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林 和弘 調教師(北海道)

2021年08月18日

林和弘調教師は6月24日の門別第6レースで通算1,000勝(地方・中央)を達成。ホッカイドウ競馬では現役6人目の快挙を達成しました。今シーズンはラッキードリームでホッカイドウ競馬の3歳三冠制覇を達成し、史上4人目の"三冠トレーナー"の称号も手にしています。

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97年の初出走から、およそ24年で通算1,000勝の大台に到達されました。この数字についての率直な印象はいかがでしょうか。

まあ長くやっているのでね。数字はともかくとして、ここまでやってこられたのは、馬主さんやスタッフのおかげだと思っています。

8月5日終了時点で重賞競走も42勝されています。これまでの調教師人生のなかで、印象に残っている馬やレースがあれば教えてください。

バンブーボカで交流重賞をクビ差負けした(2004年宇都宮・とちぎマロニエカップGIII)ですかね。道営記念を勝つようになる(05年)まで成長してくれただけに、グレードレースを勝たせてあげられなかったのが悔いとして残っています。もちろん、勝ったレースはどれもうれしいですが、負けてしまったレースでいちばん思い出に残っているのは、やはりそれでしょうかね。

元々JRAでデビューできず、ホッカイドウ競馬へ移籍した馬だったかと思います。調教するにあたって、難しい点などはなかったのでしょうか。

それは特に感じなかったですね。持って生まれた力を出してくれましたから。馬の能力は生まれつきである程度決まっていて、それを「調教で走らせた」というのは、人間のおごりではないかと思うんです。馬を調教していくにあたっては、馬の能力、成長力を阻害しないことが一番大事でしょうね。

以前は門別や旭川、札幌など、各競馬場を移動する開催形式でしたが、現在は門別に開催が一本化されました。調教のスタイルなども変化はあったのでしょうか。

門別に集約されたのもそうですが、やっぱり屋内坂路コースができたのが大きいですよね。馬場での調教だと6〜7くらいしか出せなかった能力が、坂路で調教できるようになると、9〜10の力を出せるようになったような気がします。

ホッカイドウ競馬は2歳馬の入厩頭数が多いですが、例えば若い馬を扱ううえで意識していることは何でしょうか。

「2歳馬だから」といって特別に気をつけるようなことはありませんが、2歳のうちに力を出し切ってしまって、古馬になって能力を発揮できないということにはならないようには意識しています。早い段階からあまり無理使いをしないように。古馬になってからも力を発揮できるよう、態勢を整えるようにはしているつもりです。

ショウリダバンザイやリンノレジェンドなど、2歳時に林厩舎のもとでデビューし、古馬になってから活躍する馬も多いですよね。そういった意味では、昨年JBC2歳優駿を制したラッキードリームが、今年のホッカイドウ競馬3歳三冠を達成しました。同世代のリーチともども、セリで購買された馬だったと思いますが、第一印象はどうだったのでしょう。

2頭ともセリの段階から見てきたんですが、馬体の見た目が良かったですよね。馬の好みは人それぞれの部分もあるので、いい馬の定義っていうのはなかなか難しいですが、ラッキードリームのほうは、親父(林正夫オーナー)もひと目見て気に入ったみたいでね。リーチに関しては、オーナーが芦毛の馬を欲しがっていたんですが、セリに出ていた芦毛の馬のなかでは「いい馬だな」と思いましたし、値段を考えてもちょうどいいと思ったんですよね。オーナーや佐賀の真島(元徳)調教師とも一緒に見たんですが、皆さん気に入ったようでした。2頭とも期待以上の活躍をしてくれましたし、特にラッキードリームは、JBCまで勝ってくれましたからね。

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王冠賞(7月22日)を制して三冠を達成したラッキードリム。リーチ(右)は3着

ラッキードリームの三冠までの道のりについて教えてください。

うちの厩舎にいた厩務員が不祥事を起こしてしまい、昨年の12月から1年間、北海道と岩手の限定免許になってしまったんです。リーチもそうだったんですが、全日本2歳優駿に向かう際は櫻井拓章厩舎に転厩して臨むことになりました。馬に罪はないんですが、転厩せざるを得なかったことで、オーナーに迷惑をかけてしまいましたね。

ラッキードリームについてはかねてから、今年は北斗盃から始動するつもりで考えていました。レースを1回使うと、我々が思った以上に負担がかかるものですから、無理使いせず、馬のことをいちばんに考えたローテーションで臨んだつもりです。

北斗盃は初の内回りを克服しての快勝でした。

やはり今年初戦ということもあったので、正直なところ、力関係がどうなっているのかというところが不安だったんですよね。それがいざレースになると、能力の高さをあらためて証明してくれる内容だったので、ホッとしましたね。

それからほぼ1カ月間隔で三冠制覇となったわけですが、中間の馬の様子はどうだったんでしょう。

いい意味で大きな変化はなかったんじゃないでしょうかね。調子の波もなく、順調に来てくれたと思います。馬体重が500キロを超えたので、そういう意味では、2歳の頃と比べての成長もあったんじゃないでしょうかね。

リーチも三冠戦線で2、2、3着と安定した走りを続けました。2頭の今後について教えてください。

ラッキードリームはダービーグランプリ(10月3日、盛岡競馬場)へ直行しようと思います。少しレース間隔はあきますが、無理せず、いつも通り進めていければいいですね。各地の力のある馬も出てくると思いますが、うちの馬でも十分通用するような力はあると期待しています。

リーチについては、三冠では距離が伸びたなかでもいい結果を出してくれたと思いますが、本質的には1400から1600くらいまでの方がいいのではないでしょうかね。今後については、門別では短めの距離を中心に使っていって、もし出られるようであれば、楠賞(11月2日、園田競馬場)へ出走できればと思っています。

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三冠で2、2、3着だったリーチ

林調教師自身の、今後の目標についても教えてください。

目標......何だろう?(笑)。まあ馬も人間も健康で、1日でも長く続けられたらと思いますけどね。これから1歳馬のセリも本格化しますが、いい馬を見つけて、自分の厩舎で結果を出していければ喜ばしいですよね。

林調教師は北海道調騎会の会長も務めていらっしゃいます。昨年はホッカイドウ競馬の馬券発売額がレコードを更新し、今年の売り上げもそれを上回るペースです。

コロナがきっかけで、多くのお客さんに知ってもらえたのが大きいですよね。そんななかでも、お客さんの期待に応えるべく、馬に携わっている一人ひとりと、公社(ホッカイドウ競馬を運営する一般社団法人北海道軽種馬振興公社)の皆さんががんばっているおかげだと思います。

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ラッキードリームはホッカイドウ競馬史上6頭目の三冠馬

では最後に、オッズパーク会員の皆さんへメッセージをお願いします。

いつもホッカイドウ競馬の馬券を買っていただき、本当にありがとうございます。これからもみんなで一生懸命やって、少しでも、皆さんに楽しい競馬を見せられるようがんばりますので、これからも応援のほどよろしくお願いします。

林和弘調教師は、令和3年9月4日(土)にご逝去されました。
故人のご功績を偲び、心より御冥福をお祈り申し上げます。(2021年9月6日追記)

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※インタビュー・写真 / 山下広貴

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