斎藤修の重賞ピックアップ

【コラム】今シーズンのホッカイドウ競馬を振り返る

 早いもので、今シーズンのホッカイドウ競馬も11月2?4日の3日間開催を残すのみとなった。
 
 ホッカイドウ競馬は、以前から開催最終日に道営記念が行われていることだけでも、5カ月ほど開催が休みとなる前のラストという盛り上がりが十分にあったのだが、昨年からJBC2歳優駿がはじまり、それを含む3日間開催の最終日には道営記念と道営スプリントが行われることでは、"最後の盛り上がり"という感じはなお強くなった。
 
 以下はすべて、あと3日の開催を残してのデータとなるが、今シーズンも調教師リーディングでは136勝を挙げている田中淳司調教師が圧倒的で、2位の角川秀樹調教師(94勝)に40勝以上の差。勝率2割超え(22.1%)も唯一で、2015年から7年連続での北海道リーディングを確定的にしている。のみならず、田中淳司調教師は園田プリンセスカップ(グラーツィア)での勝利を加えての137勝は、10月28日現在の地方全国リーディングで、なんと2位(1位は高知・打越勇児調教師の174勝)。ホッカイドウ競馬は開催が4月中旬からのスタートという状況を考えると驚異的な数字だ。
 
 騎手リーディングのトップは131勝の石川倭騎手で、2位の服部茂史騎手が120勝。あと3日間で11勝差は、これもおそらく順位は変わらりそうもない。石川倭騎手は2019年から3年連続での北海道リーディングとなる。
 
 2歳馬のレベルの高さも例年以上で、エーデルワイス賞JpnIIIではスピーディキック(石本孝博厩舎)がリリーカップから連勝。地元勢のエーデルワイス賞制覇は、これで5年連続となった。
 
 他地区への遠征でも2歳馬の活躍が目立った。岩手では、芝のジュニアグランプリをモリデンブラック(桧森邦夫厩舎)が、知床賞をマックスレジェンド(川島洋人厩舎)が制した。南関東では川崎の鎌倉記念をシルトプレ(櫻井拓章厩舎)が、金沢では兼六園ジュニアカップをエンリル(角川秀樹厩舎)が、園田では前記のとおり園田プリンセスカップをグラーツィア(田中淳司厩舎)がそれぞれ勝利している。
 
 10月31日の盛岡・南部駒賞にも北海道から有力馬4頭が遠征しており、シーズン終了後も引き続き他地区への遠征で活躍が期待される。
 
 また11月3日のJBC2歳優駿(門別)では、地元ホッカイドウ競馬から重賞勝ち馬が多数出走予定。栄冠賞のモーニングショー、ブリーダーズゴールドジュニアカップのシャルフジン、サッポロクラシックカップのリコーヴィクター、リリーカップからエーデルワイス賞JpnIIIを連勝したスピーディキック、サンライズカップのナッジ、さらに他地区遠征で金沢・兼六園ジュニアカップを制したエンリルなど。中央勢はいずれも1勝馬だけに、今年も地元北海道勢の活躍が期待できそうだ。
 
 最後に、今シーズンで印象的だったのは、ラッキードリームがホッカイドウ競馬史上6頭目の三冠馬となったこと。それが第1回JBC2歳優駿制覇からの三冠馬ということでは、互いのレースの価値をなお高めることとなった。
 
 しかしなんとも残念だったのは、ラッキードリームを管理していた林和弘調教師が、三冠制覇となった王冠賞から約1カ月半後の9月4日、57歳という若さで亡くなられたこと。そのラッキードリームのほか、道営記念を制したショウリダバンザイ、リンノレジェンドなどは、馬主がホッカイドウ競馬の元調教師で父である林正夫さんで、父とともに多くの活躍馬を送り出した。ご冥福をお祈りしたい。

斎藤修の重賞ピックアップ
NAR『ウェブハロン』、『優駿』、週刊『競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』『地方競馬中継』解説。ドバイ・香港・シンガポール・アメリカなどの競馬にも足を運ぶ。1964年生まれ。
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