斎藤修の重賞ピックアップ

【コラム】ひさしぶり、その金ナイター

 その金ナイターの現地はいつ以来だろう。
 コロナで規制がいろいろあったときにも、一応取材ができるようになってからは何度か園田競馬場には来ていたが、その金ナイターはコロナ前以来。それもいつのことだかもう記憶がない。
 その金ナイター開催での重賞は、摂津盃、園田チャレンジカップ、そして今回の兵庫サマークイーン賞くらいしかないので、そもそも取材で来る機会も限られるのだが。
 
 15時羽田発で伊丹空港。モノレールから蛍池で阪急宝塚線。十三で阪急神戸線に乗り換えて園田駅。園田駅高架下のショッピングモールはずっと工事中で、今年秋には再開するようだが。無料バスで園田競馬場着は17時頃。まだ明るく、お客さんはそれほど多くはないが、ナイター開催らしくだんだんと増えてくる。
 
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 その金ナイターが始まったのは2012年のことだから、もう11年も経った。
 いまや地方競馬ではナイター開催をやっていない競馬場のほうが少ないが、園田競馬場でナイター開催を始めるにあたっては困難をきわめた。
 計画は、大井や川崎など南関東でナイター開催が始まったころからあったと聞く。しかし競馬場周辺は住宅地。地域住民や自治会との折衝で、ナイター開催の計画は何度も跳ね返されてきた。
 しかし21世紀になって社会が競馬に対してだんだんと優しくなってきたこともあり、さまざまに条件を譲歩して、ようやくその金ナイターが実現した。
 その条件とは、金曜日のみ。さらに終了後、ファンが歩いて最寄り駅まで帰ることを避け、必ず送迎バス利用を徹底するなどだ。令和の時代になっても、競馬ファンは何かしら犯罪を起こすのではないかと思われている存在なのだ。残念ながら。
 だから、その金ナイターの日は、夕刻以降、帰りの足は必ずバスを使うようにという場内アナウンスが繰り返される。
 
 メインレースひとつ前のパドックで19時。だんだんと日が暮れてきて、メイン前に腹ごしらえ。さて何を食べようか。向かったのは、まぐろ専門の『一八(いちはち)』。たしかその金ナイターが始まるタイミングで入った店舗ではなかったか。
 よし!と決めたのは、まぐろカツ丼。500円也。そのほか、鉄火丼、まぐろピリ辛ユッケ丼、まぐろカレーライス、まぐろカレーうどんなど、ぜんぶ500円のワンコイン。唯一、まぐろほほ肉ステーキ丼だけは600円。値上げ値上げの今日このごろ、ここのメニューは一度も値上げをしてないのではないか。
 が、しかし。常連さんで満席。それではと、まぐろカツ丼お持ち帰りで、とお願いしたら、「今日は全部売り切れ。カレーしか残ってないんです」
 では、まぐろカレーライスで、とお願いしたのがこれ。
 
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 普通、こうした持ち帰り容器のカレーは、ご飯の領域が大半を占め、カレールーがご飯に対して少なすぎるだろ、というのが常だが、ここはしっかり容器の半分の領域にご飯を丘のように盛ってくれて、カレールーもたっぷり。ご飯に対してカレーが足りなくなるということもない。
 写真にしてしまうと何の変哲もないカレーライスだが、しかし。ひと口含むと、まぎれもなくカレーに魚を感じる。ほぐしたマグロの身がカレーの海を泳いでいる。ひと口ひと口、マグロを感じるカレーだ。
 
 こちらもその金ナイター開始のときに開店したと記憶する、串かつの『串勝や』もカウンターはほぼお客さんで埋まっていた。
 
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 たとえ満席でお店に入れなくても、たとえ売切れで食べたいものにありつけなくても、コロナによる制限がなくなって、競馬場にたくさんファンが来ている光景には安心する。
 
 そして兵庫サマークイーン賞。出した結論はこちら
 ハクサンアマゾネスが強いのはわかっている。が、そこから買ったのでは配当は期待できない。しかも、初めての他場遠征という不安もある。
 ならば、今回休み明けでも、前回佐賀まで遠征して勝っているジュランビルでどうだ。オッズはそこそこ、いや、かなりつくところもある。
 単勝3000円と、馬連複1000円ずつ、印をつけた馬に流す。計8000円。と、決めた。
 そして本馬場入場。そのとき、居合わせたOちゃんと仕事上の込み入った話をはじめ、気がつけば出走馬たちは待避所で輪乗りの映像。締切前の軽快な音楽も流れていた。
 慌ててオッズパークのアプリで投票。
 が、が、が、しかし。入力途中で、プルルルルルルルルルと、むなしく響く締切の合図。
 
 レースはスローで流れ、ジュランビルは好位3番手の内。直線を向いて、満を持してという感じでハクサンアマゾネスが抜け出してきた。そして......
 (ジュランビルよ、来ないでくれぇぇぇ)と、自分が本命にした馬に来ないでくれと願うことほど悲しいことはない。
 そして。
 来たよ、2着に、粘ってしまったよ、2着に。。。。。
 
 馬連、的中。
 ただし。
 買えていれば、だが。
 馬連オッズは、11.4倍。
 単勝3000円は、ハズれたが、馬連1000円の流しで、11,400円。儲かったはずの3400円がないことになった。
 それは残念だが、いや、むしろハクサンアマゾネスが勝ってくれてよかった、と思うことにした。
 もし、もし、もし、という仮定ではあるのだが。ハクサンアマゾネスがどこにもなければ、ジュランビル1着で、2着はクリノメガミエース。
 ジュランビルの単勝16.8倍を3000円に、馬連複はなんと!万馬券で、136.1倍が1000円。なんと!計186,500円の払い戻しになるところだったのだ、だ、だ。
 それを思えば、やっぱりハクサンアマゾネスがちゃんと勝ってくれてよかったよ。
 
 そしてさらに、あとで思ったのは。もらえたはずのオッズパークのポイント還元10%もなくなってしまったのは、やっぱり残念だった。

斎藤修の重賞ピックアップ
NAR『ウェブハロン』、『優駿』、週刊『競馬ブック』、『競馬総合チャンネル』などで地方競馬を中心に記事を執筆。グリーンチャンネル『地・中・海ケイバモード』『地方競馬中継』解説。ドバイ・香港・シンガポール・アメリカなどの競馬にも足を運ぶ。1964年生まれ。
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