北海道)
2014年06月23日
大物新人を輩出し続けるホッカイドウ競馬で、今年デビューしたのが水野翔(かける)騎手(17)。中学時代にはレスリングで全国3位になった実力の持ち主です。5月5日にデビュー14戦目で初勝利を挙げました。
出身は神奈川県川崎市ですね。競馬の世界を志したきっかけは。
家は競馬場にも小向厩舎にも近いんですが、家族は競馬をやらないので行ったことがなかったんです。レスリングは5歳から中学3年までやっていました。インターハイで2位にもなった、5つ上の兄の影響です。でも、レスリングは、体重が足りなくて出られない試合もある。中学3年の時に、小さい体を生かせるのは騎手か競艇の選手だと思い、動物好きなので騎手になろうと思いました。
今思うと、動物を相手にするのは難しいですね。JRAと地方の違いもわからなかったし、インターネットで調べて地方競馬を受験しました。試験の前に初めて川崎競馬場に行き、レースを見て『かっこいいな』と思いました。結局(地方競馬教養)センターに入ってからも、身長は2センチしか伸びなかったんです(現在158センチ)。
レスリングをしていたことで、プラスになったことはありますか。
受け身は身についているかもしれません。落馬しても大きな怪我はないですね。
教養センターの思い出はありますか。
馬に触ったのも、この時が初めて。下手な方だったので、ぼろくそ言われていた。失敗ばかりしていました。同期は仲が良くて、今もよく連絡をとっています。高知の妹尾(浩一朗)とか、結構勝っている金沢の中島(龍也)とか。
なぜ北海道を希望したのでしょうか。川崎ではないのですね。
最初は川崎を希望したのですが、先生に厳しいと言われたことと、北海道は2歳の調教があってうまくなる、と言われたからです。その特徴にひかれました。決まったら、1つ上の井上(幹太)さん、石川(倭)さんに「早く来いよ」と言われました。優しくて、今でもよく話します。
所属の村上正和調教師はどのような先生ですか。勝負服は先生のものを受け継いでいますよね。
厳しくて怖いけど、技術を教えてもらえるのでためになります。活躍されていた人だから、言うことがすごいし、追い切りのフォームもきれい。尊敬しています。レースが終わったら、先生のところに行って感想を言い、指導してもらいます。
勝負服は、「もらえませんか」と言ったら最初は渋っていましたが、それから「自分の好きなの作れ」って。
実習で初めて競馬場に来て、いかがでしたか。
馬のパワーが違う。センターでは同じ馬ばかり乗っていましたが、癖もそれぞれ違うので苦戦しました。
能検で騎乗して1着入線でしたね。
(レースのような雰囲気は)新鮮でした。大きな競馬場なので楽しい! 能検なので受からせることが大事なのですが、引っかかってしまったので1着でした。
デビュー以降のことを教えて下さい。
デビュー戦(4月23日第2レース)は、ゲートに入るまで緊張しましたが、入ってからはそうでもなかった。それより初勝利(5月5日第2レース、スマートアゲイン)が、二重丸の印ばかりついていて緊張しました。出遅れてしまい、勝てないかもと思いましたが、馬の力のおかげで勝てました。五十嵐さんが初勝利のプラカードを持ってくれたのでびっくりしました。
2勝したマダムバタフライは顔がかわいいし、素直でおとなしいんです。頑張ってくれる。外厩の平岡牧場に連れていってもらったとき、ありがとう、って言ってきました。
5月22日は、マダムバタフライで3勝目を挙げましたが、騎乗停止になってしまいました。
直線で追うのに必死になってしまって、(内によれていたのに)自分が左鞭を入れたのが悪かった。みんなに怒られました。村上先生には、姿勢のことと、負けてもいいレースをしろ、勝つレースはかっこよく勝て、と言われています。なので、ものすごく怒られました。
まだまだ未熟です。乗せてもらっている感じ。そのほかでは、カゼヒカルが人気薄で3着にきたのが思い出です。
スマートアゲインもそうでしたし、自厩舎以外の馬にも乗っていますね。
いろんな厩舎に攻め馬乗りに行って手伝っています。自分から「空いてないですか」と声をかけています。
普段の生活を教えて下さい。音楽鑑賞が趣味だそうですね。
自由時間はランニングしています。屋内坂路を走るんです。それと、筋トレですね。レースで引っかかってしまうことがあって、先輩や厩務員さんに「筋力がない」と言われます。食が細いこともあって、筋肉がつかないんです。海鮮も苦手だし...。パワーつけないといけないから、レースの日だけ食べるんです。食べないとすぐ体重が減る。音楽は、ロックやメタルなど、激しいのを聴きます。マキシマムザホルモンさんが好きです。AKB48の島崎遥香さん、かわいいですね。推しメンです(笑)。
目標としている騎手はいますか。
五十嵐(冬樹)さんですね。中央でも活躍しているし、乗り方に迫力がある。それと、年が近くて活躍している阿部(龍)さんや石川さん、井上さんです。道営の先輩達は優しくて、いろいろと教えてくれます。JRAでは、田辺(裕信)さんの追い方が迫力あってきれい。あのように追いたい。人馬一体でありたい。藤田(伸二)さんや武豊さんはもちろん、いろんなフォームを勉強して、姿勢をきれいにしようと思っています。
村上先生のレースを見たいんですが、ビデオやインターネットの動画がないんですよ。千葉(津代士)さん、松本(隆宏)さん(現調教師)のレースも見たいです。
これからの目標を教えて下さい。
判断が遅れるレースが多いので、レースでの冷静な進路取りができるよう頑張りたいです。30勝が目標。将来的には、中央の芝で乗ってみたいですね。
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※インタビュー / 斎藤友香 (写真:斎藤友香、小久保巌義)