島津 新 騎手(ばんえい)
2020年09月25日
デビュー10年目を迎えた島津新騎手が、今年大ブレイク。ミノルシャープで重賞3連勝(北斗賞、旭川記念、ばんえいグランプリ)、3歳馬のコマサンダイヤとゴールドハンターで1つずつと今シーズン9レース行われた重賞ですでに5勝しています。
すばらしい活躍ぶりですね。周りの反応はいかがですか。
周りに冷やかされています。「おかしいな」って(笑)。いい馬に乗せてもらっていますから。
7月から観客が入場できるようになり、「おめでとう」の声はうれしかったです。
有観客になってからのインタビューも島津騎手ばかりですね。それぞれの馬について振り返ります。まずはミノルシャープ。昨年秋の北見記念の前から乗り替わり、騎乗してほぼ1年です。
馬の良さは降りてからのふんばりと、伸び。馬も強くなっているが、重賞を何回か使って古馬のゆったりしたペースに慣れたのはある。若い時は2障害まで着くのも速いですからね。経験とペースです。性格はやる気満々。負けん気が強いんです。
特にばんえいグランプリは、自信が表れたレースでしたね。障害手前で横を向いていたのが気になりましたが。
思った通りのレース運びができました。これまでは「勝てるかな」と思っていたのが「勝つんだ」という気持ちで乗りました。コウシュハウンカイと並んでも、切れで勝負できると思いました。障害手前で、左向いて休む癖があるんです。前向くと行くサイン。
ばんえいグランプリを制したミノルシャープ
3歳路線一冠目のばんえい大賞典を勝ったコマサンダイヤは。藤野俊一騎手が騎乗停止で乗り変わりの勝利となりました。
イレネー記念を藤野さんが勝った時、インタビューで「(今後は)島津君に返します」と言っていたが返してくれなかった(笑)。やっと返してくれました。
レースは「この馬が一番強い」と思って騎乗しました。天板で苦労した分、馬に負担をかけて申し訳なかったが、頑張ってくれた。最近は、前に行きたい気持ちが出てきている。障害が上手ですね。
ばんえい大賞典を制したコマサンダイヤ
コマサンダイヤが回避し、騎乗した3・4歳重賞はまなす賞のゴールドハンターは、末を生かすこの馬の勝ちパターンに持ち込んだように思います。若いころは逸走もして、騎手にとって大変なイメージがありますが...。
積極的に勝ちに行ったレースでした。ご存知の通り若い時はやんちゃでしたが、厩舎が仕上げてくれて以前よりは落ち着きが出てきた。いつも120%の力で走ってくれるのがいいところです。まだやんちゃな部分はあるので、1障害まではそりに座っています。
はまなす賞を制したゴールドハンター
若い馬など、たまに騎手がそりに座ることがありますよね。なぜでしょうか。
横に逃げる馬は、手綱でお尻から挟むようにして制御します。力も入りやすい。
4歳馬は、銀河賞でコマサンブラックに騎乗しますね。
3歳になって力をつけてきた。あと重賞でどれだけ頑張れるか。
期待の2歳馬は。
アバシリサクラはまだ障害に課題があるかな。これからですね。
ミススマイルはまだ850キロくらいしかないが、切れ味があるから面白いよ。
ここ最近は、思い切りのいいレースが多いですね。
一瞬の判断ですね。インビクタ(牡4)に乗ってから思い切ったレースができるようになったのかも。道をひらいてくれた馬です。
10年経ち、自分自身の変化は感じますか。2011年度は日本プロスポーツ大賞新人賞、NARグランプリ優秀新人騎手賞受賞を受賞し、その後も70勝前後の勝利数は挙げていますが、昨年度まで重賞勝ちは2勝のみ(2011年クインカップ・キタノサクラヒメ、2014年帯広記念・ホリセンショウ)で、ちょっとさみしいように感じていました。
最近は勝ちに焦らなくなったかな。確かに、以前はもう少し勝ちたいなと思っていたが、我慢していればそのうち、と。この時代があるからの今だと思う。
藤野騎手からの乗り変わりも多いですが、同じ道南の出身でデビュー当時から憧れの騎手でしたね。勝負服も似ています。
はい、藤野さんと鈴木恵介さんのレースはいつも見ています。ゴール前や障害を見て、何か盗もうとしています。よく調整ルームでビデオを見ています。
ではオッズパークのファンに向けて一言お願いします。
長澤幸太騎手の舞(そりの上で舞うように馬を追う)を見てください(笑)。というのは冗談として、今はコロナ禍ですから、競馬場に来て迫力を見てとも言いにくいし、難しいですね。中継映像やインターネットで熱いレースを感じてほしいです。
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※インタビュー・写真 / 小久保友香